第15話 予想外であり想定外の想い

面倒な事になってきた。

というか何故俺はこんな目に巻き込まれているのやら。

思いながら.....冨永という羽田の幼馴染の相談を聞いてから。

俺は2人に帰ってもらい.....そのまま今に至る。


いや俺は羽田を助ける気は無い。

さらっさらに、だ。

だけど.....まああの目だ。

何というか情けを掛けているんだろうな。

俺も優し過ぎるんだな。


「どうしたもんかね.....馬鹿野郎は俺なのかもな」


思いながら俺は勉強を進める。

ちょうど中間テストに備えて勉強をする。

面倒臭い事ばかりに構ってられない。

その様に思いながら、だ。

勉強は思った感じで進んでいる。


「.....この辺りにすっか。よし寝よう」


そんな感じで呟きながら。

俺はそのまま横になる。

その日の夢だがこんな夢を見た。

それは.....まあ何というかこういう夢だ。

何というかあざとい後輩が俺のスマホを鳴らす夢。


プルルルル


「.....むにゃ.....」


プルルルル


「.....おい。何だってんだ!?」


今の時刻、日付だが。

土曜日6時56分。

馬鹿なんじゃないのか!誰だよこんな朝っぱらから!

思いながら俺は文句垂れ流しでスマホを見る。


朝のアラートが鳴る前の事だ。

よく見れば画面に、あざとい後輩、とあった。

俺は、!?、と思いながら電話に出る。

すると、雑草セーンパイ♡、と声がした。

何だよ.....こんな朝早くから。


『何やっているんですか?女の子がコールしたら1回で起きて下さい』


「.....お前.....朝早いんだが.....何の用事だ」


『はい。早速ですが見せたいものがあります』


「.....それって今日じゃないとダメな訳ぇ?」


『勿論、駄目です♡』


お前さん.....。

思いながら俺はベッドから立ち上がる。

コイツは多分この勢いなら家に突撃してくる可能性がある。

俺は額に手を添えた。

非常に面倒臭過ぎるのだが.....仕方が無い。


「で?何を見せたいんだ」


『この街の.....秘密の場所です』


「こんなクソ朝早くから?馬鹿なんじゃないの?アホ?」


『言いましたね?雑草先輩の位って結構低いんですよ?』


「何がや。お前言ってろ。ぶっ飛ばすぞ」


着替えながら怒る俺。

誰が位が低いんだお前。

思いながら俺は顔を引き攣らせる。

でもまあ確かに位は低いけどな。

非リアだしな。


『.....それはそうと雑草先輩』


「.....何だ」


『雑草先輩は恋をしないんですか?』


「.....は?恋?.....何で俺が?」


『いえ。ちょっと聞いてみただけです。すいませんでした』


訳が分からないよ。

思いながら俺はそのまま家から出る。

そして聞いてみる。


お前さんは何処に居るんだ、と。

すると、私今.....ちょうど駅の前です、と答える。

俺は、そうか、と言いながら向かった。


「聞いても良いか?あざとい後輩」


『はい。何でしょう。というかあざとい後輩と言わないで下さいとあれ程』


「いや。お前はあざとい後輩だ。それに間違いは無い」


『もー.....』


いや、もー、って言ってもな。

俺は苦笑しながらやって来ると。

やけにデートコーデな感じでビシッと決めた感じの.....美少女が居た。

滅茶苦茶に注目を浴びている。

キャップにTシャツに.....ジーパン的な。


誰だよ、と思ったが。

よく見ればあざとい後輩だった。

というかお前な.....注目を浴びすぎだろ。

俺が声に駆け辛いんだが。

考えながら俺は苦笑いを浮かべながら立っていると。


「あ!雑草先輩!」


「駅前で何つーこと言うんだコラァ!!!!!」


「え?だって雑草先輩は雑草先輩ですから」


「雑草先輩が全てじゃねぇ!アホ!」


「ふーむ。では枯草先輩?」


悩んで答える鈴木。

枯草でもないんだが.....。

俺は盛大に溜息を吐きながら額に手を添える。


そしてあざとい後輩を見つめる。

あざとい後輩はニコニコしていて、早速ですが参りましょう!、と言ってきた。

それから俺の手を引いて行く.....オイオイ!?

何すんだ!


「今から何処に行くんだ!?その場所か!?」


「はい!私のお気に入りの場所です!」


「.....ああもう!ったく.....」


そして俺は手を引かれながらやって来る。

その場所は商店街を抜けての河川敷の辺り。

草木を分けての.....先の方。


砂利があり.....そして周りを草木で囲まれている。

とっておきの場所に見える。

川が太陽で輝いていた。


「これはまた凄い場所を知っているな。お前」


「そうです。.....実はですねぇ。えへへ。この場所で雑草先輩に言いたい事があってですねぇ」


「.....何を言いたいんだ。お前の事だろうからきっと羽田先輩の.....とか?」


「違うんです」


「.....は?」


俺に真剣な顔をしてくるあざとい後輩。

その顔を見ながら俺は?を浮かべてみる。

するとあざとい後輩は赤くなった。

頬を朱色に染める。

な。何でしょうか?


「この場所に.....何故、貴方を呼んだか分かりますか。私の秘密の場所に」


「.....分からん。何故」


「鈍感ですね。.....先輩」


「.....え?」


あざとい後輩は俺の側に寄り添って来る。

俺は、!?、と思いながらビックリしながら。

鈴木を見つめる。

え?


「一晩考えたんですが。.....私ですね。.....先輩が好きになったみたいなんです」


「.....そうか。......は!!!!?」


「.....羽田先輩の事を一生懸命に考える姿に.....憧れました」


「.....は、は!?は!?」


夢以上の問題なんですが!?

俺は心底に愕然としながら鈴木を見つめる。

鈴木は笑みを浮かべながらクルッと一回転しながら笑みを浮かべる。


この場所は.....恋をした人と一緒に来たいと思っていた場所です。

と言いながら、だ。

俺は、!!!!?、と思いながら顎が落ちそうになった。


「先輩。付き合って下さい、とは言いません。.....でももし良かったら私を見て下さい」


「.....嘘だろお前.....」


「嘘じゃ無いです。.....私は.....至って真剣です」


「.....!」


俺は真っ赤に赤面しながら。

そのまま鈴木を見つめる。

鈴木は、私は.....真剣な恋をしたいです。だから先輩も是非応援して下さい、と向きながら俺の手を握ってきた。


「.....」


「川が煌めいて見えるのは今の時期、今のこの時間だけなんです」


「.....そうか。それでか」


「そういう事です」


ニコッとしながら俺を見てくる鈴木。

まさかだった。

何故この時間かと思ったら。

考えながら俺は苦笑する。

そしてあざとい後輩を見た。


「だけど告白は今は受けない。.....今の状況ではすまないが」


「.....ですね。.....先輩はお忙しいから。そう言うと思っていました」


「.....でも嬉しいっちゃ嬉しい。俺は.....女子生徒に告白されるの初めてだから」


そんな会話をしながら。

俺は口角を上げながら柔和になるあざとい後輩を見る。

いや.....後輩を見た。

全くな、と思いながら、だ。

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