第4話 顔合わせ

ある日の放課後、翔輝先輩に呼ばれた俺はサークルに参加していた。

(スポーツなんて、中学校の体育の授業以来だよ…)


練習前に部員たちが集まって自己紹介をすることになった。太一も自己紹介の輪に加わる中、輪の中には彼女の姿が。


「それじゃあ、上級生から順番に自己紹介していこっか。学年・名前と専攻している学部、それとテニスをしたことがあるかどうかを教えてね。」

自己紹介は部長の翔輝先輩を中心に始まった。


「それじゃあ、まずは僕から。このサークルの部長をしている文学部3回生の岩倉翔輝です。テニスは小学1年生の時に始めました。よろしくお願いします」

(小学1年生の時からか。どうりで「ザ・テニス男子」だ。勧誘されたときに持ったイメージはあってそうだな。)

自己紹介は上級生の番が終わり、新入生に回ってきた。


今年のテニスサークルの新入生は15人。これが多いのか少ないのかはわからないが、見た感じ2~4回生の上級生が3年間で20人しかいないから、今年の新入部員は例年より多いのだろう。


俺の番が回ってきた。

「文学部1回生の香川太一です。テニスはやったことありませんが、やってみたいという気持ちはあります。よろしくお願いします」


そして彼女の番が来た。

「文学部1回生の山村亜以子です。テニスは中学生の時に始めました。高校生の時に県大会で優勝して全国大会に出場しました。よろしくお願いします」

「県大会優勝⁉全国大会⁉亜以子ちゃんすごいね。今年の新入部員は期待できるな~」

「いやいや、全国は初戦敗退なのでたいしたことないですよ~」

(亜以子ちゃんは中学校からテニスやってたんだ。小学校卒業までの彼女しか知らない俺は初めて知った。しかも県大会優勝全国出場なんて!すごすぎる…)

そこには太一のしらない亜以子の姿があった。


自己紹介が終わり、テニスの練習が始まった。

初心者の俺にテニスを教えてくれえたのは翔輝先輩と同じく3回生の長谷川礼那はせがわあやなという女の子だ。礼那はテニスのラケットにさえ数回しか触ったことがないぐらい無知の俺に、一から優しく親身になって教えてくれた。

そして俺は1時間の練習で相手と2,3回ラリーができるまでに上達していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る