66.
「
走った状態を維持したまま、望奈さんがゴブリンの首筋に矢を刺し、引き抜く。
「はぁぁはぁぁはぁっ。っなんで…」
一緒になって横を走る白浜さんは既に息が上がり、走るだけで精一杯のようだった。
「…どうして、疲れないんですかっ‥‥」
「俺は世間的に言えば引きこもりだったが、そんな生半可な鍛え方はしてない。望奈さんは元が凄い上、今はステータスの効果で更に拍車が掛かってる状態だ、常人じゃない」
「そんなっ、一言言って、教えて、下さいよ…私、これでも自信あったん、ですから‥‥」
今の白浜さんに言われても全く実感が分からないが、まぁ本人が言うのならそうなのだろう。
だが俺も自信ならある方だ。伊達に創作のキャラに憧れて、物音一つで起きようと座って寝たり、引きこもりなのに自主的に走り込んだり、高い所から飛んだり色々やっていた変人なのだ。
まぁ弊害として、夜中にマンションの住人の階段の足音で起きるのは辛いが…それも今となれば役に立つので有難い限りだ。
「頑張れ」
「言われなくともっ」
短く言い会話を終わらせ、前を見れると3匹のゴブリンが、脱力した状態で倒れ傾き、やがて地面に倒れたゴブリンは身動ぎ一つしなかった。
「
望奈さんの数え言葉が途切れる事無く、繰り返され、ひたすら数え続けるその姿は、誰が見ようともその状態が、暗示に等しい事なのは、分かりきっていた。
止める事無く、望奈さんが更に数分間ゴブリンと戦い続け、やがて望奈さんの姿が集団から脱出する様に近づいて来た。
「
敵の集団中に紛れ込み、乱戦とも言えない戦闘を繰り返し、ゴブリンを殺し駆け巡った望奈さんが、集団の中から勢い良く出て来る瞬間に、最後の一匹を刺し殺し、他のゴブリンが背後に居る中で、糸が切れたように膝から崩れ落ちる。
「はい、ゆっくり休んで下さい。後は俺達がどうにかします」
倒れる望奈さんを支え、遅れて駆け寄ってくる白浜さんに、支える重心を移し、ゆっくりと手を離す。
「マジックアロー」
魔法を放つ素振りを行い、近づきつつ居たゴブリンを倒し、距離を維持させながら、俺はステータスを開いた。
【千田 本暁】 Lv11(0/1100)
【職 業】:魔士 Lv5(0/0)
:護士 Lv2 (30/30)
:堅士 Lv4(60/60)
【特恵】 :未設定
【H P】:50
【M P】:365
【STR】:1 +4
【VIT】:1 +8
【AGI】:1
【DEX】:1
【INT】:57 +12
【RES】:1 +9
『SP=31』『JP=21』
スキル
【マジックアロー】
【マジックバリア】
【ガードスタンス】
実績
【チュートリアル1】
【チュートリアル2】New
【極振りの体験者】
【人種殺し】
【ゴブリン初討伐】
【ゴブリン殺し】
【ゴブリン観劇】New
ステータスを開き、表示が変わってる事など気にしてられず、俺は迷う事無く未設定を押し、小さく表示された項目には、運び屋と表示されていた。
何故運び屋なのだろうか、まず特恵が運び屋や限定の可能性も無くはないが無いだろう、あるとすれば過去に設定した職業か。
おいそれとまた押しせずに、一旦戻り、職業欄を触り変更可能な職業欄を表示させる。
戦士・軽士・遠士・技士・攻士・防士・速士・放士・冒険者・運び屋・契約士・魔法士・魔術士 無職・引き籠り・ニート・フリーター・ゲーマーなどなど……相変わらず酷いが後半部分は特に変わり無いが、異世界的職業は普通に増えてた。
≪職業・魔士を魔法士に変更しました≫
≪職業補正によりINT+1・AGI+2されステータスが変化します≫
≪スキル・水矢・火壁を獲得しました≫
≪パッシブスキル・並列思考を獲得しました≫
≪魔士を特恵に設定します≫
≪スキル・マジックアローを獲得しました≫
≪職業補正によりINT+2・RES+1されます≫
≪職業・護士を魔術士に変更しました≫
≪職業補正によりINT+2・DEX+1されステータスが変化します≫
≪スキル・魔術展開―魔攻炎岩・魔術付与―重軽化を獲得しました≫
≪パッシブスキル・並列回路を獲得しました≫
≪職業・堅士を攻士に変更しました≫
≪職業補正によりSTR+3されます≫
≪職業・攻士を速士に変更しました≫
≪職業補正によりAGI+3されます≫
≪特恵魔士を護士に変更しました≫
≪職業補正によりRES+2・INT+1されます≫
≪スキル・マジックバリアを獲得しました≫
「
ステータスを粗方変更した俺は、かざしてた手を一度引き再度伸ばし、魔法を発動された。
マジックアローと同じ形状の矢が姿を現すが、その状態は明らかに液状で、透き通る水色の水が、流動的に動きながらも矢の形を保ち続けている物だった。
手をしならせるように前後に動かし、水矢が勢い良く飛んで行き、忽ちゴブリンを貫いた矢は 止まる事無く何匹ものゴブリンを貫き続けた。
これじゃ、違いが分かりにくいが、貫かれたゴブリンの傷口は、マジックアローで貫いた時よりも傷口周辺の損傷が少なく、触れた部分のみを消して進んだ様に思えた。
「魔術展開・魔攻
矢を放つ時も同じ要領で手を前にかざし、魔術を発動し、身体から手に魔力が流れる感覚が鮮明に感じ取れ、かざした手の前に直径50cm程の魔術陣が次第に現れた。
「やばっ…」
白浜さんが声に出すが、同じ様に胸の高鳴りは確かに存在していた、きっと状況が違えば俺は更に喜びまくっていたのだろう。
現れた魔術陣に魔力が流れ、陣の紋様の中心から次第に光だし、魔力で満たされると、光り輝いた陣の真ん前に小さな灯火が現れた途端、灯火はゴブリン一匹と同等の大きさにまで一気に膨張した。
「焼け焦げろ」
球を押し飛ばす様に手を動かし、炎の塊が矢と比べてしまえば遅いが、普通のゴブリンが避ける事の出来ない速度で飛んで行き。
着弾した箇所を起点とし熱風が吹き荒れ、広がる炎が周囲のゴブリンを包み焼け焦がしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます