第32話戦闘

カキンカキーン!!


パンパンッ!!


ユリウス様がセプテムと名乗る方と一戦交えております。

ユリウス様は剣。対する相手は飛び道具。


──さて、どう切り抜けるのでしょうか?団長の腕前見せていただきましょう。


ユリウス様よりも先に飛び掛かった騎士の方々は瞬殺でやられましたが「邪魔をするな!!下がれ!!」とユリウス様が怒鳴り、すぐに下がらせたので被害は最小限に済みました。


そして、始まったユリウス様対セプテムさんの戦い。

やはり団長と言えど、銃相手には苦戦している様子。


──あの方、銃の扱いが上手いですね。


的確にユリウス様を捉えていますし、2丁持ちで隙を与えません。

ユリウス様は銃弾を弾くのに精一杯。このままではユリウス様が敗れるのは時間の問題です。


「何だ?団長クラスがこの程度か?話にならんな」


「……くっ……!!!」


悔しそうに剣を握りしめるユリウス様。


──ここまでですかね……


私が助太刀に入ろうと一歩足を出したら、ゴリさんに止められました。


「待て」


「……見殺しにするんですか?」


「違う。アイツだって団長の意地がある。黙って見てろ。……まずくなったら俺が出る」


ゴリさんにそこまで言われれば、私は何も言えません。

黙って見ましょう。


ユリウス様は地に膝を付き、剣で体を支えている感じです。

見る限り、まずい状態だと思うんですが……


「呆気ない終わりだったな。最後は楽に逝かせてやるよ」


銃をユリウス様に向け、最後の一発を撃とうとしています。

ゴリさんを見れば、真っ直ぐユリウス様を見据えて動きません。


──この人は……!!


しかし動くなと言われた以上、私は動けません。

ギリッと歯を食いしばり、私も前を真っ直ぐ見ました。


「殿下!!!」「団長!!!」と、私達が動かないのに痺れを切らした騎士の方々が次々にセプテムさんに攻撃を仕掛けます。


「お前ら!!止めろ!!」


「ぐっ!!」


「がはっ!!」


ユリウス様が制止するも、それを無視して飛び掛り返り討ちにされその場にバタバタ倒れました。


「聖騎士団ってのはこんなもんなのか?まるで手応えがないな」


「ははははは」と笑うセプテムさんを尻目に、ユリウス様がゆっくり立ち上がりました。


「……本当は使いたく無かったんだが……仕方ない」


そう口を開いたかと思ったら、いつの間にかセプテムさんの背後にユリウス様が……


「えっ?」


何が起きたのか理解ができません。


再びゴリさんを見ると、ニヤッと不敵な笑みを浮かべております。


──……この能力の事知ってましたね?


私の他にも理解が追いついていない方がおります。それは、セプテムさん。

瞬時に背後を取られ目を白黒させ「な、な、なっ!?」と狼狽しています。


「……この力を使うと、凄く疲れるから使いたくなかったんだけどな」


「お、お前……この力……!!?」


「神速。私の能力だが?」


ユリウス様はセプテムさんの首に剣を当てながら、話をしています。


「……くそっ!!」


セプテムさんは銃を地面に落とし、降参とばかりに両手を挙げました。

ユリウス様の勝利です。


直ぐに両手を拘束し、一人完了。


騎士の方々はユリウス様が無事で、泣いて喜びましたが「お前達は、私が負けると思っていたのか!?」とお叱りを受けておりました。

それもそのはず、数人がユリウス様を助けに入って負傷しましたからね。


さて、シモーネさんの方は……


「何よ!!このクソビッチ!!」


「はぁぁぁぁ!!!?あんたに言われたくないわよ!!!」


おや?何を言い争っているんですか?

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