第15話

2035/11/18(日) 朝九時四十五分 封鎖区画EE1378南側検問所 長良ながら・加藤副課長・七班男性陣


 封鎖区画に入るのに本来は許可がいるが、小さい場所の場合は事情によるのである。


 今回のような場合、逃げ出す口実を与えてしまうのを塞ぐためという理由で検問所を突破したのである。


 封鎖区画は小さくても大きくても一応検問所があるのが普通である。


 一応普通の対応が帰って来たので、乗っ取られているわけではないということが分かった。




2035/11/18(日) 朝九時四十七分 封鎖区画EE1378南側 長良ながら・加藤副課長・七班男性陣


佐須雅さすが折神おりがみと組め。長良はラウと私と組め。二手にといってもフロントとバックスに別れるぞ。フロントは私たちが務める。バックスは佐須雅と折神だ。行くぞ」と副課長が先導しながら地下階へ降りていく。


 副課長は右手にモーゼルM712 Flowストックを短縮状態で持っている、逆に左手は術を使うのでフリーハンドだ。


 腰の裏に、大振りのアセイミーナイフを持っている。


 俺はナイツアーマメントLMGライトマシンガンをメインに持ち腰の裏にM18357クーガーⅡのホルスターを付け右懐に予備マグを五本持っている、そして背中に太刀を背負っている。


 金梨子地きんなしじ青龍文せいりゅうもん蒔絵まきえ螺鈿らでん衛府えふ太刀拵たちこしらえである、今日は太刀袋を左懐に入れてむき出しで背負っているのだ。


 ラウは右手に抜き身の青龍刀、左手にM11A2腰回りに予備マグを六本装着している。


 副課長がベージュ系ウール地のタクティカルジャケット、俺が紺のテーラードタクティカルジャケット、佐須雅は濃紺のバトルドレスユニット、ラウは検非違使用の紺のバトルドレスユニット、折神はいつもの紺のジャケットを着用していた。


 皆、防弾チョッキはフロントプレートとバックプレートの二つを着用していた。


 順調に降りていく地下四階ほど降りたところであろうか、かなりフロアの高いスペースに出た。


 副課長が静止のハンドサインを出した。




2035/11/18(日) 朝九時五十二分 封鎖区画EE1378南側地下四階 長良ながら・加藤副課長・七班男性陣


 黒服が数人、愚痴を言っている現場に遭遇したのだ。


 内容を術で副課長が収集したところ、今は退路が無いであるとか、見捨てられたかとか、増援も来ないであるなどの情報が得られたのであった。


 黒服の会話からフロアの高さそのものは二階ほどの高さで、さらに下にさらなる大きいスペースがあるということも会話から分った。


 製造工場という単語も飛び出したため、やはりここがといったふうになった。


 黒服は四人、人数では上回っているがまだ仕掛けないことにした。


 一班がいる北側のほうで大きな“ズズン”という音が響いてきた。


 一班のだれかが、バズーカーでも撃たないとこんな音はしない。


 黒服四人が、一人を残して北側に走り去った。




2035/11/18(日) 朝九時五十五分 封鎖区画EE1378南側地下四階 長良・加藤副課長・七班男性陣


 一人になった黒服が呟いた。


「あーあ、俺もここ以外の配置が良かったな」と。


 こいつは無視して下に降りるぞ、というハンドサインが副課長から出された。




2035/11/18(日) 朝九時五十九分 封鎖区画EE1378南側地下八階 長良・加藤副課長・七班男性陣


 この匂いは? と副課長からハンドサインが来た。


 確かに異様な匂いが充満していた。


 この手の臭いは、大抵妖魔あやかし絡みの臭いであることが多かった。


 妖魔絡みではと俺はハンドサインを送った。


 下から匂ってきます、というハンドサインを送った。


 だがこの階段はここでしまいの様だった、どこか別口で下に降りる階段があるに違いない。


 皆、闇に目が慣れ始めてきたようだった。




2035/11/18(日) 朝十時 封鎖区画EE1378南側地下八階フロアの高い部屋 長良・加藤副課長・七班男性陣


 現在の陣形は、副課長がワントップ、霊武器持ちのラウさんと俺が第二陣、バックアップは佐須雅さんと折神さんであった。


 副課長のほうが勘が鋭く、火力も状況によってかなり出るため前衛に布陣してもらっている。


 ど真ん中に両開きの大扉が一対あった、そこまでは柱がズブズブ生えている部屋だ、倉庫ではなく構造的に必要な部屋だと考えられた。


 ここのフロアも、縦には三階くらいの高さがあった。

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