10.世界的絶望
俺と望奈さんは数分間その場で座り込んでいた。
別にまた人を殺して、気落ちしていたとかではなく。ただモンスターの意識がこの辺りから離れるのを待っていたのだ。
二人とも遠距離攻撃の為、階段の踊り場から攻撃していた、そしてコンクリートでできた階段は基本的に座れば周りから見られることはない、だから休憩も兼ねて座って居るのだ、それに俺が大丈夫だから望奈さんが大丈夫かと言えばそうとは限らないのが現実である。
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「そろそろ良いかな」
5分は経ったから大丈夫だと思い頭だけを、ちょこっと出し周りを見る。
「うげぇ」
「ちょ、汚いわよ、どうしたのよ‥‥げぇ」
「げぇ、も女性が使うのはどうかと思いますよ?」
「だって仕方ないじゃない、あれは...」
これはゲームでは無く、現実なのだ。
俺は世界にモンスターが現れた直前に、ゴブリン以外にも沢山のモンスターがいる事をちゃんと見ていた、そしてその中にも居たオークが、今俺達の視界の先に立っていた。
オークの身長は2mは超えており、体型は相撲をするには向いてる感じだ。
そして顔はきもい、豚の顔がほんの少しだけ人型ようになった感じのイメージ。マジキモイ。
「ここは、クッ、殺せ。を再現でもしますか?」
「クッ、殺‥せ?ん?‥‥‥‥・・ッ!?」
鬼の形相で睨まれた。
でも望奈さんよ、知ってるってことは――
この話はやめよう、これ以上先を思ったら俺の未来が無い気がしてきた。
「で、実際問題、ありゃ勝てないですね」
「そうなの?」
「あの豚ども自衛隊の機関銃も腕の脂肪で耐えるという、キモさです」
俺は最初に見た時に得た情報を教えた。
「何それ、銃で貫通できないのなら私の矢なんて、無意味じゃない」
「そうかもしれませんが、あのクソッタレな神様がゲームと同じようなステータス効果にしてくれてるなら、職業で矢の威力が上がったり、ステータスで変わる事もある筈ですよ、なのでそこは今後に期待するとして、そんなに気落ちしなくても大丈夫ですよ」
「なら、今は打つ手が無いんじゃない?一旦部屋に戻るの?」
(自衛隊の攻防を見た感じ、銃程の威力があれば倒せるんだろうが銃はゴブリンを一発で仕留める、俺のマジックアローは一発の時もあれば数発、あれ?なんで差がそんなにあるんだ?)
「戻りましょうか」
俺たちは体勢を低くしたまま階段をゆっくり上がり、部屋に入っていった。
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「悲報をお知らせします、詰みました」
「はぁあ!?、なんでそうなるのよ」
俺は部屋に戻ってから数分間ずっと一人で考え、そして、ある仮説に行き着いたのだ。
「この世界に現れたモンスターには、我々と同じ様にLvが付与されている可能性があり、人を殺す事で強くなっている可能性があります」
「うそでしょ、それって‥‥」
「そうですね、殺しに来てます」
恐らく神は、俺たち人種を生き残らせるつもりはないらしい。
(後手に回れば、魔物は強くなり続ける)
仮にだ。
東京都にいる誰かが東京で一番強い魔物を一週間かけて倒したとしよう。
恐らく不可能だけど。
そしてそれと同等以上の魔物が北海道にでも居るとしてそいつが、そこで虐殺を続けLvを上げまくってから南下してきた日には恐らく勝てない。
Lvが上がるのはこちらも同じかもしれんが、最初っから力の差がある敵がLvアップして強くなって来る、しかも俺の体感で答えて良いなら人は経験値としては美味しいのだ。
「てか、どうしてその仮説に行き着いたのよ、ちゃんと教えなさいよね」
「望奈さんの部屋で倒したゴブリンですよ」
「ん?あれが、どうしたのよ」
(あの時は完全に怯えてたからなぁ、詳しく覚えてないのか‥)
「俺のマジックアロー一発で頭が吹き飛び死んだ個体と、三発で死んだ個体の違いは、なんだと思います?」
暫く待っても何も言わないので、俺が思っている予想を口にする。
「それは隣の部屋で人を殺した個体と、違う個体だと俺は考えています」
「でも、それが当たってるって可能性は低いじゃないの?」
「そうでもないんですよねぇ」
「魔物が現れて最初に倒した、個体は既に人を数人殺していました。
そしてそのゴブリンのLvが3だと仮定して、俺はそいつを殺すのにマジックアローを9発も使いました。
その時のINTが8で、使った魔法が9発、正しい計算方法ではないでしょうが単純に1INT=1ダメージ計算で例えると8×9=72、ゴブリンLv3のHPは恐らく72以下64以上と過程して。
その後の望奈さんの部屋でのゴブリン一体目はINT19の一発で死にました。
二匹目が19×3=57で死んだ事になります。
個体差はあるでしょうが
・Lv1のまだ人を殺していないゴブリンのHPは1~47
・Lv2で47以上63以下
・Lv3で64~72HPとかそれぐらいでしょう、実際は防御力のVITがどのように関わって来るか次第ですがまぁ、向こうもLvを持っている可能性は非常に高く、1Lvで強さがだいぶ変わるのは当たってると思いますよ?」
「頭が痛くなる話ね‥もう聞きたくないわよ」
「ほんと勘弁してほしいですよね」
ゴブリンからしたら人は殺しやすく、食べれる事も出来、玩具にも変わる最高の獲物なんだろうな。
(神の性格が最悪なら人を経験値キャラに設定したのだとしても何ら不思議はない)
その経験値の塊をまた殺した事により、俺の職業Lvが絶対に上がっていると俺自身は確信していた。
【千田 本暁】Lv2(15/20)
【職 業】:魔士 Lv2(10/30)
【H P】:10
【M P】:61/111
【STR】:1
【VIT】:1
【AGI】:1
【DEX】:1
【INT】:21
【RES】:3
『SP=0』『JP=6』
実績
【ゴブリン初討伐】
【人種殺し】
(やっぱりLvは上がってたな‥)
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