第10話
2035/11/18(日) 昼二時三十分 検非違使神戸分署仮八課棟七班班室
「すみませんでした。ご迷惑をおかけしてしまって」と折神が退院してその日に戻って来た。
「体が
「少し鈍っているかもしれませんね、シューティングレンジで少し勘を戻してきます」といって部屋を出て行った。
「なまじ一度は撃たれているからな、二度目の失敗はしないやつだから大丈夫だとは思うが……」と俺はいった。
「長良さんは戦闘能力が優れているからな」とラウさんにいわれてしまう。
だがやられてばかりではない「そういうラウさんも戦闘能力だけでいうなら似たようなもんじゃねーか」といい返しておく。
そこを
「得物のリーチは似たようなもんですし。ああ、ナイツアーマメント
「そういう佐須雅さんも、ポジティブだし自信に満ちてることが多いじゃねえか」と俺は突っ込み返しておいた。
「あと一時間半で寝ないとな、今の我々は夜勤組だからな」というのは忘れないでおく。
「そう言えばウチの班にはゴシップが少ないですね」と佐須雅さんは探りを入れて来た。
「さすがに高校生や小学生相手にゴシップは不味いだろう。それに女性といっても俺らより強いかもしれない風祭さんや班長は恋愛対象にはしにくいしな」と俺が答えるのである。
事実であった、それに他の班に女性はいないわけではないが勤務時間が被ることが少なく同じ現場に出張るということも無いのでゴシップの種は落ちていないのであった。
女性に縁遠い職場というわけではない、むしろ華は多いがいろいろと問題があるのであった。
2035/11/18(日) 昼四時 検非違使神戸分署仮八課棟仮眠室 長良・折神・ラウ・佐須雅
「今晩も夜勤だから、今のうちに寝るぞ」といってまた夜中の十時まで寝るのであった。
今回は佐須雅さんも寝るようであった、流石に二徹は疲れるらしい。
2035/11/18(日) 夜十時 検非違使神戸分署仮八課棟七班班室 長良・折神・ラウ・佐須雅
「しかし、デザートイーグルの弾を同じ個所に二発も貰うとは思いませんでした。よっぽど相手の腕が尋常ではないのでしょう、しかも車のドア二枚抜きですし」と折神さんがいった。
「執刀されていた加藤先生の話によると、綺麗に内臓や骨を避けていたらしいですからね。やはり驚異の腕の持ち主と、判断できると思います。十六日には遭遇しなかったというのは、何かあったんですかね? 相手の組織的に……」と折神さんが続けた。
「確かに組織的に何かあったんだろうな、逮捕されたヤツと専従捜査班が全滅したからな。ブローニングM2重機関銃が弾切れするくらい、一箱分約二百発は撃ちきったらしいからな。生き残りが、亡くなる前に副課長にそう話していたそうだ。死んだかどうか確認するために、トミーガンを持ちだしていたらしいからな。それと対象車種一台は、タンドラだそうだ古くてデカいトヨタの外車だな。他の四台はハイエースらしいぜ、ギリギリデータがドラレコに残ってたんだそうだ」と俺は少し長めで話した。
「車は珍しいのが一台と一般的な奴が四台ってところか」とラウさんが
「車から足取りは追えないでしょう、多分」と佐須雅さんはいう。
「確かにタンドラは珍しいかもしれませんが、そこから足が付くようなヘマをやらかすとは思えません」とも続けた。
「まあ車からは追えないだろうな、偽造ナンバーの線からじゃないか追うとしたら」と俺は話の筋を戻した。
「それは、警察のお仕事か我々公安のお仕事ですね。検非違使の、お仕事ではなさそうですが」と佐須雅さんも流石にそれはといった感じで答えた。
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