第13話

2035/11/18(日)  深夜一時十三分 南公園東側道路中央辺り 長良ながら・七班・一班・二班


「実働部隊は武器を全て回収後、撤収! 解析班と捜査専従班を入れる!」という四月朔日わたぬき班長からの指示が出た。


「マンホールの件は、捜査専従班に任せてもいいか」と俺は聞いた。


「そのように指示を出す」という報告が返った。


「二班はフロントをハチの巣にされて自走不能、回収車を待つ。武器や装備は回収して乗っておく」という報告が出て来た。


「警察の規制線を少し縮めてもらおう」という話が無線に載った。




2035/11/18(日)  深夜一時十五分から 南公園東側道路中央辺り 一班・二班・解析班・捜査専従班


 昼間のような煌々とした明かりの中、解析班が色々なものを集めていく。


 重指揮車の稼働照明は、こういう時に有効なのだ。


 ひとかけらも残さずに収集する解析班の腕も、照明あっての物種である。


 ブツや武器の破片や機材、トランクケースなどを白手袋のままビニルに入れたりしながら回収していく。


 車などの大物も全て回収だ、一緒に二班の車両も回収されていく。


 今回は場所が近いため、八課の解析班が二班とも動員されている。


 回収用大型トラックは、合計四台が出張っていた。


 珍しいものでは、無針注射の付いたアンプルなども見つかっている。


 死亡していない人員は全て逮捕の上、捜査専従班と一緒に神戸分署に運ばれる予定だ。


 モノだけ八課で解析しようという状態であった。


 七班はもう撤収済みで、すでに班室で報告書を書いている頃だろう。




2035/11/18(日)  深夜一時十八分 検非違使けびいし神戸分署仮八課棟七班班室 折神おりがみ・他男性陣


「しかし今日は派手だったな、装備もかなり使い込んだぜ」と長良副長がいった。


「報告書もかなり書かにゃならんなりませんね」といいつつ装備を片付けた俺が報告書に手を付け始めた。


「報告書もそうですが、データーも上げねばなりませんね」と佐須雅さんがいう。


「その辺は佐須雅さんの十八番おはこだろう」とラウさんがいった。


「緊急要請にも対応せなばならんしな、まだ気は抜けないぜ。この前みたいなのも、あるかもしれないしな」と副長がいって的確に報告書を書き始めた。


「しかし半妖魔あやかし化しているヤツっていうのは斬りにくいな」といいながら報告書をまとめておられたのだ。


「部位は飛ばせても、まだ動くってのは厄介ですね」と佐須雅さんは、受けた感覚を言葉にした。


「書き終えたら俺のところまで持って来てくれ、副長印を押すから」と長良さんがいわれたのだった。


「嬢ちゃんたちが装備している。ゴーグル弐式にもう少し数があればな、データーで上げるのも難しくは無くなるんだが。まだまだ試験装備だからな、数がねえ」と長良さんがいって笑った。


「あれがあると何か変わるんですか?」と俺は疑問に思ったことを聞いた。


「アレは録画機能も備えているんだ、どんな風に戦った。とかいうのをデーターで、まとめやすくなるようになってるのさ。だから逆にヘマはできねえ、全部記録されているわけだからな」といって下さったのである。




2035/11/18(日)  深夜一時三十五分 検非違使神戸分署仮八課棟課長室 長良・加藤


「今回は報告書が速いな、なにか気持ちの変化でもあったのか?」と加藤副課長に聞かれる。


「変化ってわけではないんですが、ゴーグル弐型を増やせませんかね?」と俺は聞いた。


「あの試験装備か? 四型を量産途中だと聞いたが? まだ入ってくるのは先だな、年末くらいか」と副課長にいわれてしまう。


「録画機能と暗視・霊視機能を強化してあると聞くから上等な部類だが、高いぞ? 参型の例に及ばず」とさらなる追い打ちを食らってしまった。


「よりよくなるのは構いませんが、いかほどで?」と俺は聞いた。


「百五十万ほどだと聞いてはいるが」といわれる。


「確かに高めですな、ですが支給品になればもう少し安くなるのでは?」と一縷いちるの望みをかけて支給品にとうったえてみた。


「こちらからも少し働きかけておこう、支給品は難しいかも入れないが霊が視覚化できるようになるからな」とメモを付けてもらえたのであった。


 そして俺は課長室を後にした。

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