52.


「何が気になるの?」


「あれですよ、職業って、Lv上限までなら何個でも持てるのか、って言う」


「現状で考えるのなら、大丈夫なんじゃないかしら、何なら次Lvが上がったら増やしてみたら?」


「いや、それは流石に‥ありか」


「どっちよ」


 いや、冷静に考えれば有りかもしれない、今現在使えるスキルの数が少ないのは心許無いし、新しい職業を増やして手数を増やすのもありだぞ。


「何の話しをしてるんですか?緋彩先輩」


「職業の数よ」


 俺の事は当たり前の様に気にもせず、会話に入ってくるなり望奈さんにだけ話しかける様に行動する白浜さんが現れた。


「それって、自分のLv分なら職業沢山持てるかもって話しですか?」


「ええ、その通りよ」


「それなら、大丈夫ですよ」


「妙に自信があるわね、どうして言い切れるのよ」


「ふっふっふっふぅ、何を隠そう語ろう内の華憐かれんちゃんは既に6個の職業を持っているからなのです!」


「まじか」

「驚いわね、まさか実行してる人が居たなんて」


「おい菜奈なな、勝手にパーティー内の事を話すんじゃない」


「良いじゃん、緋彩先輩だもん。」


 ペラペラと自慢気に話す白浜さんを叱るように、後ろから九藤さんが半分呆れてるような様子で言ってきた。


「まぁ、確かにお二人なら問題ないが、良いか。絶対に他の人には言うんじゃないぞ」


「はーい」


「全く、ちゃんと分かってるんだろうな」


 何だが九藤さんを見てるといたたまれない気持ちになるが、おかげで良い情報が手に入ったので申し訳ないが、このまま聞くことにする。


「白浜さん、その6つの職業は軽士とかを選んでるんですか?」


「・・・・・・・・」


「教えてくれるかしら、白浜さん」

「はい!」


 何だこの差は、俺は真顔で見られ、望奈さんが聞けばそんなに元気になるとか、いくら何でも傷つくもんは傷つくんだぞこんりゃろ。


「えっと、華憐かれんが選んでるのはですね、戦士、堅士、軽士、遠士、魔士、護士の6つです緋彩先輩!」


「白浜さん達とは違った変化が起こったりはしてるかしら?」


「いえ、特に新しい職業が出てきたりは無いですね、でも戦士をLv5にしたら剣士が出て来るらしいです。」


「ぁぁ、それね。さっき私も遠士が5になった時に弓士が出て来たわね、って事は初期から選べる職業がLv5になると、その上が出て来るのね。」


 あれ、魔士の上何てあったか?


 無いな、ステータスを開いて確認したがそんなの何処にも無かった。


「一応言っておくと魔士にはないぞ」


「それは、本当?」

「嘘を言う必要がありません」


「それ、海維かいも言ってた。折角Lv5にしたのに無いって何でだよおって」


 他の職だったら上があるのに、無いって分かったら残念だもんな、まぁ俺の場合は確かに他のスキルも欲しいが現状マジックアローの優良さに満足してるが。


「結局私は弓士を取るか軽士のLv上げって訳ね、ありがとう白浜さん、おかげで無駄な事をしないで済んだかもしれないわ」


「いえ、お役に立てたのなら本望です!」


「そぅ、それなら良かったわ」


 話してる間もゴブリンの進行が止まる事は無く進み続けていた為に、下を見ればほんの少しだけ道が見えていたりと、ゴブリンの密集率が減ってきたようだ。


「かなり遠くまで見えるけれど、敵のボスらしいのは見えないわね」


「そうなんですよね、でも敵がこっち以外から進んで防衛ラインを進んでいたら、後ろから叩けば良いだけなので、どっちにしろって感じですかね」


「ちょっと良いかな」


「五島さん」

「向こうは大丈夫そうですか?」


 屋上に来てからずっと小村さん達と話していた五島さんが、こちらに慌てた様子で来たって事は何かあったようだ。


「最近の学生は凄いね、僕もまだまだ歳が離れていないから似たような者だと思っていたけど、随分ちがうくて驚かされるよ」


「プラスに働いてるのならそれは良い事です、それよりも五島さん、俺は何も聞かされてませんが、他の自衛隊の方との合流はどうなっていますか?」


「本来ならば、敵がまばらになって来た所で合流予定だったんだけど」


「何かあったんですね」


「あぁ最悪だ、敵の侵攻を止められず、今は既に市役所の防衛ラインまで下がり、時期に破らるとの事だ」


「いくら何でも早すぎるでしょ一体何があったんですか」


「どうやらゴブリン達が仲間の死体を盾にして進み始めたみたいで、それが有り得ない程に銃弾を阻害してるらしく、爆弾で吹き飛ばしてどうにか耐えてるみたいだ」


「数が多いだけでも面倒なのに、それは詰みですね」


「そこで大島陸将から君に、行動を起こして欲しいとの言伝だ」


「俺にですか?」


「君にだ」


「指名されるのがこれ程までに嫌なものだとは、それに起こして欲しい、じゃなくて起こせの間違いでしょそれは」


「僕に言われてもね」


 別にサボってたつもりは微塵も無かったが、一旦落ち着けたという意味では十分だ、なら敵のボスとはいかなくても、敵の強そうな個体を潰しく行くのがこの場合はベストだろうか、敵の中で2,3番目に強い個体の強さは結局調べないと、ボスにいきなり挑んで即死しましたじゃ、話にならないしな。


「分かりました、それじゃ、適当に市役所方面に向かいながら、後ろからゴブリン達がを倒しましょうか」


「良いのかい?それで」


「ええ、どうせ俺達が数で押し切れない無いと分かれば、敵側が勝手に強い個体をぶつけてくるか、無視し始めると思いますので恐らく大丈夫でしょう」


「待ってください、それって私達は9人で、敵の大群をひたすら倒すって事になってません!?」


「そうですが、白浜さん、何か問題でも?」


「ちょっ、先輩止めないと、私達死んじゃいますよ!」

「死にたくなかったら戦うだけね」


「・・・・・」


「元々自殺隊だ、今更言っても遅すぎますよ白浜さん、五島さんなら向こうに行きましょう」

 

「そうしようか」


 向こうで話してる5人の所に向かい、今決まった事を伝え行動し始めたのだった。


 



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