第18話 ウァレフォル アモン 12干支 可愛いエルちゃん

「ナイモンしようぜ! アハッ!」

 サトはナイト・オブ・モンスターというスマホゲームで遊んでいる。

「スズを助けるんだ!」

 対戦ではなく、イベントで12干支チャレンジが始まった。

「ネズミの次は牛だ!」

 サトはネズミの干支騎士マウス・ナイトを倒し、さらわれたスズを助けるために次は日本山の牛山を目指す。

「あれが牛山!」

 サトの視界に牛の山が見えてきた。


「やって来ました! 牛山!」

 サトは牛の山にたどり着いた。

「おまえが光の騎士か。よく来た! 牛の山へ!」

 牛が現れる。

「う、うし?」

「ただの牛だと思うなよ! ナイモン・変身!」

 牛が鎧を装着した人間に変身する。

「ナイト・オブ・モンスター! 牛の干支騎士! カウ・ナイト!」

 牛の干支騎士が現れる。

「牛が騎士になった!? そんなの有りか!?」

「ありなのだ! ウッシッシ!」

 干支騎士カウ・ナイトはうしし笑いをする。

「おまえに日本山を登らせる訳にはいかない! 先に進みたければ俺を倒していくんだな!」

「いいだろう! おまえを倒して僕はスズを助けるんだ!」

 サトは戦うことを決意する。

「サトの名において命じる! いでよ! スラちゃん!」

「スラ!」

 サトはナイモン・カードからスラちゃんを呼び出す。

「いくぞ! スラちゃん! カウ・ナイトを倒すんだ!」

「スラ!」

 サトとスラちゃんは気合を入れる。

「面白い! スライムか! 日本山に挑む実力があるのか俺が試してやろう! ウッシッシ!」

「よし! いくぞ!」

 サトと牛の干支騎士カウ・ナイトの戦いが始まる。

「くらえ! スライム・ナイト! 必殺! カウ・ソード・スラッシュ!」

 牛の干支騎士カウ・ナイトの攻撃。

「ギャア!」

 サトは吹き飛ばされる。

「大したことはなかったな! 死ね! スライム! とどめだ!」

 牛の干支騎士カウ・ナイトの攻撃。


そうはさせないぞ!


「なんだ!?」

 干支騎士カウ・ナイトが攻撃を繰り出す前に誰かが牛の干支騎士カウ・ナイトに攻撃を繰り出すが後方に避けられかわされる。

「タカ!? どうしておまえがここに!?」

 サトのクラスメイトのタカが現れた。

「俺たちは友達だろ。スズがさらわれたら俺も助けるために力を貸すぜ! 共闘ってやつだ!」

「ありがとう! タカ!」

 サトとタカは友情を確かめ合う。

「先に行け。サト。こいつは俺に任せろ!」

「だがタカ、おまえ一人では無理だ!? 干支騎士はそこら辺のナイト・モンスターよりも強いぞ!?」

「忘れたのか? 俺もナイモンだぜ!」

「タカ!?」

「俺を友として信じるなら先に行け! 必ずスズを助けるんだ!」

 タカは友達のために戦う決意をする。

「分かった! タカ! おまえを信じるぜ! 死ぬなよ!」

 サトは牛山はタカに任せて次の虎山を目指す。

「逃がすか! スライム!」

 牛の干支騎士カウ・ナイトがサトを後ろから攻撃しようとする。

「やらせん! やらせんぞ! 牛野郎! おまえの相手はこの俺だ!」

 タカが牛の干支騎士カウ・ナイトの攻撃を遮る。

「タカの名において命じる! いでよ! ドラゴン!」

「ドラドラ!」

 タカはナイモン・カードからドラゴンを呼び出す。

「ドラゴン! 変身だ!」

「ドラ!」

「ナイモン! 変身!」

 ドラゴンが鎧に変身し、タカの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! ドラゴンの騎士! ドラゴン・ナイト!」

