51.


 あれから俺は平穏な昼寝の為に頑張っていた訳では無いが、頑張りそのかいあって俺が攻撃している方向の敵だけ進行がゆっくりとなり、その場所にはひたすらゴブリンの死体が積み重なってた。


「マジックアロー」


 横を振り向き望奈さんに飛びかかっていた跳躍中のゴブリンを撃ち落とす。


「ありがとう。」

「いえ、大丈夫です。」


「えいッ」

 

 白浜さんが手に持っていた鉄筋の様な物で、ゴブリンの後頭部に向かってフルスイングして、望奈さんの周りに居た一匹のゴブリンが倒れた。


「先輩に近づくなぁああ」


 どうしてか白浜さんが勝手に、望奈さんの周りのゴブリンを優先的に倒しているので、矢でのんびりと戦っている望奈さんのカバーが最低限で済んでるのは助かっていた。


「ありがとう、白浜さん。」

「はい!」


「お前は自分の後ろも気をつけろッ!」


 麓山さんがその体格にものを言わせた蹴りを、白浜さんの真後ろに居たゴブリンを、蹴り飛ばした。


「えへへっ」


「ちょ、また後ろ!」

「マジックアロー」


「あ‥ありがとう、ございます」


 ダメだ望奈さんのカバーが最低限だとしても、この子自体がふわふわし過ぎてて周りの警戒が全く出来てない、おかげで逆に疲れる気がするぞ。


 それにどんなに頑張っていても他の所が押されれば、ゴブリンが土嚢の壁をよじ登ったり飛び乗り、防衛ラインの上にはゴブリンが溢れ返り、既に横を見ればゴブリンの方が人より多いと感じる程の乱戦が始まっていた。


「下がれ!」


 五島さんが下がる判断を下した為に、俺達は土嚢の上から飛び降り後退し始める。


「えッ、あの人達は!?」


真姫まき走るんだ」


 話を聞いて居なかったであろう、小村さんが後ろを振り向き残ってる人達を気にかけているが、俺達が助ける事は無い。


「ちょっ、えっ、皆どうして!助けないと」


「俺達の役目は敵の首取りだ、それ以外に余裕なんて無い」


「だからって…」


「これは作戦を決めた僕たち自衛隊の責任だ、君たちが気にする事は無い。それなのに嫌な思いをさせて本当に申し訳ない」


「別に五島さんが悪い訳じゃないじゃん」


「話してる所悪いが、あの建物に入るぞ」


「あぁ」

「分かりました」


 五島さんと九藤さんの二人に反論される事無く、俺が昼間に偵察した屋上があるマンションに入る事が決まった、恐らく望奈さんが元から話してくれていたのだろう。


 その後もスムーズに皆が進み早い段階で屋上に辿り着けた為、ゴブリン達が俺達を追ってくる事も無く一息つく事が出来ていた。


「他の方々が戦っているのに私達だけ良いんでしょうか」


「俺達の役目は頭の討伐だ、無闇に前衛の奴らと戦ってたってキリがないからな」


「でも内らもヤバくないですか、此処バレたら逃げ場無いですよね?」


「まぁなぁ、と言っても何処かでやり過ごさないとゴブリンの後方の連中とは会えないからな、必要最低限の作だ。とういう訳でそこの二人、敵にバレても俺は責任持てないから覗くの止めた方が良いぞ。」


 俺は麓山さんと小村さんの二人が堂々と屋上から下を覗いていたので、一応止めてみると、二人共慌ててこちらに来たので別にバレたい訳では無いようだ。


「お兄さん、そういう重要な事はもっと早く言ってくださいよ!」


「言わないでも見つかるかもとは、考えられるだろ」


「私がそんな賢そうに見えますか!?」


 どうしてそんな自慢げに言えるんだよ、言ってて悲しくならないのかね。


「すまん、俺が悪かった」


 俺の言葉を聞いて分かればよろしい、みたいにウンウンと頷いているが、本人は全く気にしてないみたいなのでこれで良しとしよう。


「二人っていつの間にそんなに仲良くなったんですか?」


「成ったつもりも無いし、分からん」


「私達は最初から同志です」

「いや、何の同志だよ、止めてくれ」


「来たわよ」


 先程二人が覗いて場所とは違い、予め決めてあった場所に居る望奈さんの横から一緒になって下を見下ろす。


 下を見下ろすと、昼間に見えた道路の黒っぽい色は全く見えず、緑色のペンキで上塗りでもされたかの様な光景が道と言う道全てに広がっていた。


「流石にキモいわね」

「あれは流石に群がり過ぎてて気色悪いですね」


「何匹居るんでしたっけ」

「確か、10万じゃ無かったけ」


 10万か、この見えてる奴らだけで1万は居るのだろうか、それとももっと少ないとしたら地獄だな、倒しても倒しても終わりが見えない。


「あれで1万は居ると思いますか?」


「ゴブリンは体積が人よりは小さいし、流石に居るんじゃない?」


「既に何千匹か死んだとしてもまだまだ9万以上居るのか、面倒いな」


「あら、経験値が沢山とは言わないの?」


「限度ってもんがあります」


「そういうものなのね」


「確かに経験値としては良いですけど、効率とかね、そういえばLv上がってると思うので今のうちに上げといて下さい」


「遠士のLvを5にしとけば良いのよね?」


「はい、それともう一つ職業追加するか、軽士のLvを上げるぐらいは出来ると思いますよ、それぐらいは狩ったつもりですので」


 実際、適当に攻撃するだけで絶対に当たり、それでゴブリンが最低一匹は死ぬかとと、ドクロンのMPも考えずひたすら攻撃を繰り返していた為に、100から数えるのすら止めた。


「ならLv上げとくわね」


「了解です」


 望奈さんがステータスを操作してる間に俺も操作して、Lv上限が上がり一つ分の空きに堅士を入れ、一般人と変わらない俺の防御力を上げる。


 というか職業の上限が気になるな、自身のLv内まで可能なら俺は今8個までなら、Lv1の職業をセット出来るのだろうか‥‥


「めっちゃ気になるな」



【千田 本暁】 Lv8(44/80)

【職 業】:魔士 Lv5(0/0)

     :護士 Lv2 (30/30)

     :堅士 Lv1(0/15)

【H P】:20

【M P】:365

【STR】:2

【VIT】:3

【AGI】:1

【DEX】:1

【INT】:69

【RES】:10


『SP=5』『JP=13』

スキル

【マジックアロー】

【マジックバリア】

【ガードスタンス】


実績

【チュートリアル1】

【極振りの体験者】

【人種殺し】

【ゴブリン初討伐】




【緋彩 望奈】Lv7 (12/70)

【職 業】・遠士=Lv5 (0/0)

     ・軽士=Lv2 (0/30) 控え・魔士=Lv1 (15/15)

【H P】:30

【M P】:7

【STR】:1

【VIT】:5

【AGI】:35

【DEX】:15

【INT】:1

【RES】:1


『SP=10』『JP=9』

スキル

【キックアウェイ】

【スピードキック】


実績

【チュートリアル1】

【ゴブリン初討伐】












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