第四章

 俺のせい? いや、冷静になって考えてみろよ。元を辿れば君たちのせいですからね。特にてめえ! 場所指定したのも、先に手を挙げたのもそっちだろ!

 あ、はい。確かにそんなことしてる場合じゃありませんですね。はい。

 だとしてもって言われてもなー。まあ、冷静になって考えてみると、明らかに被害が拡大したのは俺のせいなんだけど……でも、絵里はよかった。安心して眼鏡屋に行っててくれ! 俺たちを置いてな! あはは。

 俺と良子は謹慎中、二人で漫画でも――駄目? いいじゃーん。新しい漫画どうせいっぱい増えてるんだろー。読ませてくれよー。なんなら今からでも家行きたいくらいなんだけど。

 デリカシー?

 って、絵里に対する? それともこういう状況なのにふざけてる場合かって意味? それだけじゃないって……他にある? 死ねって、あー! まーた手ぇ挙げて! この子はー!

 ……やっぱり、俺だけ謹慎期間長いのおかしくね?

 絵里が処分無いのは分かるよ?

 ただ、どうして加害者である良子の謹慎期間の方が短いんだよ。今更、加害者も被害者もないってのは分かってるつもりでもさ。でも納得いかねー。

 ぜってーあのおばさん、女尊男卑とかそういうの地で行く人だよ。あんなのが教師になっていいのかとすら思いますね。ぼかぁ。

 そういうところ?

 あの状況で喋るなって方が無理じゃね? 取り調べめいてたし、発言を許可するっていうより、事情は全部吐かせる気満々だったし。

 う~ん。もやもやするな~。あのおばさん。なんか一方的に俺のことだけ目の敵にしてなかった?

 自分の胸に訊いてみろ? なんかその台詞、どっかで聞いたな……いやこっちの話。

 ……ああ。胸と言えば羽伊奈にもこれ報告しとかないと……やだなあ。俺のこと忘れないよなあ……。あいつのことだから、本気で俺のことなんて頭にも無さそうっていうか。あー自分で言っててショック。取るに足らない存在! それが俺! あ。ていうか、結局旧校舎行きそびれちゃったじゃん! この胸の怒り、どうしてくれようか! って、どうしようもないんだよなあ。はあ。

 つーか、今から、鞄持ってそのまんま帰宅しろっていくら何でも厳しすぎでしょ……話せないし。事情も言えないし……。

 あ。携帯の番号聞いてたわ。よし。

 んん? だー! 羽伊奈には聞いてなかったー! ちくしょうっ。普段携帯使ってねーのが仇になっちまった。つーか、次移動教室だよなあ……。場所体育館か……はあ。会えずに行ってしまう俺……悲しき運命……運命を受け入れるしかない悲劇の主人公…………………………そうだ! 詩衣奈に言伝とけばいいんだな! 相性悪そうだけど! しゃーなしだな!

 ……うん? 君たちの教室あっちですよ?

 羽伊奈? 付き合ってるよ? ええっと、先々週くらいから? まだ話してないよ。そのうち話すよ。ガッツポーズ止めろ。何に対するガッツポーズやねん。

 したの? って何もしてないよ。つかそういう誘導尋問止めろ。マジで。

 それと絵里。さっきは本当にごめん。

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