3.初めての魔法
俺は目の前に表示されているステータス画面を操作し、職業欄から魔士を押した。
≪JPを1消費して魔士を選択しますか? Yes/No ≫
親切な事に確認のメッセージがステータス画面に表示された。
もちろん( Yes )を押す。
≪職業が魔士になりました・職業補正によりINT+2・RES+1されます≫
≪スキル『マジックアロー』を獲得しました≫
次々に表示されるメッセージ
「やったスキルゲット!これでーっと」
(その前に情報共有が先だ)
『魔士選んだんだが、INT+2・RES+1されて、スキル・マジックアローをゲットしたぞ!』送信ッと
今の状況で情報を要らないと言う奴は居ないだろう、そして俺も少しは情報提供者として役に立ちたいのだ、いつもなら俺が何かを教える前に、このメンバーはそれを発見して知ってる状態が多いからな、こんな時にこそ貢献しなければ。
『やっぱり魔士選んだんだ。』
(相変わらず早いなおい)
僅か数秒で反応が返って来た。
何か俺みたいに作業とかしてないのかな?俺は今、一分一秒が惜しくて作業しながらなんだが…
『おう、そりゃぁ~あったら選ぶだろ!笑』送信
俺の魔法に対する思いを甘く見てもらっては困る。
『それはそれで予想通り過ぎてチトつまらん』
『まぁそうだろうとは思ってたよ。』
『それでスキルは試してみたの?』
(つまらん、とは何だ、良いだろ。てかこの状況下でもネタとか優先してるんじゃないだろうな?こいつら‥)
抱かなくても良い筈の不安が、頭に浮かんでいた。
『まだ使ってない、下手に部屋で使って壁に穴でも出来たら拠点失った状態でスタートだぞ?流石にそれは嫌だからまだだ』送信
『なら近くの公園に行ってきなさいよッ!その結果次第では私も魔士にするんだからっ』
『俺で確認かよ、、まぁ良いけどさ、ちょっと待っててくれ試したら戻ってくるよ』送信っ
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「微妙~~」
俺は早速マンションから徒歩1分もしない場所にある公園に来ていた、普段から使われる事がないこじんまりとしたマンションの一部屋ぐらいの大きさの公園だが、整備はされていてベンチや一つだけある滑り台はほぼ新品のように綺麗な状態だ。
住宅街にあり、周りの家から見られてしまうかも知れないが、時間と場所を考えたらここ以外に良い実験場所は他に無い。
それにしてもやはり時期を考えれば当然だが、かなり寒いな‥
この寒さの中、走ったりして呼吸をするのはかなり厳しいな、前にストレス発散で気分に任せて住宅街を走って散歩したが、その時は、口から血の味がして気分が落ちたのをよく覚えている。
これは時期の寒さも考えながら戦闘とかするべきなんだろうな。
公園に向かいながらも考え、着いてからも色々考えたり、周りの目を少しは気にしていたが、俺は覚悟を決めスキルのマジックアローを試したのだった。
うん試したんだよ‥‥
結果は長さ30cmも無さそうな小さく少し青っぽい矢が出てきて、手をかざし狙っていた公園の地面にその矢は飛んでいった。
その威力は固く固まった土をスッコプで掘ろうとした時ぐらいには公園の地面を削った、まぁ1cmぐらい?
試しに悪いと思ったが公園のベンチを狙ってみた。
結果は少し傷がついたぐらい。
大人が石を投げたぐらいだろうか...
「うん、実に微妙~まぁ実験はここからだ」
これからSPを振り分けて、どれぐらい威力が上がるのか検証するのだ。
(まずはINTに+1を振って…)
俺はさっき攻撃したベンチの、傷がついてる所の少し横を狙ってスキルを発動させた。
「変わったか?」
目で見てもハッキリとは分からない。
だが両方を指で触って確認すると今出来た跡の方が微かに凹みが深い気がする。
(これなら上げても良いか?)
まぁINTにポイントを振らないのなら、俺はこれからの戦闘で辛い思いをする可能性がグンって跳ね上がるだろうが、もし振って役に立たなければ更に辛い思いをする。
(だけどこの数値とこの魔法だけで見切りをつけるのは時期尚早か‥)
それに後2ポイント振れば、数値的には初期の倍の威力という事になるし、INT1ポイントでMPが5も増える為振れば振るほどメリットが大きくなる。
(マジックアローは一発3MP消費するから上げるしかないか?)
それなら1ポイントでそうそう変わるもんじゃないから初期のポイントは全てINTに極振りだな。うん、そうしよう。
俺は残っている4ポイント全てをINTに振った。
そしてMPは合計で44、スキルを使いMPを消費したので表記は 32/44 と表示されていた。
本当は1ポイント毎にスキルを試し威力がどう上がるのか検証したかったが、一発でMPを3も使う為それを実行してしまうと、俺の総MPの半分は使う事になるので中断した。
それにさっきから待っても待っても全然MPが回復しない。
(まさか使ったら回復しないとかか?)
俺はそんな不安を抱きながら使う魔法の威力は知らなくては、と思い極振りしてINTが8になった今の状態で最後にもう一回だけベンチを攻撃する事にした。
「マジックアロー」
(・・・・・・・・・・・・・・・やっちゃった。)
これは完璧に器物破損で捕まるわぁ。
ペンチの背もたれは厚さ2cm縦5cmの長さ1mぐらいの長方形の四角い棒が間隔を空け並べられて作られている。
その棒にスキルを使ってもさっきまでは少し傷がつく程度だったが、今放ったマジックアローはその棒に亀裂を入れ、少し折れ曲がった状態にしたのだった。
(恐らく軽く押せばその棒は折れるだろう‥)
まぁまぁ威力は上がった?
多分大人が金属バットをフルスイングで攻撃するぐらいにはある?か..。
「わからんなぁ~ 」
他に比べられる物も無ければ、その方法も思いつかない。
その為この魔法の威力の例えが分からないが、今は検証してるMP的な余裕は無いので俺は考えるのを諦め、スマホでその壊れかけのベンチを写真で取りグループに流す。
普通に考えれば俺がしてる行動は自分の犯罪を周知させてるのだが、まぁ魔法が本当に使えたんだ魔物が出てくるのはもう確定だろう。
ならこんな事でいちいち捕まえに来る余裕は無いはずだ。
俺はそう思い、油断しながら帰るのであった。
「さて帰ろう」
(後30分か‥言葉に表せない気持ちだな)
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