第百三十話:ソラの奉納ファイト(または一般人のトラウマ)
ステージ前の客席に座る俺とアイ。
道中聞いたところによると、奉納ファイトは当たり券を引き当てた者同士がステージ上で戦うらしい。
ちなみに当たり券を手に入れた対戦相手が来ないと、ステージで待ちぼうけを食らうとか。想像したらなんか嫌だな。
「おっ、今回はちゃんと対戦相手がいるな」
「そうね。待ちぼうけ回避だけでも儲けものじゃない」
ちなみにファイトステージの反対側にいるのは、浴衣を着た大柄な男性。
ねじり鉢巻とタヌキのお面を着けている辺り、島の住民なのかな?
少なくとも観光客っぽくはない。
「ガハハ! あと1勝すれば10連勝だ!」
「やったれやったれ!」
「よっ! 島一番のサモンファイター!」
いかにも地元の民といった感じの人達が持ち上げているな。
文字通り地元じゃ負け知らず的な人なんだろう。
というか連勝し続けて良いシステムなんだ。
「なぁアイ、これもしかして負けるまでファイトし続けるのか?」
「まさか。やめたくなったら自由にやめていいそうよ」
なら安心だな。勝ち続けて終わらないなんて事態は回避できる。
で、当のソラはというと……
「うぅ……」
やっぱり大勢の目には慣れていないのか、ちょっと緊張しているな。
「ソラー! がんばれー!」
「いつも通りにやっちゃいなさい!」
ステージに向けて応援の声をかけてみる。
どうやら俺達の声は届いたらしく、ソラは両頬をパンと叩いて気合いを入れていた。
うん、あとは本人を信じよう。
なんて事を思っていると、見慣れた人物が客席にやってきた。
「ん?
「あっ、速水もファイト見に来たのか」
タヌキのお面を頭につけた速水がやってきた。
お前そういうグッズ買うタイプだったんだな。
「普段触れられない神事だからな。見ておかなくては損だろ」
「真面目過ぎる気もするけど、その通りだよな」
「ん? 天川達も神事目当てじゃないのか?」
「俺達の目当てはあっち」
そう言って俺はステージ上のソラを指差す。
速水は理解するのに数秒かかったのか、少し無言で固まっていた。
「いや〜最初は俺が当たり券をゲットしたんだけど、ソラとアイに止められてさ」
「ツルギが出たら神事どころじゃないでしょ。だから代わりにソラに出てもらったのよ」
「……何を、言っているんだ?」
なんか速水が顔を青ざめさせているな。
どうした?
「天川が出場すれば惨劇にしかならない。そこは十分に理解する」
「そこ理解されるの反応に困るんだけど」
「だがな二人とも……何故、
えっ、なんでそうなる?
「そりゃあお前、ソラなら大丈夫そうだし」
「そうよ。少なくともツルギのような惨劇なんて絶対に」
「馬鹿かお前ら! 百歩譲って中学の時ならともかく、今の赤翼は――」
速水がそう言いかけたところで、客席から歓声が沸き上がった。
どうやらファイトが始まったらしい。
「おっ、始まったな。で速水なんて?」
「あのな、普段は学園に通っていて忘れているかもしれないが……今の赤翼は、一般的に見れば凄まじく強いからな!」
「「……あっ」」
俺とアイは同時に気づいてしまった。
確かに速水の言う通りかもしれない。
最近は
「そういえば俺らってサモンの名門学校に通ってたな」
「日常に溶け込みすぎて、すっかり忘れてたわね」
「言っておくがな、上にSクラスがあるとはいえ、
そういえばそうだったわ。
高等部からの入学だったら、Aクラスが一番強いんだった。
本当に最近は強いやつに囲まれすぎて、感覚がバグり過ぎてたな。
「まぁその……ソラなら大丈夫だろ!」
「……相手のトラウマにならなければ良いのだが」
心配する速水に、俺は根拠のない言葉しか出せない。
多分、その……大丈夫だと信じよう!
