第14話
健軍ダンジョン。
肥後エリアで一番都心に近く、現在75層まで確認されている日本屈指の深層ダンジョンであり、多くのファンタジーアイテムや鉱物を産出する鉱山であり、現在肥後エリアが栄えている礎的な存在である。
当然利用する冒険者も多くいるため、浅層はいつもごった返している。
そんな多くの人をかき分けダンジョン入口に設置された改札に向かう。
少し前世日本を思い出す光景である。
『冒険者証を呈示ください』
改札の機械が、無感情な声で冒険者証の提示を促す。
ダンジョンには入場料が設定されており、この改札じみた機械を通して徴収される。
おそらく冒険者の入退場も監視しているはずだが、安否確認に使われたとは聞いたことがないので、何のために監視しているかは謎だ。
また、装備を借りた後「カスたまエース」で食料とかの必需品も入手した。
店に戻って買い物籠いっぱいの商品をカウンターに持っていったら狐耳のお姉さんに「社長から全部ツケで良いって指示が来た。お前ナニモンだよ?」と半眼で睨まれるご褒美もいただけた。
今できる準備は全てしてきた。
あいつらが、まだ生きてパーティーを解散してなければ、なんとかできる可能性は高い。
はやる気持ちを抑え、ダンジョンへ降りていく。
こちなみにの世界の冒険者たちは、自分たちの集団の事をパーティーとは言わない。
少人数をチーム、大人数だとグループとかクランと言う。
では、パーティーとは何か。
それは俺の能力「パーティー編成」に入っている奴らの事だ。
どうもこれが俺の転生特典の能力らしい。
転生特典といっても、それほど凄い能力ではない「ダンジョン内でパーティーメンバー同士の居場所がなんとなくわかる」「一定距離に近づくとパーティーメンバー同士で念話ができる」「パーティーメンバーの経験値の分割割合を決められる」と言う、非常に微妙な能力である。
まぁ自分でチーム作って信頼できるメンバーがいれば、そこそこ便利な能力ではあるのだが、今は「ダンジョン内でパーティーメンバー同士の居場所がなんとなくわかる」くらいしか使いようがないな。
「さて、いきてろよ」
意識を集中し、パーティーメンバーの居場所を探る。
と、かなり遠い距離、下の方に反応が2つ。
「よし!」
よし!よし!!
あいつら、生きてる、んでパーティー解散してなかった。
これで、救出の可能性がぐんと上がった。いける!
しばらくブランクはあるが、勝手知ったる健軍ダンジョンだ。
14層くらいまでなら、1日で行けるはず。
それまであいつらが生き延びれば、あとは念話が通じるようになるはずだ。
「まってろ、あきらめんなよ」
俺は駆け出した。
ダンジョンに入った時より、足取りは全然かるい。
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