第11話 ウランダ国

「おかえり」




ウランダ外の森の中、優しい口調でオタルが迎えてくれた。街で色々揃えていたら日はもう沈みかけていた。




「おう、ただま」




すでにオタルは料理を始めていて、その香りで空腹が強まって唾液が口の中で溢れた。




「お、美味そう、そそ、そういやこれ」


地面に荷物を置き、その中から


例のクエストの受注書、そしてゲラルドワーカーズからの手紙をオタルに渡す。




「ありがとう・・・・クエストは・・・ハフの村?どこ?」




「こっから北に3、4週間だってよ。ほらあれ、アイスバングの入り口の村だな」




「結構かかるんだね」




「そうだな、あ、そそ、んでこれこれ」




そう言って自慢気に魔物の素材が入っていたバック、中の素材は全て売り、今は街で買った保存食は調味料、道具などの旅の物資が入っている。


そのバックからからマントを取り出す。


普通のマントと違い、厚手の革に裏地や所々には毛皮が縫われている。




「どうしたのそれ?」




「防寒着だよ、他にも下に着る奴とか買った。多分お前のサイズに合うと思う」




「そんな、僕の分はよかったのに、お金大丈夫だった?」




「大丈夫大丈夫、まだ7割は残ってる。無駄遣いだったか?」




マントをオタルに手渡す。




「そんなことないよ!あ、でもすごい、縫い目も揃ってるし、裏地の毛皮がすごく柔らかい」




「まあ一つ金一枚ぐらいしたけどいい買いもんだったと思うぜ、ああそうそう、これお釣り」




「あ、うん、ありがとう。でも、僕が持ってても意味ないからフルド持っててよ」




「そうか?じゃあ半分こしとこうや、もしどっちかが無くしたりしてもどうにかなるだろ?」




「そうだね」




「ま、先に飯だな、お、今日は兎か」




「うん、香辛料多めににしといたよ」




「流石オタルわかってるー!じゃ、いただきます!」




「いただきます」




二人で手を合わせて食事の挨拶をする。


今となってはいつもの流れだ。




一人で旅をしてる時はそんなことしなかった。


前のメンバーの時もしてるのは数人だけだった。


オタルの飯はやはり今日も美味かった。そして飽きが来ない。旅をしながらこんなご馳走を食べれるのはなかなかあるものじゃない。




今となってはオタルの飯を食べるために旅をしているのではないかと錯覚する程だ。




それだけこいつの飯はヤバい。




スープを音を立てずに飲むオタル。食事のマナーまでちゃんとしてやがる。ちなみに俺は暑い飲みもんは絶対音を出してしまう。




そんなオタルのマナーに感心しながら今日のご馳走をいただこうとした時。




「蹄の音が聞こえる」




と、オタルが呟いた。


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