第12話

2035/11/18(日)  深夜一時四分 南公園東側道路中央辺り シンジケート・検非違使


「チッ不味いな挟まれたか」と俺は長い銀髪とグレイのトレンチをひるがえし、先に手薄なほうの北側からハチの巣にしていくべく向き直った。


 ただ南側からも盛大に撃たれており、すでにタンドラは走行不可能に追い込まれていた。


 すでに重度中毒者の一部要員に、俺は無針注射のケースを渡すと「使え」と指示した。


 その間に北側にデザートイーグルを撃ち込んでいく特製の51AE弾仕様だ、だが無情にも装甲を強化してあるのか効いていなかった。


 仕方がないが、車列を捨てる準備にかかった。


 俺だけなら飛んで逃げられるからであった、すでに人員の被害が半端なく七割は生きてはいるが戦闘不能に追い込まれている。


 変化の麻薬を使わざるをえなかった、一時的に超人に成れるがその後五分後には知能をなくして妖魔と化す秘薬である。


 それを残った五名に渡すと、俺は自らの吸っていた煙草を吐き出した。


 そしてしゃがんで、力を一気に溜め込んだ。


 背中、肩甲骨の辺りに力を一気に溜め込むと解放した。


 その瞬間俺の背に一対の灰色の大きな翼が生えた。


 足元に一秒信管のスモークグレネイドを四つほど転がした。


 爆発に紛れて闇夜に飛ぼうというのである、そして爆発し煙が大量に立ち上った。


 俺は無事、離脱には成功したが金やブツは持って帰るのは無理だった。




2035/11/18(日)  深夜一時六分 南公園東側道路中央辺り シンジケート・検非違使


 強化の秘薬を手にしたヤツが一人倒された、打つ前だった。


 他の四人は無事、秘薬を打てていた。


 それぞれ北側と南側に散ってハイエースから、ブローニングM2重機関銃を引きちぎるとそれぞれが両手で構えて撃ち始めた。




2035/11/18(日)  深夜一時六分 南公園東側道路中央辺り 長良ながら・七班・一班・二班・敵


「いきなり敵が強くなってないか? 銃弾が弾かれるんだが、それにブローニングM2重機関銃って設置型だろう? なんで一人で持って撃てるんだ?」と俺は足回りに撃つ部分を変えて相手の足止めを始めていた。


 佐須雅さんも「おかしいですね、なにか強化薬でも打ったのでは?」といって十二点七ミリの徹甲弾をその南側に展開している二人に狙いを定めて撃ち込み始めた。


「で銀髪のヤツはどこに行った? 白煙が立ち上ってから見えなくなったぞ。逃げられてないか?」と聞いた。


「こちら重指揮車、四月朔日わたぬきだ! 銀髪のヤツは戦場にいねえ、離脱したと思われる、マンホールを後で当たってくれ……」という指示が飛んだ。


「こちら二班至急応援を乞う、ブローニングM2重機関銃は流石に無理だ。車両が持たん、急場しのぎの装甲強化だからな」というのと「M-8が効いてない、痛いほうのグレネイドで対応する」という悲痛な報告が上がって来た。




2035/11/18(日)  深夜一時十分 南公園東側道路中央辺り 長良ながら・七班・一班・二班・敵


「一応周辺には警察に頼んで規制線を引いているが、長くかかりすぎだ」と四月朔日班長から悲痛な報告が上がって来ていた。


「この周囲には病院施設も多い、音で気付くやつはそろそろ気付くぞ。実働部隊はなるべく早く対象を沈黙させてくれ、解析班もお待ちだ」という指示も続けて飛んできた。


「こちら長良、弾が尽きた白兵戦に入る」というとナイツアーマメントLMGライトマシンガンをその場に置くと太刀袋の金と黒の本絹ほんけん組房紐くみふさひもを解き袋の折り返しを戻し、金色きんいろかしらと白い皮巻かわまきづかと金色にかがやつばまで出して太刀を抜ききり右手で構えて突入準備をする。


「佐須雅さんヤツの頭を吹き飛ばしてくれ、多分それでも動いているはずだ。俺はそいつを斬り伏せに行く」というと「タイミング三秒、三、二、一、ゼロ!」といって頭を吹き飛ばした。


 やはりまだ動いているので、袈裟懸けに一撃で斜めに斬り落とし動きを止めさせると、そのまますぐ隣で撃っていた奴に逆袈裟斬りで同じように斜めに斬り上げて動きを止めさせた。


 二班のほうから“ズズズズドン”という重低音が響いてきた。


 痛いほうのグレネイドを四発集弾させて使ったという結果報告が上がって来た。


 敵はバラバラになって部品としては、まだ動いているため、解析班に回すという報告も込みであった。

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