「先攻は私です。スタートフェイズ!」
あっ、ファイトが始まった。
ソラが先攻か。
「メインフェイズ。私は魔法カード〈ホーリーポーション〉を発動! 手札から系統:《
ソラ:ライフ10→13 手札4枚→5枚
まずは順当な動きだな。
ライフを回復したことで、もう【天罰】の条件も達成している。
しかも相手に見せたカードもいい。あれはライフを回復したターンじゃないと召喚できないからな。
……これ本当に相手さん大丈夫かな?
「このカードは自分がライフを2点以上回復したターンのみ、召喚が可能となります。私はデッキを上から3枚墓地に送って〈ヴァルゴエンジェル〉を召喚します!」
墓地に送られたカード:〈フェイカーポーション〉〈カプリコンエンジェル〉〈キュアピット〉
三枚のカードをコストで墓地に送ると、ソラの場に大きな魔法陣が出現する。
その魔法陣から姿を現したのは、ピンク色の髪を靡かせ、神聖な雰囲気を身に纏った天使。
前の世界でも結構強かった、美少女系モンスターだ。
〈ヴァルゴエンジェル〉P6000 ヒット2
「私はこれでターンエンドです」
ソラ:ライフ13 手札4枚
場:〈ヴァルゴエンジェル〉
まずは様子見といった感じか。
幸い〈ヴァルゴエンジェル〉はそういう様子見には丁度いいカード。
手札を残して相手にプレッシャーをかける点でも、良い判断だ。
だけど……ソラのやつ、これ本当にいつも通りでファイトしてるな。
「オレのターンだ。スタートフェイズ! ドローフェイズ!」
島の男:手札5枚→6枚
相手のターンが始まったけど、あの男の人声デカいな。
なんというか「お祭りでテンションが上がりまくった地元民」という概念を絵に描いたよう人だな。
「メインフェイズ! さぁ祭りだ祭りだ! オレは〈剛力の祠〉を2体召喚だぁぁぁ!」
男の前に召喚されたのは、岩を削って作られたような大きな二つの祠。
〈剛力の祠〉P1000 ヒット0 ×2体
うわ久しぶりに見た。アレ【
そういえばアレ、主戦力となるモンスターのデザインがタヌキだったな。
……デッキまでタヌキ推しなんだ、この島。
「さらにオレはライフを2点支払い、コイツ召喚するぜ!」
島の男:ライフ10→8
「来い! オレの切り札〈
男が仮想モニターに1枚のカードを投げ込むと、フィールドに大きな煙幕が出現した。
その煙幕を大きな尻尾で振り払い、中から茶釜の胴体を持つ大タヌキが現れる。
〈陰陽師ブンブク〉P6000 ヒット2
うん、いかにもな化け狸だな。
相手の残り手札は3枚だけど、これ以上の展開とかはなさそう。
カウンターだけ警戒すれば……まぁソラが負けるような相手ではなさそうだな。
「アタックフェイズ! 早速〈陰陽師ブンブク〉で攻撃だ!」
両手を上げて炎を作り出す化け狸。
だけどその炎で攻撃するのは相手ではない。
「〈陰陽師ブンブク〉の効果発動! 攻撃する時に、自分の場の系統:《祠》を持つモンスターを全て破壊する!」
「えっ、自分のモンスターをですか!?」
そして化け狸は自身の作った炎で、両サイドに建てられていた二つの祠を破壊してしまった。
これが【陰陽】というデッキの戦い方だ。
タヌキ型の系統:《陰陽》を持つモンスターで、自分の《祠》を破壊する事でアドバンテージを稼いでいく。
……なんか改めて立体映像で見ると、絵面が酷いなこれ。
「破壊された、2体の〈剛力の祠〉の効果発動!」
もちろん、祠もただでは破壊されない。
「コイツは破壊されると、オレの場に〈怪異トークン〉を作り出す!」
壊れた祠の中から、黒い影のような怪異が姿を現す。
うーん、やっぱり絵面がちょっとしたホラーなんだよな。
〈怪異トークン〉P9000 ヒット2 ×2体
