第三章

 まず文章がなってない。!や?の後ろは一文字開ける。これは読みやすくする為の基本ルールみたいなもの。かぎかっこ、台詞の最後に句点はいらない。文頭も一文字開けてから書く。正直この辺りは指摘される前に自分で調べてから書くべき。人に読んでもらう以上、最低限のルールは抑えた方がいい。演出としての効果を狙ってるんだったらまだしも納得できるんだけど、どうやらそれも無い。

 始めっからいくよ。まず冒頭の文ね。うん。意味がわからない。作品の雰囲気に合わせた詩なんだろうなってことは伝わるんだけど、そもそもこの冒頭の文は一体誰が書いたのか読み終わってみてもわからなかった。それと、抽象的過ぎ。意味不明。修飾語のオンパレード。中身すっかすか。

 一章から二章に掛けては日常だったね。

 長い。長過ぎる。二章の最後にやーっと事件らしい事件が始まったけれど、それまでの日常が長過ぎ。コメディとして見られるんだったらまだマシだけど、マジで女子高生のフツーの日常そのまんま描写してるだけだから終始退屈。すっ飛ばしたくなった。読み終わってみて分かる。すっ飛ばして問題なかった。数学と体育の授業風景とかここまで詳細に描く必要あった? 狙いはなんだったの?

 次。三章。

 事件の規模が小さい。しょぼい。ここで世界観の設定が唐突に明かされて、二章の最後で起きた事件の詳細が判明したけれど、世界観のスケールが大きい割に、起きてる事件がしょぼ過ぎ。なんで世界滅亡云々やってるのに、女子校の中だけで話が展開するの? その女子校が話の鍵になってるとかなら分かるんだけど、現在進行系で世界が滅亡に向かってるのに、こじんまりとした事件を延々追い掛けてる主人公たちには違和感しか感じなかった。……そういえばこういう感感表現とかかなり目に付いた。少し気になったかな。

 四章は……視点! もう! なんで主人公がいきなり変わってるの! ていうかもう、ここまで三人称だったのに、なんでいきなり一人称になっちゃったの!? 狙いは!? あと今更だけど一人称も三人称もなってない! ごっちゃごちゃ!

 中身……中身は……ううーん。まあでも、この作品の唯一良かった点をあげるとするなら、この話にほとんど関係無かった四章なんだよなあ。これ、追われてる敵側の視点でしょ? 緊迫感あってよかったと思う。どうしてここで挟んだのかは謎だったけど。

 最終章ねえ。

 最終章? 本当に? これで最後だって胸張って言える? ぶん投げ過ぎでしょ。いくらなんでも。それにここでエロ入れる必要なかったと思うよ?

 洋画でよくある唐突なエロシーン見てる気分だった。ぽかーん。口あんぐりって感じ。まあエロかったけどね。急に上手くなって笑っちゃったよ。マジで。

 作品全体としての総評は――これ、絶対百合じゃない。百合っつーんなら、百合をもっと見てから書いて。いや、マジでそこは譲れない。

 設定はもっとシンプルでいい。日常描写はもっと削るべき。文体はクソ。日本語の勉強からやり直した方がいいレベル。話は……全体として見れば、正直読めたもんじゃない。たださっきも言ったように、ところどころ面白い箇所はあったけどさ。

 これからも書くべき。

 もっと本を読んでから――なんて言わない。数をこなすしか無いと思う。慣れてないっていうのが読んでて、ひしひし伝わってきた。最初めっちゃくちゃゆっくり、中盤は超展開、終盤はぶん投げ。

 ね? ていうかこれちゃんと読み返してから渡したの――って。

 あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! 

 ごめん! ごめん! そうだよね! そうだよね!

 こんだけ言ったら泣くわな!?

 うわ、うわ、うわ。ああああ。本当にごめん……そのまんまな感想になっちゃってて、ああああ。今のは、えっと、そのまんまってのは、その、うん、嘘。じゃなくて本当のことなんだけど、今後の為を思うとそのまま伝えた方がいいかなって……うわ、うわ、また。ああっ、くっそ。詩衣奈の奴が言ってたのってこれのことか。

 落ち着いた?

 はあ。帰る前に顔洗った方がいいよ? ぐっちゃぐっちゃだよ?

 見ないでって言われても見えちゃうし。

 俺にデリカシーなんてもの求められても困るね。

 今日はもう帰ってって言われても……休み時間あと十分も無いよ? は? サボる? いやいやいや。まあ、中学と違って、サボっても多少問題無いけどさ? いきなりいなくなったらクラスの誰か――友達とか先生とか心配するんじゃない?

 ……う。ごめんなさいすぐ行きます。

 ……小説は続けた方がいいよ? 初めて小説書いてそれで上手くいったら、小説家なんてもっと世の中いっぱいいるだろうし。

 そんじゃね。

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