18.生きるために
「はぁ、はぁ、はぁ..」
「はぁぁ、すぅ、はぁぁ」
俺と望奈さんは死ぬ物狂いで走っている。嫌、死にそうなのは俺だけかもしれない、望奈さんはどこかまだ、速度に余裕がある感じだった。
俺達が走らされてる理由は、それもこれも全部、後ろからずっと追いかけて来る、ストーカーハイゴブリンのせいだ。
走っても、走っても、曲がってすぐにまた曲がって見失わせようにも、そもそもの距離が離れていないため離し切れず、こうして撒けずに追われている。
「このままだとあなたの方が先に走れなくなって餌になるけど、どうすんのよ」
「体力に余裕があるなら、望奈さんが、考えてくださいよ。俺わぁぁ、走るのに。集中、しますからっ」
「私だってそんな余裕はないわよ。第一そんな良いアイデアが思いつかないから、あなたに任せてるんじゃない」
(えぇぇそんなぁ、望奈さんも思いつかないのか。…俺もなんだが)
どうしよう。
このままでは本当に俺の体力が先に尽き、俺はゴブリンの餌食になってしまう。
その隙きに望奈さんは恐らく逃げ切れる可能性もあるだうが、これが彼女とかなら喜んで囮役をするし、敵に向かっていくよ?だが、まだ出会って数時間の女性の為にそれは出来ない。それにやるなら望奈さんがやってくれよ。俺が助けた時の話を完全に忘れてないか?この子。
「本当に不味いですって」
そろそろ体力も限界。
体力はある方なのだが、この強敵に追われ、追いつかれたら死ぬなんて状況で走っていたら、体力の減りは普通の比じゃない。
「ほら頑張んなさいよッ」
パンっと綺麗な音が鳴り。
望奈にほらと言わんばかりに背中を叩かれていた。
だけどこのままでは、どうにもなら無いのもまた事実。
望奈さんが誘導するように走ってくれるので、俺は考える事だけに集中する。
(考える…)
今この状況をどうにか出来る方法を。
まさに必死に考えた。
このままでは死ぬしかないのだから。
「望奈さん、一つ聞きます、他人の命は?」
「その答えには答えちゃ、いけない気がするのだけど。まぁ私よりは勿論下よ、死にたくないもの」
よしっ。
恨み、戯言、罵倒は後で、今の言葉を再生して回避しよう。
「なら、あの音のなる方に押し付けちゃいましょうか」
俺はそう言いながらある方向を指さす。
「はッ!?ちょッ、あなた正気?あそこって、数時間前に見た学校じゃない」
「正気もまじのマジですよ。だってまだ音がなってるなら生きてるんでしょ?自衛隊」
まだ定期的に爆発音や発砲音が、微かに聞こえてくる。それは同時に彼等がまだ生きていて、弾薬が尽きていない証拠だ。
「こんな変なゴブリン連れて行って、それで向こうが壊滅したら大変でしょ」
「その時はその時ですし、押し付けてその間に逃げます」
「……」
(なんでしょうその視線は、俺は悪くありませんよ)
「俺達も税金を払って生きてきた日本国民です、守ってもらうのは当然です!」
「……」
(なんか言ってよッ!どうして良いかわからないじょないか!ええいッこうなったら、この作戦を強行してやる)
「という事で、我々は命かながら逃げてきた一般人ってことで行きましょう。望奈さんも弓を持ってるけど、まだ怖くてモンスター相手に使ってないという事でお願いしますね」
「あなたってゲ――、やっぱりなんでも無いわ。もう了解よ、あなたに考えさせた私も悪かったわよ、従うわ」
うむ。それで良いのだ。
俺達はそれから最短で学校を目指した。
途中走っていると、引き連れるゴブリンの数が異常に増えていく。
そしてらこれはチャンスと捉え俺は、ハイゴブリンじゃない普通のゴブリンにはマジックアローを放ち俺の経験値になってもらった。
どさくさに紛れてハイゴブリンも狙ってみたが、普通に避けられその後ろにいたゴブリンが吹き飛んで死んだだけで終わった。
(強すぎだって)
更に300m程走り。曲がり角を曲がると学校の門が見え、その周りにはゴブリンが居たが、その数はまばらで無理やり走って突破できそうな程には片付いていた。
俺と望奈さんは二人で顔を見合わせ、タイミングをはかり。
「「助けてくださぁあああい!!!」」
走りながら叫んだ。
すると門の前で戦って居た自衛隊の人と、一般人?だろう人達が俺達に気づき。何やら慌てて話したり、走り出した隊員が陣形を組み始めた。
「「ごめんなさい」」
俺と望奈さんは二人して小言で呟いていた。
俺達の後ろには、予想以上に数が増え増えたゴブリン達が、五十が匹以上は追いかけて来ている。しかもその中央には、ハイゴブリンという強い個体もオマケで居るときた。
(完璧な
酷いなすりつけだと思うが、まぁ仕方がないと思う。だって強すぎんか?どうやって勝てと、俺達が遠距離じゃなくて、どちらかが近距離で試しになんて近づいてたら、間違いなく死んでたぞそいつは。
―
―
―
「こっちだ!頑張れッ!!」
俺がそんな申し訳ないとか考えて居たら、一人の隊員が大きく叫び、手で招き入れるように大きく振っていた。
それからは何も考えないで真っ直ぐに走った。
この状況で変な進み方されたら、俺が向こう側の人間ならたまったもんじゃない。この数のゴブリンを相手にするなら、今から発砲して少しでも数を減らさないとキツイからな。
「バン」「ババンッ」「パ-ン」「バババッバッバ―――」
ほら始まったよ。
俺達は銃声が鳴り響き、銃弾が飛び交う中を、真っ直ぐ走るのだった。
(少しでもそれたら、死ぬって…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます