episodes-7

「んで、爺さんどうするんだよ。」


「うーむ…。」


神は、“天規”と書かれた分厚い本を

生えてきたもう一本の腕と一緒に2本で支えて読み始めた。


「これじゃな。『記憶があるものについては、

原則として、神力(じんりき)にてそれを消し去るか、

存在自体を消し去らなければならない。』とあるが。」


オッホン、と咳払いをして言った。


「原則、だからの。今回は特例じゃ。思う存分天国を

楽しむが良いぞ、天晴君。」


「はぁ…わかりました」


「なんじゃ、乗り気じゃないのか。」


不満そうな様子で神は訪ねた。


「何できるかもわかんねえし、

特にしたいこともこれといって…。」


「そうか…。じゃあこうしよう。


アメ、しばらく面倒を見てやってくれ。

この者を、“助手”とするが良いぞ。

オッホッホ。」



--相変わらずオラウータンかよ。

まあ、天国で目的もなくだらけてるよりマシか。



「それもそうじゃな。」


「わ、わ、わわ、わたしがこの人の世話を!?

なんでですかぁ!!ちょっと神様!」


「この間言っておったであろう?

“人の手も借りたい”とな」



--天国にもことわざあるのかよ。

っていうか猫=人間かよ。



「猫、とな?」


「なんでもありません。

アメさん、よろしくです。」


「なんですか急に改まって…。

さっきまでダメ天使とか好き勝手言ってたのに…。」


複雑な顔をしながらも、やはり最後にアメが

見せたのは、笑顔であった。


「まあ、よろしくです!」

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