第6話 新婚生活
「富永君、いや由紀さん、僕と結婚して欲しい。一生大事にするから僕を幸せにしてくれないか。」
ちょっと変わったプロポーズ、嬉しかったけれど僕を幸せにしてくれないかで思わず吹き出してしまったのを覚えているわ。
私達は、四年間の付き合いを経て結婚しました。
私が二四歳、彼が三〇歳の時ですから私達は結婚三〇周年で真珠婚式になるのですが、私達にとっては別れの記念日にもなるのです。
今住んでいる家は、彼と二人で生活を切り詰め頭金を貯めて購入した家なんですよ、若い二人が結婚して家を買うにはそれなりの努力が必要でしたから、ちょっと無理しましたね。
二人で子供が出来たら家を買おうね、其れ迄は我慢して安いアパートでお金を貯めよう。二人で働いてどちらかの給料を貯金して頑張ればいいだけだから。
そうね、私も貴方の赤ちゃんが欲しいわ。子供が居る家族で暮らせる家を買う為には少し我慢しましょう。其れならあなたの給料を貯金しましょうよ、私の働いた分を生活費に回せば早く買えるかも!楽しみが出来たわね。
私達は子供との夢を追いつつ、愛の巣として池袋から一駅離れた上池袋三丁目に引っ越しました。
池袋駅西口・東武百貨店下から乗車できる東武東上線、一つ目の北池袋で降りて踏切を渡ってしばらく行くと交差点があり交番があってそこの十字路を左に入っていくと滝野川に出るのだけれどその途中にありました。
小さな公園が有って池袋と板橋の間にある地区なのにさすがは池袋、地価高騰で出来る公園は小さな滑り台と鉄棒、そしてウサギさんとゾウさんのスイング、いつかは此処で私達の子供も遊ぶかも知れないわと二人で少し遊びました。
其れが原因かは分からないけれど、彼は結婚して2カ月たった頃に彼の体調がおかしくなったの、其れも手や足に赤いポツポツが出てたのには驚いたわ。
熱も出て38度2分、体全体にも赤みが出て口の中までも赤くなって・・・・あれ此の症状って私経験したことが有るかも???確か中学時代に部活の仲間と共に身体が赤くなってあの時は風疹が流行って居て芸能人にも出ていたような、慌てて近くの病院に連れて行きました。
恥ずかしがる彼でしたが病院の受付で症状を伝えると一般の待ち合い室ではなく小さな部屋に案内されていました。
彼から聞いた話ではその待合室には子供達しかいなかったとか!其れもみな顔や手足に赤い斑点が出ていたそうです。
あれ、おじちゃんも風疹なの?僕達と同じだね((笑))
アハハハハ、そうだね。おじちゃん、君達より小さな子供達と公園で遊んでからこんなのが出てきちゃったんだよね、困っちゃうよなぁ!
高橋さん、どうぞ入ってください。何時からこのような症状が出たんですか?これはどう見ても風疹だね。子供の時に一度も掛からなかったのかな?風疹の予防接種をしていなかったんだね。お薬出しておきますから、其れと奥さんに感染させないよう一人で寝てくださいね、と云っても遅いか!奥さんに同じ症状が出ていなければ問題は無いでしょう。4・5日何処にも出かけないでください。熱が上がるようでした解熱剤も出しておきますので、取り敢えず5日後にまた来てください。
はい分かりました、あのぉ当然だとは思いますが・・・・出勤しちゃダメですよね?
常識の範囲と云うのを考えてください、風疹は感染力が麻疹ほどでは有りませんが強いんです。もし予防接種をしていない人が会社に居れば感染するでしょうね。そして其れはあなたが感染源だと思ってください。
分かりました自宅でそっと大人しくしています。
参っちゃったなぁ、何処にも出ちゃダメだってさ。それから子供達と同じ待合室でさ、風疹仲間だって子供達から云われてしまったよハハハ。
なぁ~にそれ、子供達と一緒に待って居たの?いい大人が子供達と同室なんておっかしいのぉ!其れって風疹仲間なのね((笑))
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