 タカはドラゴンの騎士になった。

「フン! スライムの次はドラゴンか! だがドラゴンでも牛の俺に勝てるかな? ウッシッシ!」

 余裕に構えている牛の干支騎士カウ・ナイト。

「例え勝てなくても、おまえを足止めするぐらいは俺にだってできるはずだ!」

 タカは自分よりも格上の牛の干支騎士カウ・ナイトに挑む。

「タカ! 死ぬなよ! 必ずまた会おう!」

 サトは次の虎の山を目指す。


「やって来ました! 虎山!」

 サトは虎の山にたどり着いた。

「これは!?」

 サトは虎の山で戦いが行われていた。

「タナ!?」

 虎の山ではサトのクラスメイトのタナと虎の干支騎士タイガー・ナイトの戦いが行われていた。

「さ、サト! こ、ここは私に任せて! す、スズちゃんを助けて!」

「た、タナ!? でも、おまえまで助けに来てくれたのか!?」

「だ、だってサトもスズも友達だもの! あ、アハッ!」

 タナは友達思いの優しい女の子。

「ありがとう! タナ! おまえの死は無駄にしないぜ! また会おうな! アハッ!」

「か、勝手に殺さないで!」

 サトは虎山はタナに任せて先に進むことにした。

「もういいかな? 待ちくたびれたぞ。」

「お、お待ちいただきありがとうございます! もう少し待ってくださいね! アハッ!」

 虎の山の干支騎士タイガー・ナイトは空気を読んで待ってくれていた。

「た、タナの名において命じる! い、いでよ! ど、ドラゴン!」

「ドラドラ!」

 タナはナイモン・カードからドラゴンを呼び出す。

「ど、ドラゴン! へ、変身よ!」

「ドラ!」

「な、ナイモン! へ、変身!」

 ドラゴンは鎧に変身し、タナの体に装着していく。

「な、ナイト・オブ・モンスター! ど、ドラゴンの騎士! ど、ドラゴン・ナイト!」

 タナはドラゴンの騎士に変身した。

「なんか弱そうな奴だな? 調子が狂う。」

 タナの独特な雰囲気に戸惑う虎の干支騎士タイガー・ナイト。

「わ、私だってできる! わ、私だってやればできるもん!」

 タナは勇気を振り絞る。

「いいだろう! ドラゴンの騎士よ! 虎と竜! どちらが強いか勝負だ! くらえ! 必殺! タイガー・ソード・スラッシュ!」

 虎の干支騎士タイガー・ナイトが虎の一撃を放つ。


「タナは大丈夫だろうか?」

 サトは兎山を目指して進んでいる。


ドカーン!


「なんだ!? あの光は!?」

 虎山の方で強い光が発する。

「竜!? ドラゴンが空に登っていく!? まさか!? タナの身に何かあったんじゃ!?」

 竜が空へと高く上昇していく。

「引き返すか!? いや! タナを信じよう! きっとタナなら大丈夫だ! だって僕とタナはお友達だから! アハッ!」

 サトはタナを信じて兎山に向かうのであった。

「次は物語だ!」

 サトはストーリー・モードを始める。



「見ろ! 出口だ!」

「ひ、光だ!」

 サトたちは地上を目指して冥界を駆けてきた。そして遂に地上の光が届く所までやってきた。

「テューポーン! エキドナ! ここまで来られたのはおまえたちのおかげだ! ありがとう!」

「サト! こっちも楽しかったぜ!」

「気にしないで、お母さんに会いに行くついでよ。ついで。アハッ!」

 和やかなサトとテューポーンとエキドナ。

「おい! 俺もいるぞ!?」

 悪魔バエルが鎧から声を駆けてくる。

「そうだった! バエル! おまえもいたな!」

「ワッハッハー!」

「バエル! 地上に帰っても僕たちは友達だ!」

「・・・・・・おお。」

 渋々だが悪魔バエルもサトとの長い付き合いに情が湧いている。 

「よし! みんなでで地上に出よう!」

「おお!」

 サトたちが地上に出ようとする。


そうはさせるか!


「ギャア!」

 サトたちは攻撃を受ける。

「何者だ!?」

 そこに黒い者が現れる。

「俺は魔王シュベルト様の忠実なる僕! 悪魔のウァレフォルだ! 光の騎士! おまえを決して地上には出さないぞ!」

 現れた悪魔ウァレフォル。

「クソッ! あと一歩だって言うのに!」

「ここがおまえの墓場になるのだ! ワッハッハー!」

 自信満々の悪魔ウァレフォル。

「光の騎士よ! おまえは絶対にここから抜け出すことはできない!」

「なんだと!?」

「なぜなら俺がおまえの命綱である悪魔の鎧を盗むからだ!」

「なに!?」

「くらえ! 光の騎士! 必殺! デビル・スティール!」

 悪魔ウァレフォルはサトの体から悪魔バエルの鎧を奪い取る。

「ギャア!」

 悪魔の鎧がなくなり、生身の人間のサトは冥界では生きていけない。

「サト!?」

 テューポーンとエキドナはサトを心配する。

「目の前に地上が見えているのに・・・・・・僕はここで死んでしまうのか!?」

 サトは息ができない感覚に襲われ窒息して意識が薄れていく。

「やったぞ! 光の騎士は悪魔ウァレフォルが打ち取ったり! ワッハッハー!」

 悪魔ウァレフォルは勝ち誇った。


さらばだ! サト!


