第19話

『次のニュースです。本日未明新宿歌舞伎町付近の路上で女性がモンスターに襲われるという事件が発生しました。女性は通報を受けて駆け付けた冒険者に救助され一命は取り止めましたが、重傷をおって病院に搬送されたとのことです』

『現場に兵頭さんが行っているようです。兵頭さーん』

『はい、現場の兵頭です。こちらはまだ、モンスターが暴れた後片づけなどで騒然とした雰囲気です。搬送された女性ですが、まだ意識は戻らず、予断を許さない状態です』

『兵頭さん、女性が襲われたのはかなり遅い時間だったんですか?』

『はい、警察関係者によりますと、女性は遅くまでやっているサービス業で働いており、通報を受けて冒険者が駆け付けたのは深夜3時を回っていた、と言うことです』

『ありがとうございます、また新しい情報がはいったらよろしくお願いします。はい、痛ましい事件なんですが、今回の事件を含めて最近ダンジョンモンスターの行動が変化している、とよく聞くようになりましたよね、これって大丈夫なんでしょうか? 御覧になっている視聴者のかたも不安に思っていると思います。今日はその辺りの事を冒険者協会の専務理事、五山さんに解説してもらおうと思います。五山さんよろしくお願いします』

『よろしくお願いします』

『で、実際どうなんでしょう? またダンジョンが氾濫するんじゃないか、なんて言ってる人もいるみたいなんですが?』

『あぁ、これもう言って良いのかな?いい? 良いそうなんで。今回のモンスターの異常行動ですが、冒険者協会でもダンジョン氾濫の前兆と考えています。ただいま、政府および自治体と非難準備及び夜間外出自粛の要請を出してもらえる様に調整を行っている段階です。また、今回のモンスターの異常行動は世界規模で発生しており…』


こんな衝撃のニュースが発表されたある日。

店でのミーティングはお通夜状態で始まった。


「あぁ、もうニュースとか端末で記事見た奴も多いかもしれんが、来週辺りから肥後エリアにも夜間外出自粛の要請が出される事になる。組合からは、店の方にも営業自粛するように要請するかもしれんと言われている」


うちを含む夜に営業する店にとっては大打撃である。

しかもあのニュース、キャバクラやらスナックやらの飲み屋を狙い撃ちしやがって。

似たような事件だったら、世界中でどこでも毎日起きてるだろうが。


「それで、社長とも話したが、うちは閉店時間は繰り上げるが、営業は続けることにした」


おお、営業するんすね。

少しどよめくホール、キャストのみんなも驚いている。


「出勤に不安なやつもいるだろうが、安心してほしい。自粛期間中は出勤者全員、家まで送迎する。はじめ、お前が送迎しろ」

「え?俺すっか?」

「頼りにしているぞ、3級冒険者さんよ。と言う分けで、3級冒険者の護衛付きで送り迎えしてくるなんて、そうはない。安心だろ?」

「あ、あの店長。3級冒険者の指名依頼とかって結構なお値段するんすけど」

「らしいな。いい拾いもんをしてくれた、結衣に感謝だ」

「いえー」

「いや、そうじゃなくて、お給料の」

「それでも、今までのように出勤できるわけじゃないからな、今から出勤の振り分け発表するからよく聞いてくれ」


アップはないですね、分かってます。わかってますよ。


こうして、長くつらい自粛期間がスタートしたわけだ。

まぁ俺にとっては、なんだがキャストに頼りにされたりして、ちょっと嬉しかったりする。

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