落とし物

 今日は早くから真珠採りにきていた。


 「今日も結構あるな!」

 「ん?なんだ、あれ」


 青い宝石が岩影に落ちていた。

 ラッキーと思いポケットにしまった。


 今日は三太が珍しく授業に出ていたので、城1番の商店街へ行ってみる事にした。


「へい!らっしゃい!新しい着物はどうだい?」

「今日は美味しいものが揃ってるよ〜!」


 商店街は周りの音が聞こえないくらい賑わっていた。


 気分が良く、鼻歌を歌いながら歩いていたらよろず屋の店主に話しかけられた。


「よう!三島さん!何かいいことでもあったのか?」


 「まあね!そっちは売れ行きはどうよ?」


「ぼちぼちかな!」


 なんて話していると店主が少し困った顔をした。


 「どうかしたのか?」


「実は、娘がなかなか帰ってこなくてね」


 「娘さんがどこ行ったとかは?」


「それが、いつもは学校の友達と遊んですぐ帰ってくるんだけど」

「今日は遊ぶ予定もないのに少し出て行ってから帰ってこないんだ」


 「娘さんの特徴は?いつも何か身に付けてるとか」


「あぁ、それなら、死んだ妻から貰った青い宝石がついた簪をつけてるよ」


 「青い宝石?もしかしてこれか?」


 ポケットに入れていた宝石を店主に見せた。


「宝石だけじゃなんとも言えんが色はそれだった」

「どこで拾った?」


 「あぁ、これは今朝、真珠と珊瑚の窪みで拾った」


「そうか、もしかしたらその宝石を探してるのかもしれん」

「悪いんだけど三島さん、俺は店から離れられないから窪みまで見てきてくれんか」


 断る理由もないので窪みまで戻る事にした。

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