第1話
街路樹の木の葉を全て落としてしまいそうなくらい、びょうびょうと吹く北風。
冷たくもどこか暖かみを感じる風が、私の頬を優しく撫でる。
まるで私に構ってほしいと言わんばかりの幼稚園児のように、ちょっかいをかけてくる。
私は色んなものの声が聞こえる。
風、雨、虹、雲、そして太陽までも私の友達。
彼らは悩みを聞いてくれる。
私がどんなに苦しくても、私が私でいれる理由をくれる。
彼らは偉大だ、尊大だ、そして未来だ。
彼らと共に今を生きる。
こんなにも無償の愛を注がれたことがあっただろうか。
私は幸せ者だ。
地球という名の星に生まれて早10余年、後悔の念などあるはずがない。
太陽の煌めきが生きる糧となり、星が私の心を優しく包む。
これ以上素晴らしいことが、果たしてあるのだろうか。
叶うならずっとその奇跡を見てみたい。
だけど、それは無理だ。
私たちの命の灯火はいつか消える。
でも……、でも、でも……。
例えいつかそれが終わるものだとしても、懸命に生きてみたい。
この世に溢れる美しさを体現してみたい。
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そう思えたのもいつの日か。
今や私の心はシャッターできっぱりと閉じられ、どうしようもない灰色が私の心に覆い被さっている。
それ以来、何も感じなくなった。
今の私に聞こえるのは雨、そして土砂降り。
ただ、それだけだ……。
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