第2話 会ったことのない生き物
淵から覗いていた何かは瞼がないのか瞬きをしない。
僕は驚いて後ろに飛び震える手のひらを見た。
「いったいアレは何だ?」
昼間は居なかった。気のせいかもしれないがもう一度確認する勇気が出ない。
じっとりとした汗が背中を伝う。とりあえず再確認することはやめた。
湖畔周りを少し歩き、煌く湖畔をみていたらだいぶ気分が落ち着いた。
今日はこの辺でロッジに戻ることにした。この頃にはさっきの物体の事は半信半疑程度になって忘れることにした。
帰ったら彼女は起きて簡単な食事を用意してくれていた。
スープにパンにリンゴを剥いてくれていた。それと赤ワインで完璧だ。
僕たちは軽い夕食を済ませのんびりするという休日を満喫することにし、
先ほど見た物体の事は彼女には言わずにおいた。
読書などでのんびりした後はシャワーを浴びてそのまま寝入ってしまった。
昼間の疲れも相まってぐっすり眠ることが出来た。
翌朝は彼女と一緒に湖畔まで散歩にきた。湖畔を覗いてみたが何もなかった。
僕は安堵感でほっとした。そのまま散歩を続け、小鳥のさえずり、美しい湖面、葉のささやきなど朝のゆったりした雰囲気を満喫した。
それは突然僕たちの前に現れた。僕も彼女もその場から動けず立ち尽くす。
それはカッパのような何かの妖怪のような体型をしていた。身長は140cmくらい。
全体的に薄青い肌で血色の悪い人のような色で目玉がぎょろりとしている。
言葉を発するようなこともなくこちらを襲ってくる素振りもない。
ただ水浴びにきた鳥のように静かに佇んでいる。
だんだんと我を取り戻し、一目散にロッジに帰りたくなった。
その妖怪のような生き物は茂みに歩いていきまた見えなくなった。
彼女はその場に立ち尽くしたまま、目を丸くして呆然としていた。
僕は昨日のことを話すが迷ったが黙ったままにしておくことにした。
僕は彼女に声を掛け、ロッジに戻るように促した。
彼女はいまだ唖然としたままで言われるがままロッジに帰る。
長い沈黙。当然である、何を話せばいいのか。
ひとまず、目玉焼き、トースト、コーヒーで朝食を食べることにした。
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