20.無反応な木それが木である
(待て待て待て、望奈さんやいッ!流石にどう誤魔化すつもりなんだ!?この問いかけは一番面倒でしょ!俺達がまだステータスを知らないのなら、皆の為にあの職業を取ってほしいとか言われないか!?)
「君たちはあの声を信じなかった人か、大変だったろう、よく生き抜いたもう安心していいぞ、だがまだステータスを知らないとなればそうだな。もし、あのゴブリン共いや、モンスターと戦える力が君の目の前に今ある画面で得られるとしたらどうする?」
(まさかこのおっさんカマかけやがったのか?)
ステータスと言う単語を口にしたんだ、画面が目の前に現れるんだ初見なら絶対に何かしら反応があるはずだもんな、それで無反応だったら元々しっていると自分で言っているようなものであった。
「本当に試さなかったんですね、普通の若者はとりあえず試す者が多いと聞いていたのだが」
(あれ?バレてない・・?)
「それにしても、もう少しは驚いても全然普通ですよ。千田さんなんて目が泳いでましたし」
(あ、はい…)
どうやら俺がどうすんよッ!?とか思ってた反応を、向こうが良い感じに誤解してくれたようだ。
「いえ、いきなり目の前に変なのが表示されて逆に固まってしまっただけですよ」
それっポイ理由を言う望奈さん、本当にこれで誤魔化せているのだろうか。
「無理もない、私も最初は戸惑ったっものだ。しかし、この力は紛れもなく強力だ。現にそこに居る五島はゴブリンなら素手で絞め殺せる程だぞ」
(なんだとっ..)
俺達に椅子を渡した後も、ずっと斜め後方で待機していた五島さんは、まさかの強者だった。
(やはりこの感じ護衛も兼ねているのだろうな、いきなり来た俺達は怪しさ満載だし警戒しない訳がない)
「自分はまだまだですよ、流石に数匹同時にこられたら対処出来ませんし」
「それでもとても強いと思いますが自衛隊員は皆そんなに強いのですか?」
望奈さんがそんな質問をした。
「今の所、五島が一番強くて他の者はそれを追っている所だ、そして先程いったステータスについてなんだが、」
それから大尉は俺達に基本的なステータスとレベルに関する事を教えてくれた。
知っている事を説明させているのは申し訳ないと思うが、情報のすり合わせだと思えばこの時間も無駄ではないので悪いが利用させてもらう。
そして俺達もしらない情報が入ってきた。
なんでもプレイヤーLvが5になるとパーティー機能の開放。
そして遠士、戦士、魔法士などの初期職業はLv5でカンストするらしい。
まさかここまで有益な情報が得られるとは思ってもいなかった。ようするにだ、あの神はLv5でチュートリアル終了だとでも言いたいのだろうな。
命がかかっている状況を考えればチュートリアルが終わるレベルに達する為に、討伐必要なゴブリンの数を考えるとキツすぎるがな。
俺と望奈はかなりの数のゴブリンを殺してるそれでもまだ4だ。
そして自衛隊員、いや五島は今いったい何Lvなんだ?ずっと戦っているのなら8か9を超えてても疑問に思わないのだが...
――
――
「色々教えて頂きありがとうございます、それで、私達にも戦えとおっしゃるのですか?」
「まさか、先程言ったが戦う力があるならどうする?と聞いたようなものだ、強制はしないさ」
「それは助かります、まだ戦うのはちょっと気持ち的に無理だと思いますので、それも含めて二人で相談したいと思います」
「そうすると良い、疲れている所呼び出して申し訳なかったね。五島、二人を案内して上げなさい、流石に個室などは無いが我慢してくれよ」
「お気遣いありがとうございます。ですがそれも当然の事なので、文句などありませんよ」
「それは助かる、個室をよこせなどと騒ぐ者もいて、こちらとしても困っているのだよ」
「それはさぞ疲れそうですね」
「すまない、少し話し過ぎたようだ、五島」
「ハッ!、それではお二人共どうぞこちらへ」
五島に入り口に促され俺達は席を立ち移動する。
出る時に最低限の会釈はする。
―
―
「二人共疲れただろう。走って疲れているのに、今度は目上の人との会話なんて追撃もいいところだったろ」
「お気遣いなく、座らせて頂けましたので、そこまで辛くはありませんでしたから」
「俺は今すぐに寝たいです」
(なんだよ、本当に喋るなってか?)
俺が今現在の俺の本心を言ったらめっちゃ望奈さんに睨まれてしまった。
「君は素直だね、疲れてたからかさっきも殆ど喋っていなかったしね」
「はい、もうヘトヘトです」
ヤバい、更に睨まれてるからもう黙ろう。うんそうしよ。
(俺は木だ)
「それで私達はこれからどこに連れて行かれるんでしょうか」
「君達には体育館で過ごしてもらうことになる、本当は教室とかを割り当てればもう少し個室って感じになるんだろうけど、それだと万が一の時に人手が足りなくてね、1カ所に集まってもらっているんだよ」
それもそうか、教室に散らばったら距離が伸びるもんな、それに比べ体育館ならそれを取り囲めばとりあえずは守れるし、状況を考えればそうだよな。
まぁもし皆が戦えるなら話はまた別なんだろうが、俺達がさっきこの学校に入った時に門で戦ってたのは自衛隊員以外の人は十数人しか居なかった。
僅か数%だけが戦いに志願したのだろう。
そして体育館は別に離れていることもなく。
校舎の角を曲がった、直ぐ側にあった。
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