第20話作戦

「──さて、本題に入る」


しばらく騒いだ後、シャーロットさんが重たい口を開きゆっくり話始めました。


まずアンデッドの速さについてですが、これはもう実戦あるのみという事になりました。

私とニルスさんが見たのは一度だけ。

仮定では神速クラスですが、もしかしたらそれより劣るか、それ以上か……

実際に剣を交えないと分かりません。


次に、西の教会の捻れについてですが、シャーロットさんの方で何とか道を作ることに成功したようです。

しかし、この道も不安定の為長くは持たないとの事。

そうなると、今ぐすにでも向かった方が良さそうですが、本日は天気が悪いという事で明日実行に移すことに。

そうなると、毎度恒例ゴリさんの選別が始まりました。


「あぁ~、そうだな……マリーは西の神父と顔見知りだからな。マリーは決定だ。あとは……ルイス、ティム、クルト頼む。それに何かあった時の為にシャーロット。お前も付いて行ってくれ」


ゴリさんがシャーロットさんを見ながら仰ると「仕方ないの」と承諾してくれました。

シャーロットさんが付き添って頂けるなら心強いです。

何せ、空間を捻じることの出来る西の神父様の元に行くのですから……

ニルスさんも行きたがっておりましたが、ゴリさんが首を縦に振ることはありませんでした。

ゴリさん曰く「お前はマリーばかり見て仕事にならなそう」だかららしいです。

私はゴリさんの決断に大賛成です。

……がニルスさんは性懲りもなく「公私混同はしないよ!!」と物申しておりましたが、前科がある為却下。

ルイスさん、ティムさん、クルトさん、シャーロットさん、私の五人で向かうことが決定致しました。



◇◇◇



「説明をするぞ小童共」


次の日、早速例の森へとやって来ました。

私達の目の前で腰に手を当て、微笑みながら話しかけてくるのはシャーロットさんです。

シャーロットさんの後ろの景色はボヤけていて、あの部分から空間が捻れている事が分かります。


「お前たちには今から、ここを通って西の教会へと向かってもらう」


「……もらうって、シャーロットさんは私達と付き添って頂けるのでは?」


「いや、妾はここに残る」


聞いていませんよ……


シャーロットさんのまさかの言葉に私達は開いた口が塞がらりません。


「妾は残ってこの道を安定させる必要があるのじゃ。……まあ、妾も一緒に行ってもいいが、帰れなくなっただけではなく空間の捻れの中に取り残されても、妾は一向に構わんがの?」


こちらを向いてニヤッと微笑みました。

私達はシャーロットさんの説明を聞くと、すぐに納得し「シャーロットさんはここに残ってください!!」と懇願しました。

帰れなくなるだけならまだしも、空間の捻れに取り残されては一大事です。


「いいか。保てる時間は一時間じゃ。それまでに話をつけ、この場に戻ってくるのじゃ。分かったな?」


制限時間は一時間。

それまでに西の教会へと向かい、アンデッドのことを聞き出さなければいけません。


──まあ、簡単に聞き出せるとは到底思えませんがね。


西の神父様と顔見知りと言うことでこの場にいますが、私は尋問や査問には不向きな人間です。

きっとその事を見通してティムさんがいるのでしょう。

ティムさんは頭の回転が速い方ですからね。


「何度も言うが、一時間じゃ。それ以上は持たん。いいな」


「「はい!!」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る