第2話 大学生活スタートします
時が流れるのは早いもので、太一は大学生になっていた。小学校を卒業して太一の読書熱はさらに高まり、相変わらず休み時間も家に帰ってからも読書漬けの日々を送っていた。中学校、高校と学校で一・二を争う成績を残していた太一は県外の大学へ進学するため、実家を出て一人暮らしをすることになっていた。
そして迎えた大学の入学式。今年この大学に入学する三百人以上の学生が式に臨む中、太一は聞きなじみのある名前に耳を疑った。それは大学の副学長が入学生代表の名前を読み上げた時だった。
「続きまして入学生代表挨拶・入学生代表 山村亜以子さん」
「はい!」
名前を呼ばれ席から立ち上がった少女は、堂々とした表情で三百人の学生の前に出ると、はきはきとした声で話し出した。
それを見ていた太一は、この時、疑念が確信に変わった。
(小学校で一緒だった亜以子ちゃんだ!)
太一は亜以子がこの大学に一緒に入学したことに気付いたが、彼女はまだ気づいていなかった。
(そりゃそうだ。三百人もの学生が座っている中で、俺は後ろの方の決して目立たない席に座っているのだから。)
亜以子が代表挨拶を終え席に戻り、式も終わりを迎えた。
「以上を持ちまして第56
この日のスケジュールは午前中に入学式、午後に大学の講義を受けるためのクラス分けテストという初日からかなりのハードスケジュール。そして午後のテストも何とか乗り切った太一は、一人暮らしのために借りたアパートへ帰る途中、これから始まる大学生活に期待と不安で胸がいっぱいだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます