68.
生きたまま焼かれるゴブリンが戻え苦しみ、最後の力を振り絞って死んでいく光景は、例え相手が魔物で化け物だとしても、惨いとさえ思う。
マジックアローが一瞬で放てるのに対し、発動に数秒かかるとは、使い勝手が良いとは言えないが、この威力は素直に嬉しい。
「まぁ上々か」
「え、何か反応薄くないですか?」
「気にするな、それよりも行こうか。時間が惜しい」
「はい、でも先輩が」
望奈さんを心配そうに見る白浜さんだが、別に白浜さんに持たせて走らせるつもりは無い。
「魔術付与―
望奈さんに手をかざし、魔術を使用する。
「わぁっ、え?!先輩が軽くなったッ!」
「白浜さん、それ望奈さんに聞かれたら違う意味で、怒られるよ」
望奈さんを両手で支えていた白浜さんが、今は片手で支えて楽に支えて居た。それ程変化があったという事だろう、凄いな魔術わ。
「別にそういう意味で言ってませんからっ」
「そぉ?なら悪かった」
≪職業・魔術士を堅士に変更しました≫
≪職業補正によりVIT+2・STR+1されます≫
「まだ軽いよね?」
「はい。変わりありませんが?」
俺が魔術士を設定から外した事を知らない、白浜さんが不思議そうに答え、そのまま俺はステータスを幾つか変更し、望奈さんを抱きかかえ移動を始めた。
【千田 本暁】 Lv11(0/1100)
【職 業】:魔法士 Lv1(0/1000)
:堅士Lv5(0/0)
:速士 Lv2(10/50)
【特 恵】:護士 Lv2(30/30)
【H P】:60
【M P】:423
【STR】:1 +5
【VIT】:1 +10
【AGI】:1 +8
【DEX】:1
【INT】:80 +2
【RES】:1 +2
『SP=8』『JP=15』
スキル
【水矢】
【火壁】
【ガードスタンス】
【マジックバリア】
実績
【チュートリアル1】
【チュートリアル2】
【極振りの体験者】
【人種殺し】
【ゴブリン初討伐】
【ゴブリン殺し】
【ゴブリン観劇】
魔術の付与とSTRの微上昇のおかげで、望奈さんを抱えて走っているが、それ程苦でも無く、支障無く走れていた。
「ずるぃ...」
問題があるとすれば、走りながら呟く、横にいるヤバい子ぐらいだろう。
「なら代わるか?別に良いが遅れられても困るぞ」
「分かってて言ってますよね、千田さんの意地悪..」
歯を食いしばる程、何がそんなに悔しいのか分からないが、そんな暇があるなら前に居る二匹のゴブリンぐらい倒して欲しいものだ。
「
「
縦に並んで無い敵に対しては、二発放つしか方法は無く、明らかに非効率でMPの無駄使いとすら言えるが、近接戦闘を行い、望奈さんに攻撃が当たる事だけは避けなければ行けない。
「白浜さん、ゴブリン数匹ぐらいなら倒せない?流石に、少数にスキルを使ってたらMPが足りない」
「えぇ、仕方ないですねぇ。先輩のっ!為に、私も一肌脱ぐとしますか」
急に謎のやる気を出した白浜さんは、もこもこした上着の中から鉄筋を取り出したが、どうして女性がそんな所から銃を取り出す様に、鉄筋が出てくるのか聞いてみたまであるが、変態とか言われそうなので何も言わない。
「前から三匹だ」
「え!三!?さっきより多いじゃないですかぁああッ」
住宅街の道を走っていた俺達の進路に、曲がり角を曲がりやって来たゴブリン三匹が居、文句を言いながらも白浜さんは、走る速度を数段上げ一気にゴブリンに近づいて行った。
「えいッ」
近づいた白浜さんが中央のゴブリンに、上段から綺麗に鉄筋を振り下ろし、頭部を砕き鉄筋が食い込ませ、頭を地面に叩きつけ、左右のゴブリンからの攻撃を、目の前のゴブリンを踏み台に真上に飛び避け。
「はぁあっ!ていっ」
落下の勢いも加わり身体よりも下に振り下げた鉄筋が、またもや一匹のゴブリンの頭部を叩き割り、空中で身体を後ろに捻りながら鉄筋を振るい、最後の一匹の頭を引きちぎり、横に打ち飛ばしていた。
「何だ、十分戦えるだな、お疲れ」
戦闘が終えた白浜さんを通り越し、走りながら言葉を投げかけ、時期に白浜さんが追いついて来る。
「私は先輩のっ為に、やってるんですからね!そこを忘れないで下さい。それに緋彩先輩が目を覚ました時に、私の活躍っぷりを話すんですから、邪魔しないで下さいよね」
「はいはい。分かったから、周りに集中してくれ、ゴブリンが居るんだぞ」
「そうですね、でも千田さん、異様に気づくの早く無いですか?さっきだって、私の視界にゴブリン入るよりも先に言い始めてませんでしたか?」
「…雰囲気ですよ、森で何かが動くと、森に波長が生まれるのと似たような感じです、まぁ感に近いですがね」
「そんなの、分かります?普通ぅ..あ、千田さんは変な人でしたもんね、変態さんでしたか」
「いや、違うから止めて頂きたい。だからゴブリンだって、早く行って倒さないと、交戦してても俺は置いていくからな」
「ちょっ、それは酷く無いですか!?分かりましたよ、行ってきますよ、はい」
白浜さんが前に飛び出し、一足先にまた戦闘を行い俺が素通りする、通る前に倒し白浜さんが待っている、そんな事をゴブリンが現れる度に繰り返し、俺達は戦闘が激化しているその場所に辿り着いた。
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