パワーが高めのトークンが2体も登場して、客席も盛り上がっている。
確かに決して弱くはないトークンだけど、別に倒せない相手でもない。
そして更に、祠が破壊されれば……タヌキも効果を発動する。
「オレの祠が破壊された事で〈陰陽師ブンブク〉の【
自分の《祠》が破壊されたターンにのみ発動する能力。
それが系統:《陰陽》の専用能力【壊放】だ。
「このターンの間〈陰陽師ブンブク〉のパワーを+4000して【2回攻撃】を与える!」
〈陰陽師ブンブク〉P6000→P10000
パワーはそれなりに高いな。2回攻撃も良い感じ。
だけど、まだまだ対処できない域を出ていない。
客席の人達は普通に盛り上がっているし、ソラのピンチを感じている者もいる。
悪いけど、その予想は外れるぞ。
「相手モンスターが攻撃した瞬間〈ヴァルゴエンジェル〉の効果を発動します!」
ほらきた。
「1ターンに1度だけ、手札を1枚捨てて攻撃を無効にします」
ソラは手札からモンスターカードを捨てて、効果を発動する。
化け狸が大きな火球を投げつけてきたが、ピンク髪の天使がバリアを貼って、その一撃を防いでしまった。
使いやすい攻撃無効、これだけでも十分なスペックだけど……まだ〈ヴァルゴエンジェル〉の【天罰】が残っている。
「手札からモンスターカードを捨てた事で〈ヴァルゴエンジェル〉の【天罰】を発動です!」
「て、天罰?」
「自分のライフが相手より高い場合にのみ使える能力です。〈ヴァルゴエンジェル〉の【天罰】によって、捨てられたモンスターがヒット1以下で系統:《聖天使》を持っているなら、墓地から復活できます!」
ソラの場に、墓地に繋がる魔法陣が出現する。
俺はちゃんと見ていたぞ、ソラが捨てたカードがヒット1以下のモンスターだったのを!
「来てください〈サジットエンジェル〉!」
〈サジットエンジェル〉P4000 ヒット1
ソラの場に弓矢を持った天使が召喚される。
墓地からの復活であっても召喚には変わりない。
当然、召喚時効果も使える。
「〈サジットエンジェル〉の召喚時効果! 相手の場に存在するパワーが最も低いモンスターを1体破壊します」
今相手の場で一番パワーが低いのは2体の〈怪異トークン〉だ。どちらを選んでも変わらない。
弓矢を構えて、〈サジットエンジェル〉は敵軍の怪異を1体、容赦なく射抜いて破壊した。
流石にここで除去を打たれるとは思っていなかったのか、男の顔から余裕が抜けている。
「だ、だったら〈陰陽師ブンブク〉で2回攻撃!」
「魔法カード〈ヒーリングウォール〉を発動。モンスターの攻撃を無効にしてライフを2点回復します」
ソラ:ライフ13→15
サクッと攻撃を無効化されてしまう化け狸。
大きな炎が不発に終わったせいか、茶釜の中に頭と手足を引っ込めている。
俺ならここでターンエンドして、ブロッカーを残すんだけど。
「だったら〈怪異トークン〉で攻撃!」
攻撃しちゃうんだよな〜、この世界の一般人は。
「ライフで受けます」
ソラ:ライフ15→13
大きな影の怪異がソラに拳を振り下ろし、ライフを削る。
相手のライフを削って少し満足そうな様子の男。
だけどそれじゃあダメなんだよ。ライフを削っても、ソラのライフの方が多い状態は変わってない。
そもそも【聖天使】を相手にするなら、何がなんでも【天罰】を阻止しなくちゃいけないんだ。
サモンは基本的に系統ごとの固有能力を駆使して戦うのが基本だからな。
相手の固有能力を見たら、まずそれを阻止する方法を考えないとダメなんだよ。
「オレはこれでターンエンドだ!」
島の男:ライフ8 手札3枚
場:〈陰陽師ブンブク〉〈怪異トークン〉
モンスターは全て疲労状態。
