22.気分


【緋彩 望奈】Lv5 (15/50)

【職 業】・遠士=Lv4 (25/60)

     ・魔士=Lv1 (15/15)

【H P】:15

【M P】:19

【STR】:1

【VIT】:2

【AGI】:7

【DEX】:11

【INT】:3

【RES】:2


『SP=21』『JP=3』


実績

【ゴブリン初討伐】


スキル

【キックアウェイ】

【マジックアロー】






 望奈さんに教えてもらったステータスで、俺は思う事がある。


 レベル5?


(んッはぁ?いやいや、何でもう5になってるの?)


 望奈さんが5に到達してるなんて知らなかった。


 まぁずっと戦闘して、ハイゴブリンが出てからは走ってばっかだったから、言う暇がなかったのは分かるけどさ。どんなけゴブリン倒してたんだよ、本当に...。


「あはははっ、強ッ」


「何よいきなり、そんなん言われても嬉しくないのだけれど」


 そりゃね、嬉しがってもらうために言ってないもん。


 俺の今のこの渦巻く感情を代弁してくれよ。

 なんだいレベル5って。


 もう一人でなんでもできそうだね!うん.....。


「チーターだ」


「なんでそうなるのよッ」


 痛い。


 なんで俺は今チョップされなければいけなかったんだ?理不尽だ。


「もぉ、望奈さんがオラオラして突破すればいつでも出れそうですね」


「出れないわよ!あなたが一番分かるでしょ、近接スタイルじゃない私にそんな事は出来ません」


 そんな真面目な回答は求めてない!

 俺は今現実逃避したいのであって、正論なんて微塵も聞きたくないのだよ。





「みなさぁーん!…朝食の準備が出来ました、…各自で取りに来てください」


(お!?ナイスタイミングだ!腹が減っては、考え事は出来ぬって言うしな)


「望奈さん、ご飯ですよ一応頂いちゃいましょうか、走って腹も減ってますし」


「そうね、数時間前に食べたとは思えないぐらい腹ペコだわ」


 俺と望奈さんは起き上がり周りを見ると、大勢の人が体育館の入り口に向かっていたので、その流れに従って歩き出す。


 そのまま外に出ると自衛隊の車があり、そこでご飯を受け取っているようだった。


「私達も並びましょう」


 望奈さんがテクテクと歩き出し、列に並ぶので俺もそれに続く。


 案外、望奈さんの方がお腹が減ってるのでは?なんて、ストレートに聞いたりはしない、絶対に叩かれるのがオチだもん。




パンッ‥…バンッ


 銃声がいきなり聞こえてくる。


「やっぱり定期的にゴブリンに銃を使っているのか」


「私達が逃げて来た時は、門に居たゴブリン数匹相手にほぼ近接戦してたから、恐らく緊急時や対処出来ない状況でのみ発泡してるんでしょ、弾も無限じゃないし」


 弓を使う望奈さんは、矢という消耗品を常に気にしているからか、望奈さんが言うとやけに説得力が感じられた。


「最初はあ――」

(駄目だな気おつけなければ、俺達が外に出てた情報を知られてはボロが出てしまいそうだ。)


「安全に狩れたら、気持ちも楽そうですよね。俺も銃撃ってみたいですし」


「だめ駄目、一般人に銃は使わせられないなぁ…」


 冗談よしてくれ、お前いつから居た?


 俺の後ろから急に話しかけてきた五島さんに対して、俺の前に居る望奈さんも列の進行方向、つまりは前を向いているため俺達は二人して気づいてなかった。


(さっきの俺の言いかけたの聞かれたか?たまたま言い直した言葉は、繋がってなくもない程度には不自然じゃないはずだが)


「五島さん、おはようございます。と言っても1時間も経ってませんが」


「五島さん、おはよう御座います。 門の警備とかは大丈夫なんですか?」


「二人共おはよう、それと勘弁してくれ。俺だって休まないと、いざって時に集中力が下がってしまうだろ?」


「それもそうですね、本当にお疲れ様です。五島さん達のおかげで避難してきた私達は、安全に休めていますので本当に助かってます」


「そう言われると俺も頑張ってる意味があるってもんだ、こちらこそありがと」


 これはまた俺には喋るなって奴なのか?


 確かに俺はボロ出しやすそうだが喋らない方が怪しいだろ?俺はそう思う。


「五島さん、ご飯ってどんなのが出るんですか?」


「やっぱりあれだけ走って疲れてたらご飯は気になるか、そうか、そうか。良かったな安心して良いぞ、普通の朝ご飯が出るはずだからな」


「おぉぉ、それはとても楽しみです」


「そんなに楽しみにされてると炊事班の皆には、良いプレッシャーになりそうで何よりだ」


 五島さんはそう言いながら大笑いしていた。


「それじゃ、ご飯楽しんでな」


「五島さんもこのまま並んで食べないんですか?」


「我々のは違う場所で用意されている。ここで市民の列に割り込んでまで食べなきゃならない程、腹は減ってないさ」


「そうですか、少し残念です一緒に食べれるかもっと思ってたので」


「いつか機会はあるさ、ではこれで失礼させてもらうよ」


 軽く敬礼して五島さんは門の方に歩いていった。


「望奈さんが警備とか言うから門の方に行っちゃったじゃないか」


「たまたまあの方向にテントがあるだけでしょ、きっと…」


「自信がなさそうですが?」


「確証が無いのに決めつけるのは、愚の骨頂よ」


 それもそうだな、それよりも。


「次の方~」


(来た!俺達の番だ)


「おはようございまーす」


 挨拶をしながら近づき、俺は笑顔で朝ご飯を受け取った。

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