第51話妖術師
シャーロットさんに今までの経緯を説明しました。
ネリさんのお母様が誰かに連れ去られたみたいなんですが手がかりが全く無い為、ゴリさんのご友人のシャーロットさんにお願いしたいと……
「ほお?妾にその母親を探してくれと?」
「あぁ、お前なら出来るだろ?」
ゴリさんは、相当シャーロットさんを信頼しているようです。
……と言うか、シャーロットさんは何者なんですか?
「──ん?なんじゃ?ルッツ、お主。妾の事を話していないのか?」
話がどんどん進み、それについて行けていない私達を見て、シャーロットさんは自らゴリさんに話を振ってくださいました。
「あぁ、すまん。紹介が遅れたな。こいつは、シャーロット。──妖術師だ」
……妖術師?
「…………」
「『……聞いたことがある。大戦の際、影を操りこの国に勝利をもたらした美しい妖術師がいると』と、申しております」
「それが、こいつだ」
シャーロットさんは得意げに微笑んでおります。
まさか、ゴリさんの知り合いにこんな凄い方がいるなどと誰が想像したでしょうか。
妖術師。私は初めて耳にした言葉です。
でも、凄い方なのは分かります。野生の勘と言いますか、本能がこの方を敵に回すなと警告しています。
「……お主らの望みは分かった。まあ、ルッツの頼みじゃからな。聞いてやらんでもない」
「本当か!?」
ゴリさんはシャーロットさんの言葉に喜びました。
当然、私達も同じ気持ちです。
「……あほ。聞いてやらんでもないと言うただけじゃ。……お主らの心意気次第じゃの」
……喜びは一瞬にして散りました。
シャーロットさんは妖艶な笑みで、こちらを見つめながらそう、仰りました。
しかし、ゴリさんは何を言われるか分かっていたようで「……だと思ってな」と、持ってきた大きな袋を開けました。
そこには、大量のお酒……
──ミレーさんに何かお願いをしていたと思っていたら、お酒でしたか……
ゴリさんは、シャーロットを見つめながら「どうだ?一級品だぞ」と、さらに畳み掛けました。
「ふっ、はははは!!いいじゃろう。それで手を打とう」
やりました!!
流石、長年のご友人だけありますね。見事シャーロットさんの心を掴みました。
「……あいつは、酒さえ渡せば大抵の事は聞いてくれるんだ……」
ボソッとゴリさんが私に耳打ちしてくれました。
……シャーロットさん単純すぎすよ。
もしかして、大戦の際もお酒を積まれたから手を貸したと言う訳ではありませんよね……?
「──さて、話は決まった。とりあえず、飲むかの?」
「……は?」
シャーロットさんがそう仰ると、一回手をパンッと叩きました。
すると森の中にいたはずが、部屋の中に移動していました。
流石にこれには驚きました。
ゴリさんは慣れているようで「またか……」とボヤいておりました。
シャーロットさんは、驚いている私達など気にもとめず、天蓋の付いたベッドに寝転がり、早速酒瓶を開け飲み始めていました。
飲むのは宜しいんですが、シャーロットさんスカートの裾が捲れます。とても美しい太腿が露になっております。
ヤンさんなど女性に抗体がないので、見た瞬間鼻血を出し倒れました。
「なんじゃ?だらしのない男じゃの。これぐらいでなんじゃ?ほれ、ほれ」
シャーロットさんは、脚を上げ下げして更にヤンさんを煽っております。
「やめんか!!」
ゴリさんの鉄拳がシャーロットさんの頭部に落ちました。
流石ゴリさん、
「……まったく、ルッツは相変わらず堅い男じゃの。そんなんだからモテぬのじゃ」
「うるせぇ!!!」
シャーロットさんは頭を擦りながら、ゴリさんに物申しておりました。
……シャーロットさん、もっと言ってやって下さい。
「……そう言えば、ハル坊が見当たらぬが?」
──ハル坊?
シャーロットさんがその名を口にすると、ゴリさんは明らかに動揺し「その名は出すな!!」と一喝しました。
「……ルッツ、お主。こやつらに話しておらんのか?」
「……時期を見ている。今はまだ言えん……」
私達はシャーロットさんとゴリさんの会話を黙って聞いおりました。
どうやら、ゴリさんには私達に話せない何かがあるようです。
まあ、今は追求しません。ゴリさんの時期とやらを待ちましょう。
──誰にでも人言えぬ事が一つや二つありますからね。
シャーロットさんは呆れながらも、ゴリさんの意見を尊重し、それ以上は何も言いませんでした。
「──さて、そろそろ参るか」
シャーロットさんは満足したのか、ゆっくり体を起こしベッドから降りました。
……この方、この短時間で酒瓶6本空けましたよ……
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