第31話いざ、敵陣

あの後、ユリウス様の部隊の方々と軽く挨拶を交し、只今敵陣へと向かっている最中です。


ユリウス様の部隊は人数が多く、腕の立つ者数人が選ばれた様ですが、数人の感覚がおかしくありませんか?

何故なら、私達の後ろを付いてくる騎士は約20人とちょっと。

普通、数人と言われたら4~5人。多く見積もっても10人程ではありませんか?


ティムさんなど「こんなに要らないよね?君ら死ぬ覚悟あるの?」と騎士を脅し、何人か辞退させませた。

確かに人数が多いと、動きにくいのでティムさんの脅しは正解です。


──果たして、この中から何名が生き残れるのか……


そんな事を思いながら、歩き進めておりますと「キュルルルル」と鳴き声が聞こえました。


この鳴き声の主は当然、ルーナです。


敵の動向をいち早く知る為、ルーナに見張りを頼んでおいたのです。

そのルーナが飛んで来たということは……


「何だ?随分と大人数で攻めてきたなぁ」


「ふふっ。人数で勝とうとしてるんじゃない?」


声のする方を見ると、木の上からこちらを見下ろす二人の姿。


一人は、ルイスさんを撃った方。

もう一人は、ルイスさんが探していた爆乳の方。


──……これはもう、ルイスさんが相手するで良いんじゃないですかね?


「あぁ--!!!この間のデカパイ姉ちゃん!!」


ほら、ルイスさんも気づいた様ですよ。


「あら、この間の坊やじゃない」


相手も気づいたらしく、ルイスさんに微笑むとルイスさんの顔が赤くなり惚けております。


──あっ、これはダメなやつですね。使い物になりそうにありません。


ヤンさんがルイスさんの頭に拳骨を落とすと、正気に戻ったルイスさんが「ヤバい!!心奪われてたよ!!あのひと魔術使いじゃない!?」などと仰っておりますが、そんなの通用するのはルイスさんあなただけです。


「貴様らか!?私の国で好き勝手しているのは!?」


ユリウス様が前へ出て、王子らしく敵に物申しております。


「あら、やだ。王子様がいるわよ?」


「本当に王子だな。温室育ちが何の用だ?」


「私は、聖騎士団団長としてここに来ている。お前らが思っている程、弱くはないと思うが?」


馬鹿にしたような言い草に、ユリウス様が反論すると「へぇ……」と、不敵な笑みでこちらを見下ろしていたかと思えば、木から飛び降りて来ました。


「じゃあ、王子様。相手願おうか?」


「えぇ~、セプテムが王子様取るの?じゃあ、私は誰にしようかしら?」


爆乳の方が微笑みながら私達を選別している様ですが、すかさずシモーネさんが前へ出てきてキッと睨みつけました。


「ちょっと、お色気担当は私なの。胸の貴方はお呼びじゃないのよ」


「あらぁ?胸もなければ、色気もない女がお色気担当なの?あはははは、寝言は寝てから言ってくれる?」


「はぁぁぁぁ!!!?」


シモーネさんは馬鹿にされ、大変ご立腹です。


「……確かに、どっちかって言うと、あっちの方が色気が……」なんて事をジェムさんがボソッと仰っしゃると「ジェム!!!何か言った!?」とシモーネさんに睨まれ縮こまっていました。


「ゴリさん!!こいつは私が相手するわ!!いいわね!?」


「お、おう」


流石のゴリさんもシモーネさんの迫力にタジタジです。


まあ、なんにせよ。死なないでくださいよ?

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