ブロッカーはいないけど、手札は残っている。
モンスターを回復させる魔法を持っている可能性はあるけど……ソラなら何も問題は無さそうだな。
「私のターン。スタートフェイズ、ドローフェイズ」
ソラ:手札:2枚→3枚
ドローしたカードを確認して、ソラが表情を明るくした。
あーあ、これは間違いなくこのターンでソラが勝つな。
「メインフェイズ。私は系統:《聖天使》を持つモンスター〈ヴァルゴエンジェル〉を進化!」
ピンク髪の天使が大きな魔法陣に飲み込まれていく。
お馴染みの進化演出だな。
「天空の光。今翼と交わりて、世界を癒す輝きとなる。来て〈【
ソラの切り札。
聖なる光に身を包んだ大天使が、フィールドに降臨した。
〈【天翼神】エオストーレ〉P11000 ヒット3
「なっ!? SRのカードだと!?」
対戦相手の男だけでなく、客席の人達も驚きの声を上げている。
そういえばSRって普通に貴重だったな。
なんか最近、本当に自分の感覚がおかしくなってる気がする。
……使わないカード売って儲けてる俺が言っても説得力が無いか。
「ようやく出番が来ました」
そう呟くとソラは1枚のカードを仮想モニターに投げ込んだ。
「迷える魂に光の救いを! アームドカード〈
ソラの場に出現したのは、一枚の大きな鏡。
そういえば実戦では使ってる場面見たことがなかったな。
あれが聖天使のアームドカードだ。
「今度はアームドカードまで」
あぁ、そういえばアームドもまだ珍しかったな。
「私は〈転生鏡〉を〈【天翼神】エオストーレ〉に武装!」
大きな鏡が浮かび上がり、〈エオストーレ〉の側に移動する。
あっ、武装するといっても直接は持たないのね。
真横で浮いてるだけだ。
「アタックフェイズに入ります」
「だったら今のうちにに使わせてもらうぜ! オレは魔法カード〈ディフェンスシフト〉を発動! 自分のモンスターを全て回復させる!」
魔法効果で起き上がる化け狸と影の怪異。
なるほど、防御札は握っていたのか。
「更に魔法カード〈ハイパワーブレイク!〉手札を1枚捨てて、相手モンスターを1体破壊する! 当然破壊するのは〈エオストーレ〉だ!」
また珍しいカードを使うな。
あの魔法カードは自分の場にパワー9000以上のモンスターがいて、更に相手ターンでないと使えない除去魔法。
条件が厳しいから、微妙に使いにくいんだけど……カードの値段が高いこの世界では人気があるんだろうな。あれアンコモンだし。
だけど……残念ながら〈エオストーレ〉にそれは効かない。
「なぁ!? 破壊できない!?」
魔法効果による雷が〈エオストーレ〉に降り注ぐ。
しかしその程度の雷なんて関係ないと、〈エオストーレ〉は軽く振り払ってしまった。
「〈エオストーレ〉を召喚したターン。私の場の系統:《聖天使》を持つモンスターは、相手の魔法効果で破壊されません」
そう、そうなんだよ。
大体のファイトで〈エオストーレ〉を出したターンに決着をつけてしまうから、まともに機能している場面を見たことがない耐性付与効果。
「あのカードそんな効果あったのね」
「正直俺も久しぶりに見た」
アイのコメントに俺がそう答えると、隣で速水も頷いている。
本当、あの耐性が活きる場面って滅多に見ないんだよな。
「いきます! 〈エオストーレ〉で攻撃。そして攻撃時に【天罰】を発動!」
「そいつもあるのかよ」
「〈エオストーレ〉の【天罰】によって、相手は自身のモンスターを2体選んでデッキの下に戻さなくていけません」
「2体って……オレのモンスター全部じゃねーか!」
選択肢がない以上、強制的に効果が処理されていく。
化け狸はデッキの下に戻され、影の怪異はトークンなので消滅してしまう。
だが今回はこんなものでは終わらない。
