ウーパールーパーの行方

「全長二十メートルの超巨大なウーパールーパーが、緑地公園の周辺を徘徊している。最近立て続けに起こっている失踪事件は、その怪物ウーパールーパーが人を襲って食っているためだ」


 そのような、にわかに信じられない噂が雷電の如く市中に駆け巡った。そして、噂に呼応するかのように、実在を証明するかのような動画が、次々と投稿サイトにアップロードされた。全長二十メートルというのは流石に誇張であったが、全長八、九メートルのウーパールーパーが夜道を闊歩する様を、複数の市民が撮影したのだ。

 とはいえ、目撃例はそれきりだった。八月某日深夜、例のウーパールーパーが竹林の中へと消えていく動画が撮影されたのを最後に、この怪物の目撃はぱたりとやんでしまった。あんな図体の生き物がどこかへ隠れるのは難しいと考えられ、ウーパールーパーの動画は全てフェイクだと断定された。


 あの巨大なウーパールーパーは、一体何だったのか。今となっては、知る由もないことである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ある日、大きなウーパールーパーを拾った 武州人也 @hagachi-hm

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