「バエル?」

 その時、悪魔バエルがサトの心に呼びかける。

「おまえとの休戦協定は終わりだ。」

「なに!?」

「やっぱり俺は悪魔だからな! 人間とは仲良く出来ねえ!」

「それでも僕たちは友達だろ?」

「ああ。俺とおまえは友達だ! だから最後に素敵な悪魔の囁きをしてやろう!」

 悪魔バエルもサトのことを友だと認めている。


ここなら光が届いているぞ!


「なっ!? 光! 本当に光だ! 地上の光だ!」 

 そういうと悪魔バエルは闇に消えていった。

「ありがとう! バエル! おまえは悪魔だけどいい奴だったよ!」

 サトは悪魔バエルに感謝した。


うおおおおおおおー! 輝け! 僕の光!


 サトは気合を入れる。

「バカな!? 奴は死んだはず!? それなのに光が!?」

 悪魔ウァレフォルは想定外の出来事に戸惑う。

「分かるまい! ウァレフォル! おまえには僕に光をくれる仲間がいることを!」

 サトは多くの冒険をし、多くの仲間を得た。テューポーン、エキドナ、悪魔バエルもサトの友達である。


サトの名において命じる! いでよ! 光の精霊エルフ!

 

 そしてサトは最大の親友を呼び出す。

「は~い! 可愛いエルちゃんとお呼びください! アハッ!」

 サトはナイモン・カードから光の精霊エルフを呼び出した。

「エル!」

「サト!」

 遂に再開を果たすサトとエル。

「サト! もう会えないと思った! ウエーン!」

「大丈夫だよ! こうして僕たちはまた会うことができたんだから! アハッ!」

 サトと光の精霊エルフは感動の再会を分かち合う。

「それにバエルが教えてくれたんだ。エルを呼び出すことができるって。本当に素敵な悪魔の囁きだったよ。」

「バエルが!? 悪魔だけど最後に良いことをしたのね。お星さまになって成仏してね。アハッ!」

 やっぱり勝手に殺される悪魔バエルであった。

「バカな!? まだ地上には出してないぞ!? どうして光の精霊が冥界に現れるんだ!?」

「サトの心の中に夢と希望の光がある限り、私が消滅することはないのよ! アハッ!」

 ドヤ顔の光の精霊エルフ。

「なにを!? こうなったら殺してやる!」

 悪魔ウァレフォル

「よし! いくぞ! エル!」

「可愛いエルちゃんとお呼びください! アハッ!」

「・・・・・・相変わらずだな。奈落に置いてくれば良かった。」

「サト、なんか言った?」

「言ってません! アハッ!」

 仲良しのサトと光の精霊エルフ。

「よし! いくぞ! 可愛いエルちゃん!」

「おお!」

「ナイモン! 変身!」

 光の精霊エルフは鎧になり、サトの体に装着していく。

「ナイト・オブ・モンスター! 光の騎士! ライト・ナイト! 参上!」

 サトは光の騎士に変身した。

「光の騎士の復活だ! アハッ!」

 サトは遂に光の騎士になることができた。

「あれが光の騎士か!? なんという輝きだ!?」

「サトって本当に伝説の光の騎士だったのね。」

「どういう意味だよ?」

「だって、サトって光の騎士には見えなかったから。アハッ!」

 テューポーンとエキドナは初めてサトの光の騎士の姿を見て笑った。

「いくぞ! ウァレフォル! くらえ! 必殺! ライト・ソード・スラッシュ!」

 サトの光の一撃。

「ギャア!」

 悪魔ウァレフォルは光に消滅した。

「やったー! 悪魔を倒したぞ! わ~い!」

 サトは勝利を喜んだ。

「よし! 地上に出よう!」

「おお!」

 サトたちは地上に向う。


「あれが光の騎士。本当に奈落にいた者なのだろうか?」

 サトの光の騎士の姿に驚く奈落の神タルタロス。


「クソッ! 人間め! よくも私を奈落に閉じ込めたな! 許さん! 絶対に許さんぞ!」

 奈落に幽閉された冥王ハーデースは人間に悪意を抱いていた。


「光の騎士。確かに邪魔ですね。私たちが地上を支配する時に。」

 冥界の女王ペルセポネーは地上の支配を企む。


「なんだ!? これは!?」

 サトは冥界を抜けて地上にたどり着いた。

「ち、地上が滅んでいる!?」

 サトが目にしたのは滅んだ地上であった。

「ま、まさか!? 僕が奈落に落ちている間に世界は滅びたというのか!?」

