30.ステ振りは大事



「私達っていい加減VITとかAGIに、もっとポイント振るべきなんじゃない?」


「確かに、そろそろ不意打ちとか足の早い系が出てきたら死にそうですよね」


 あれからマンションに戻ってきて、ゆっくりと打ち合わせ‥いや、相談をしていたのだステータスについて、そして一番問題なのが、俺も望奈さんも二人してSPを20以上余らしているという状況があまりにもよろしくない。


 確かに何かあった場合にそれに対応してポイントを振れるのは強い、ただそれは生きているのが前提で死んだら意味が無いのだ。



 よくあるゲームや小説の異世界物語なんかでは数ポイント残して、予備と言って余らしてるが、ここまでいや殆ど余らしているのは俺と望奈さんぐらいだろうな。



 恐らく今現在の地球上で考えても。




「ならVITとかに今度は振りまくってみる?。」



「望奈さん、甘いですよ、俺はね生き長らえたいけど生き地獄は御免こうむります」



「何よそれ。」



「簡単ですよ、地味に防御力がある人間が居るとしましょう、そいつが敵に捕まったら中途半端に堅いが為に簡単には死なないおもちゃとして遊び尽くされるんです、勿論女性は・・・ね?、俺も嫌ですよぉ~拷問受けるならさっさとくたばるHPが望ましいです、それでもその状況をどうにか出来るのならばまだ良いですね、だから総合的に見て仲間の数が少ない内から防御力が抜きん出て強い状態には絶対になりたくないんです」




「確かに‥それは言えてるけど、ならVITは5とかまでにしろってこと?。」



「そこで問題になるのが実績の【極振りの体験者】なんですよね」



「そんな実績あるのね..初耳だわ。」



 あ、そう言えばまだ言ってなかった。



「そうなんです、俺は持ってるんですよね、この感じ一回極振り止めたら多分二度と手に入らないタイプでしょね、そして恐らく体験者なら次がありそうな感じがします。それに望奈さんが言うようにVITの数値が5とかで良いのなら職業を新たに取るって選択肢でも十分に満たせる範囲なんですよね、不幸か幸か」


(魔士はINTの増加など、職業ボーナス的にステータスが上昇する、それと同じ様にVITが増加する職業も勿論存在しているのだ)



「うわぁぁ、たしかにそれは迷うわね。」




「「ん~~」。」




 二人して唸るように考えるのであった。



 最初に口を開いたのは俺だった。




「俺は保留にするとして、望奈さんは既に極振りでは無くなっているのでVITを5までは上げていいと思いますので上げちゃってください」



「そうね、貴方がそう言うのなら5までは上げるわ。」







「これで私も元の状態の一人よりHP、生命力が3倍になったのね..アハハ・・ハ...。」




 そう聞いたら、VIT値に振るメリットは大きいな。


 誰でもお手軽に丈夫になれる、これなら盾を作るよりも肉壁を用意するのも良いかもな。




「俺の為に肉壁になってくれるなんて、ありがとうございますッ」



「ならないわよ!私に何させる気よ。」




 残念、流れと乗りに任せて言えばワンちゃんやってくれると思ったのに。




「良いんですよ?残りのSPも全てVITに注ぎ込んで俺の壁になってくれても」



「そんな事したら、いつか本当に貴方の言ってたとおり死なないおもちゃになるかもしれないじゃないのッ!、それに・・・。」



「どうかしたんですか?、それでもまだ防御力に不安が―」


「無いわよ、それにあれよ、私そろそろ戦力外通告受けるんじゃ、ない?。」




「気づいてましたか――」




 そう望奈さんはそろそろ、ヤバい。


 何がヤバいって最初期のゴブリンですら弓で、対応出来てるのかと言われればグレーだ。


 彼女の人とは思えない命中力があるからこそ、それが浮き彫りになってないだけであり、本人が感じてるんだ、そろそろ限界なのだろう。




 この話を例えるならば、剣士は技術でいくらでも強くなれる。


 だが弓は命中率が上限に達してしまえばそこまでだ、矢の威力、矢の速度は使っている弓に依存し基本的にはそれ以上強くなる事はない、これを更に分かりやすく言うのなら、どんなに腕が良くてもただのスリングショット(別名・パチンコ)で小動物は殺せてもクマを殺すのは無理だろ?




 もっとわかりやすく言うのなら、全年齢対象のエアガンで人を殺せと言われても不可能なのだ。


 そりゃ相手が無抵抗で途方も無い時間があるなら話は別だ。




 そしてそれがバランスがおかしいこの世界に出現したモンスター相手では、弓はもう力不足になりつつある。


 ハイゴブリンが矢を避けようとしたのがそのバランスのおかしさだ、最弱とよく言われるゴブリンのちょっと進化っぽい奴でこれだ。




 オークに関してはも恐らく同じで、前回みたいに俺と合わせるなんて細工をしなければ恐らく防がれる。




 他にも存在すらあやふやだが居るとして、コボルトは避けれるのか?ミノタウロスは?スケルトンはどうだ、あの身体にそもそも矢がきくのか?他にもオーガ・トロール・ゴーレム・ハーピィー・ガーゴイル・トレント・モス・ドラゴン・他にも括りにさえしなければモンスターは多種多様で多すぎるんだ。




 そして俺もどこかでそうなるかもしれないがゾンビが聖属性~とか言っても、その前に一発魔法で弾き消せば死ぬのかぐらいは実験出来る。


 その他の奴らもINTが今後も伸びるのなら威力が増さない通常の矢よりは、魔法の矢の方が未来は明るい。



「まぁ、今は全然助かってるので大丈夫だとしてそれなら残りのSPは温存しときまようか、弓が打ち切りになれば転職、することになるでしょうし」




「そうさせてもらうわ、なら後は貴方のSPの話しだけど、どうするの?」




「ぁあ、決めましたよ、Lvを上げて戦士系の職業を取ることにしました、つまり結局はLvをあげないと始まりません」




 俺は苦笑い気味にそう告げた、つまりまたレベリングだ。




「はい、またレベリングね、もう慣れたし何となく分かってきたわよ。」


 そんな呆れたように言わなくても、まぁ強くなるのは悪いことじゃないからな。



 そうして俺と望奈さんは情報収集も兼ねて、西側の方にレベリングに行くのであった。


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