「この瞬間〈転生鏡〉の武装時効果を発動。相手モンスターが場を離れるたびに、私はライフを1点回復します」
場を離れたモンスターは2体。よって2点の回復だな。
……ほとんどオーバーキルな気もするけど。
ソラ:ライフ13→15
「さらに〈転生鏡〉の【天罰】を発動! 武装状態で攻撃をしたなら、墓地からヒット1以下のモンスターを1体選んで復活させます」
あっ、これ本当にファイトを終わらせる気だ。
俺は覚えているぞ、ソラの墓地にあのカードが送られていた事を。
「私は墓地から〈カプリコンエンジェル〉を復活させます」
〈カプリコンエンジェル〉P3000 ヒット1
ソラの場に蘇ってきたのは、山羊の角が生えた天使。
さて、一連の処理が終わったから相手のブロック宣言のタイミングなんだけど。
「くっ、ライフで受ける!」
もう手札0、場のモンスター0じゃあ何もできないよな。
島の男:ライフ8→5
「続けて〈カプリコンエンジェル〉で攻撃です」
「ヒット1の攻撃ならどうってこと」
なんか余裕を保ちたいらしいけど、そうはいかないんだよな。
「〈カプリコンエンジェル〉の【天罰】を発動。ヒットを2つ上げます」
「なんだと!?」
〈カプリコンエンジェル〉ヒット1→3
「ラ、ライフだ!」
島の男:ライフ5→2
ギリギリでライフが残った男。もう隠す余裕もないくらい喜んでるな。
ソラの場のモンスターは全て攻撃を終了。次のターンで逆転してやる……なんて考えているんじゃないのか?
そんな中途半端な攻撃を仕掛けるような教育を、俺がしているわけないだろ。
「私は魔法カード〈聖なる魔剤〉を発動します!」
ほら持ってた。追撃用の魔法カード。
「効果で〈エオストーレ〉を指定。選んだモンスターのヒット数だけ私のライフを回復させます」
ソラ:ライフ15→18
「な、なんだ。ライフを回復しただけ――」
「続けて【天罰】を発動。〈聖なる魔剤〉の効果で〈エオストーレ〉を回復させます」
どこからか出現した缶ジュースを掴んで、一気に飲み干すエオストーレ。
あのカードってそういう演出だったんだ。
というか魔剤ってエナジードリンクの事かよ。飲むなよ、天使がそんなもの。
「そ、そんな……」
「これで終わりです。〈エオストーレ〉で攻撃!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
島の男:ライフ2→0
ソラ:WIN
残りのライフを消し飛ばされて、島の男が後方に吹き飛ばされる。
だからなんで吹っ飛ぶんだよ、この世界の人達はよ。
まぁファイト自体は予想通りソラの勝ちだったな。
「無事にソラの勝利だったな」
「そうね。予想通り過ぎたけど」
流石にアイもそうだったか。
隣で速水が頭を抱えているのは……見なかった事にしよう。
「だから言ったんだ。瞬殺だったじゃないか」
「いいじゃない。強さを知れば世界を知れるわよ」
「そうだそうだー」
「一般人をお前達のようなファイトジャンキーと一緒にするな」
いいじゃんかファイトジャンキー、楽しいぞ。
とりあえず速水からのお説教は後にして、俺はソラを迎えに行きますか。
そう思って席を立った瞬間であった。
(……ん?)
ふと、ファイトステージの周りにタヌキが集まっている事に気がついた。
タヌキがファイト観戦をするとも思えないし、客席で餌を探しているようにも見えない。
何よりタヌキ達は皆、ファイトステージの上を向いていた。
(なんか……変わったタヌキだな)
そんな不思議を頭に浮かべつつ、俺はソラを迎えに行くのであった。
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