第10話オーバーフォルク邸

「──ルイスさん、大丈夫ですか?」


「ちょ、まっ、えぇ~!?」


私とルイスさんは隠密用の服に着替え、オーバーフォルク邸へ乗り込んでいる最中なんですが……


「……まったく、何してるんですか?早くしてください」


「いや、ちょっと、見てないで手伝ってよ!!抜けないんだよ!!」


屋根裏に続く小穴を見つけたので、そこから侵入しようとしたら、ルイスさんがハマりました。


「──ルイスさん、太ったんじゃないんですか?」


「いやいや、マリー。これは俺の逸物が大き──」


ドカンッ!!!


「──抜けましたね。良かったです」


馬鹿げたこと言ってる暇は無いので、思いっきり蹴れば見事に抜けました。


「いててててて……。マリーには冗談も通用しないの!?」


「つまらない冗談に、いちいち反応していられません。──さあ、行きますよ」


「厳しい!!!」


さて、無事に屋根裏へと忍び込めましが、ナタリーさんは何処でしょう?


下を覗きながら探しますが、見つかりません。


「……ねぇ、もしかして、地下じゃない?」


ルイスさんの一言に、眉がピクッと反応します。

……確かに、これだけ探して居ないとなると地下の可能性があります。


──ルイスさんに教えられるとは……屈辱です。


「……そうですね。地下へ行ってみましょう」


「えっ!?なんか不服そう!?なんで!?」


「──静かにしてください」


パコンッ!!


「いてっ!!」


ルイスさんの頭を叩けば、なんとも軽い音が。

脳みそ入ってるんですかね?


◇◇◇


「……ねぇ、これって聖獣?」


「こちら魔獣ですね」


改めて地下へと潜入しましたが、なんとも、見逃せない物ばかりでした。

聖獣や魔獣が剥製にされ、飾られていたのです。


更に奥へ進むと、牢の中にナタリーさんを発見しましたが、薬で眠らされているのか反応がありません。

しかし、それだけではありません。

牢の中にはナタリーさん含め、数人の女性も囚われておりました。


「……ルイスさん、直ぐにゴリさんに報告、騎士の方を手配してもらってください」


「マリーは?」


「私は、この方達を避難させます」


鍵を壊すぐらい造作もありません。

豚さんは今、シモーネさんが相手をしていますがそろそろ限界かもしれません。主にシモーネさんの個人的なものですが……。

今のうちに片を付けたいんです。


「分かった。ヤン達には応援頼んでおく」


「宜しくお願いします」


ルイスさんは素早く元来た道を戻って行きました。

さあて、いきますよ。


ガシャンッ!!


あら?


勢い余って牢ごと壊してしまいました。


──まあ、解体する手間が省けましたね。


「さあ、立てますか?逃げましょう」


囚われていた女性に逃げるよう声を掛けると、あわてて外へと逃げ出ていきました。


「あ、あの、この方は……?」


一人の女性が、ナタリーさんを指さしてします。


「大丈夫です。私が連れていくので、貴方は早く逃げてください」


そう言うと、女性は外に向かって走っていきました。


さて、残すはナタリーさんのみですか……


よいしょと担ぎあげ、私達も急いで外へ向かいます。


──ナタリーさんの目が覚めたら、痩せるように助言しときましょう。


パンッ!!!


私の頬を銃弾が掠めました。


「それはワシの娘だ。何処へ連れていこうとしている?」


目の前には、豚さんが銃を持って立っていました。


「ごめ~ん、マリー。バレちゃった」


その後ろから、詫びる気のないシモーネさんが、手を拘束されて現れました。


「……まったく、あと少し我慢できなかったんですか?」


「無理よ!!見てちょうだい!!この脂といい、この禿げ具合!!口まで臭いのよ!!私は飼育員じゃないの!!」


相当嫌だったんですね。

分かります。分かりますけど、仕事なので我慢してください。


「……お前ら、本人を目の前にして良くそんな事言えるな」


あっ、豚さんいるの忘れてました。

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