貴族の令嬢に生まれたはずなのに、お人好しの両親のせいで若くして多額の借金を背負うことになったマリアンネ。しかし彼女はくじけない。普段は王子の下で侍女として働きながらも、両親から受け継いだ類まれな身体能力、そして武闘家令嬢の異名を持った腕前を活かして便利屋として今日も奔走するのであった。
本作はとにかくパワフルな主人公のマリアンネがいい。愚痴はついても弱音は吐かず、お金をチラつかされれば、幽霊屋敷の探索だろうが、書類整理だろうが、王子の偽婚約者役だろうが、どんな面倒な依頼もきっちりこなしていく。
何故か女言葉で話す残念王子や顔は怖いが面倒見の良い上司など、妙な人々に囲まれながらテンポよく物語は進行していきサクサク読めるのも嬉しい。
毎度毎度話の終りに残りの借金額が出て来るのが楽しく、今のところ全く返せる見込みはないのだが大丈夫だろうか……ってか物語スタート時より借金増えてるな……。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)