 伝説の光の騎士がいない間に魔王シュベルトに地上は支配されてしまっていたのだった。

「バカな!? 僕はこんな地上を見るために奈落から這い上がってきたというのか!? うおおおおおおおー!?」

 サトは滅びた地上を嘆く。 

「何ということだ!? まさか地上が滅んでしまっていたなんて!?」

「お母さんは大丈夫なのかしら?」

「会いに行こう! 大地神ガイアの母なら、地上に何があったのか教えてくれるだろう!」

 テューポーンとエキドナの母親は大地神ガイア。

「いこう! サト!」

「おお! 僕は決して諦めない! 例え地上が何もない廃墟になったとしても、僕が諦めない限り何とかする術があるはずだ! アハッ!」

 サトの心の夢と希望は光輝いていた。

「よし! 行こう! 大地神ガイアの元へ!」

 サトたちは大地神ガイアの元へ向かう。


「よし! 俺は魔王になるぞ! アハッ!」

 悪魔バエルも地上に戻ってきた。

「不味いな。俺は悪魔なのにアハ笑いができるようになってしまった。光の騎士と一緒に居過ぎたせいだ。」

 悪魔バエルも最初の頃に比べれば明るい性格になっていた。


変わったな! バエル! この悪魔の面汚しめ!


 そこに一人の悪魔が現れる。

「おまえはアモン!?」

 悪魔アモンが現れた。

「バエル! 光の騎士と一緒に奈落に落ちたのになんで地上に帰ってこれるんだよ? おかしいよな! 魔王シュベルト様はお怒りだ! それに昔から魔王になる、魔王になるってうるさいんだよ! おまえのことが気に入らなかった! 魔王シュベルト様のご命令だ! おまえを抹殺しろとな! これで堂々とおまえを焼き殺せるぞ! ワッハッハー!」

 悪魔アモンは火の魔法を手に持ち怒りを強める。

「火祭りにしてやるよ! 燃えて消滅しろ! ワッハッハー!」

「あっそう。良かったね。アハッ! しまった!? またアハ笑いだ!?」

 悪魔バエルは動じない。

「おまえ! ふざけてるのか! 俺の方がおまえより強いんだぞ? もっと怯えて泣き叫べ! 俺に許しを請え!」

 悪魔アモンは高揚している。

「俺よりおまえの方が強い? それはいつの頃の話だよ。俺は光の騎士と戦い続け、奈落、冥界の死闘を潜り抜け地上に戻って来たんだぞ! おまえなんかより弱い訳ないだろうが!」

 悪魔バエルは激怒する。

「ええ~い! おまえなんか燃やしてやる! くらえ! バエル! 悪魔の火の魔法! デビル・ファイア!」

 悪魔アモンは悪魔の火の魔法で攻撃する。

ボー!

 悪魔バエルは火に包まれる。

「やったー! 燃えちまえ! バエル! ワッハッハー!」 

 悪魔アモンは勝った。


誰が燃えるんだ?


 火の中からバエルの声が聞こえる。

「フン!」

 次の瞬間、悪魔バエルが気合を入れると火は消し飛んだ。

「なに!? 確実に燃やしたはずだ!? バエルが生きているだと!?」

 バエルの姿に驚く悪魔アモン。

「そ、それになんだ!? あの鎧は!? 悪魔の鎧だはない!?」

 バエルは新しい悪魔の鎧を身に着けていた。

「俺の鎧は一度破壊されたが、奈落の神タルタロスにより修復された。ただの悪魔の鎧のはずがないだろう。これは悪魔の神の鎧だ!」

 悪魔バエルは鎧に奈落の神タルタロスの力が注ぎこまれている。

「悪魔の神の鎧だと!? まるで邪神の鎧ではないか!?」

 邪神の力を手に入れた悪魔バエル。

「いくぞ! アモン! くらえ! 必殺! バエル! ソード! スラッシュ!」

 悪魔バエルの攻撃。

「ギャア!」

 悪魔アモンを倒した。

「レベルの差が開きすぎたな。ワッハッハー! おっ! 悪魔笑いに戻った! 良かった!」

 悪魔バエルは正常に戻った。

「もしサトが滅びた地上を見て絶望して動かなくなってしまうのなら、俺が魔王シュベルトを倒そう。なんせ、俺は魔王になる! ワッハッハー!」

 悪魔バエルも再び地上に舞い降りた。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

NOM ナイト・オブ・モンスター 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る