episodes-5

「まあ大まかな考えはあながち間違いではないが、

顔そのもので優劣をつけているわけではない。


顔や心、体からはみ出ているその“気”で

判断している。言うなれば、雰囲気かの。」



--思ったより雑だな。まあ顔だけよりマシか。



「雑だと言われればそれ以上反論はできぬが、

これが一番正確なのじゃよ。生前の行い、性格、

顔や体の形だけの見た目。これらは全て真の価値とは言えぬ。

それに、こちら側も判断が楽だからな。

オッホッホ。」



--そうやって笑う奴、初めて見たぞ。

絶対オラウータンかなんかだろ。



「さて、問題だがなぜ、生前の記憶があるとまずいか、

お分かりかな?」


「それが元で、“気”に変化がついてしまうから、

ですか?」


「そういうことじゃ。」


神の気色悪い手は、“そうそう!!”と言わんばかりに

俺の方を指差している。気持ち悪い。


もう一度言う、気持ち悪い。



「神も傷つくのじゃぞ…」


「じゃあ俺は、どうなるんですか。」


「それなんじゃがのぉ…。」


神はうーんと考え込むような声を出した。


「お主を見ている限りでは、記憶が

“気”に影響しているようには見えない。

そしてそれが例え変化したとて、

我らに危害を加えるものになるとは到底見えん。


まぁだから…


よしとしようかの。」


「よくねえぞ、爺さん。」


誰かがやってきた。

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