第2話
うっ……ここは…?そうか、地下の倉庫で光に、、、
「おお!召喚は成功しました!!」
「さすがです!女神よ!」
何やら男たちがガヤガヤと騒いでいる。
それにしてもここは一体どこだ?辺りを見回すと、ここは神殿の祭壇のような場所だった。理解に苦しんでいると、
「どうも、こんにちは」
16歳くらいの女の子だ。目を向けるとその女の子はにっこりと微笑んだ。腰まで伸びたサラサラとしている金髪、覗くと吸い込まれてしまいそうになる青い瞳。そんな美少女が話しかけてきた。
「突然のことで何が何だか分からないでしょう」
「は、はい」
「ズバリ!あなたはこの世界に召喚された勇者なのです!!」
うん、何を言っているんだこの子は?このこと言っても歳上な訳だが。
「どうやら信じておりませんね?ダルコフ!こちらに」
俺の顔から読み取ったのか、女の子は身長が高い40代くらいのスキンヘッドをこちらに呼んだ。端的に言えば筋肉ダルマだ。
「は。なんなりと」
「こちらの勇者に”魔法”を見せて差し上げなさい」
「は!」
そういいダルコフは、神殿の壁に向けて手を向けた。そして、
「我が腕に魔力を『ファイアーボール』!!」
すると、男の手のひらから直径20センチくらいの火の玉が出現した。火の玉はそれなりのスピードで飛んでいくと、神殿の壁に当たるなり、爆散した。当たった所はプスプスと黒焦げており、すこしばかり凹んでいた。
「どうです?これであなたの世界ではないと信じて貰えたでしょうか」
女神と呼ばれる女の子は誇らしげにそう言った。
それにしても、これはもしや異世界転移というラノベ的なやつなのではないのか?!もしそうだとしたら、あんなことや、こんなこと、いろいろできるぞ!
そんなことを呑気に考えていると
「どうやら信じて貰えたようですね!」
「はい!それにしてもなぜ召喚を?」
「実は、この世界では魔王と呼ばれる強大な力を持つ者が、魔物を従えこの世界を滅ぼそうとしているのです!」
異世界にありがちな展開きたぁぁぁ!!!
ここから俺の無双冒険譚始まってしまうのか?!
「そこで、私たちは他の世界に住む者をランダムにこの世界に転移させ、魔王を倒してもらおう、と考えたのです。ちなみに貴方様は第11回目の転移者にございます」
11回目の転移者??!何回か俺の元いた世界の誰かがここにも来ているということか。
「ちなみに俺以外の10人の勇者はどうしているのです?」
「今はこの世界で協力して魔王軍殲滅に狩り出ています」
なるほど。ここでは定期的に勇者を召喚しているのか。
「そして!早速ですが、貴方様のスキルを確認させて頂きましょう!」
女神はそう言いパチンッと可愛らしく手を叩いた。すると、奥から水晶が運ばれてきた。
「さあ勇者よ、あ、そういえば名前を伺っておりませんでしたね!私はアイルナ・ローゼンと申します」
「俺は鈴井凛だ。」
「では勇者凛よ!この水晶に手をかざしてください!」
おお!これはもしやとんでもねぇスキル貰えちゃったりして?!期待に胸を膨らませながら俺は水晶に手をかざした。
水晶は青白い光を放ち…
「こ、これは、、、」
鑑定士のような人がたじろいだ。
おお?!これはもしや勇者の中でも最強のスキルなのか?!
「これは、、、、読めません。残念ながら凛様はハズレスキルでございます」
「は?は、ハズレスキル??」
「…………」
鑑定士からハズレスキルと、聞いた女神アイルナは、しばし俯き、そして、
「なによ!!ハズレスキル?!ふざけんじゃないわよ!!そんなゴミ!さっさとここから追い出しなさい!」
「は、はい?アイルナ?」
「気安く名前で呼ぶんじゃないわよ!あー下手にでて損したわぁ…全く。おい、いつまでそこにいるつもりだよ。ゴミを視界に入れたくないんだけど?ダルコフ!そいつをつまみ出しなさい!」
アイルナはハズレスキルと聞くと唐突に怒りだし、俺を神殿から追い出した。
「お、おいちょっと待ってくれよ!どういうことなんだよ!」
「黙れ。ゴミが」
ダルコフはそう言うと俺の腹に膝蹴りを入れてきた。
「ごっ!がっはぁ!!」
朝飯を神殿の床にぶちまけた。
「あー、汚らわしいったらありゃしない!ダルコフ!神殿を汚すんじゃないわよ!!」
「申し訳ありません女神よ」
「ふっ、にしても無様ねぇ!まるで死にかけのカエルのようね」
なんだコイツは。俺は腹の底から憎悪が渦巻いた。今すぐにでも殴り殺してやりたい。
「なによ!!その目は!あんたみたいなゴミの代わりはいくらでもいるのよ」
そう言い俺に近ずき、這いつくばっている俺の顔を蹴ってきた。何度も何度も。
そこで俺は意識を手放した。
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