第16話 長門の中学の時の同級生とあざとい後輩と

八女に勝ち目が無くなった.....のか?

と思う様な愛の告白だった。

誰から受けたのかというとあざとい後輩もとい後輩。


俺はその後輩から、貴方が好きです、と告白された。

ただただ.....衝撃だ。

まさか告白されるとは思ってなかったから、だ。

それから後輩はこう言ってきた。


『まだまだ壁は沢山有ります。だから勝ち目は薄いかもしれないですが.....でもそれでも。私は貴方が好きです』


とである。

俺は?を浮かべて後輩を見る。

後輩は、えへへ、と言いながら俺を見ていた。

その姿を見ながら、やれやれ、と溜息を吐きつつ。

喫茶店.....じゃなくて。

ファミレスにやって来ての目の前の後輩を見る。


「お金は大切ですからね。贅沢はあまりしたくない主義なので」


「意外なこったな。お前の様な雑な性格だから高級ブランドとかにこだわるのかと思ったわ」


「む。先輩失礼ですね。何だと思っているんですか私を」


「.....いや。申し訳無いけど割とマジにそう思ってたよ」


そんな会話をしながらふと思う。

そうかコイツがやけに俺の家に来ていたのはそういう事か、と思いながら。

考えながらコーヒーを胃に流し込む。

それから後輩を見た。


「あの場所はいつから見つけたんだ」


「あの場所ですか?.....そうですね。中学生の頃かな」


「.....そうか。でも意外だったな。お前があんな場所が好きなんて」


「私は静かな場所が好きな時もありますので」


そうですね。

家が少々うるさい家庭なので、と目を逸らす後輩。

ああ家庭事情か。

それは.....大変だな。

考えながら俺は後輩を見る。

後輩はニコッとした。


「でもお気になさらないで下さい。大丈夫ですから」


「.....いや。さらっさら心配はしてないが.....」


「酷いですね!?」


「.....んな事言われてもな。だって俺はリア充嫌いだからな」


「でもそう言いながらも陰ながら人を助けようとする先輩が面白いです」


アハハ、と言いながら笑みを浮かべる後輩。

全くな畜生め。

気が狂ってしまう。

思いながら後輩を片手で頬杖を突きながら観察する。

そんな感じで頬杖を突いて無くなったコーヒーカップの底を見ていると、先輩は何故に人を助けるんですか、と聞いてきた。


「いや。助けているんじゃ無いんだが。誤解してもらっちゃ困る。巻き添えを食らっているだけだぞ」


「そんな事は無いと思います。私を惚れさせるぐらいですから.....先輩は影の救済者だと思います」


「.....そんなに大きな存在じゃない。.....俺は.....そうだな。過去の件があって、そんな人間にはなりたくねぇな、と思って行動しているだけだ」


「でも先輩。それを人から見れば救済って言いますよ」


そんなもんかね。

考えながら俺は首を傾げる。

しかし救済とは思えないな、と思う。


どれだけ考えても救済なんて思えないな。

そんな結論に至りながら後輩を見ると。

後輩は、先輩は捻くれすぎだと思います、と真剣な顔で言う。

お前は.....人に向かってなんて事を言うんだ。

捻くれすぎだ?


「先輩。自分をたまに見返してあげて下さい。褒めてあげるのも良いかもしれないです。.....先輩はコンを詰めすぎだと思います」


「俺の体と性格に異常があるとでも言いたい感じだな。俺は至って普通だぞ」


「いや。普通じゃ無いです。.....だから私がお弁当を作ってあげます」


「.....極論すぎて何も言えないんだが.....何故そうなる.....」


そんな会話をしていると。

あの、と声がした。

俺達は?を浮かべて顔を横に向けると。


黒縁眼鏡のうちの制服を着た少女が立っていた。

眉を顰めながらよく観察すると.....なんと。

佐藤莉子(さとうりこ)だった。

中学の時の同級生だ。

引っ越して連絡が取れなくなったヤツである。


「お前.....随分久々だな!図書室でよく話していたよな?佐藤」


「やっぱり長門くんだったんだ。.....うん。久々だね」


「どうしたんだ?今日は.....ってその服は.....?」


「.....あ、うん。ちょっと前に引っ越して来たの。それで噂を聞いて.....」


それで噂に聞いたんだけど.....長門くんは女子を救ってクラスのヒーローになったんだよね、と聞いてくる。

いや。ヒーローって訳じゃ無いんだが。

思いながら苦笑しつつ佐藤を見ていると。

かなりジト目になっている後輩が.....。


「もしもーし。私は置いてけぼりですかぁ?」


「何だよお前.....そんな嫉妬した顔をして」


「だって先輩が私を放って置いて可愛い女の子と話しているからぁ」


「.....そんなつもりは無いんだが」


眉をひそめて俺をジトッと見てくる後輩。

ふーん.....、と向いてくる。

その視線に佐藤は、あ。う、と良いながら黙ってしまう。

俺は、おい鈴木。止めろって、と言いながら。

佐藤.....すまない俺の後輩が、と向く。


「い、良いよ。.....その。今日はちょっと用事があって声を掛けたの」


「.....?.....何の用事?」


「同好会に入らないかって用事。その。色々な本の」


「お。楽しそうだな。そんなのがあったんだな」


「うん。色々な本があって楽しいよ。.....もし良かったら入らないかな」


それはなかなか楽しそうだな。

佐藤も居るなら邪魔で無ければ俺も入りたい。

思いながら居ると。


はい。先輩が入るなら私も入ります、と言ってくる.....鈴木。

何!?、と思いながら鈴木を見る。

鈴木はムッとした。


「何ですか?嫌なんですか?先輩」


「いや。お前が.....その。そういう同好会に入るのがあり得ないんだが.....まさか俺目的で?」


「それも目的ですがそれ以外にもあります。佐藤先輩に先輩の事を教えてもらおうかと思ったり色々です。.....それから.....まあ大きな理由としては理由付きであの煩い家に早く帰らなくて済む様になりますしね」


「.....?」


恋愛模様の目的で使わないで欲しいけど.....、と困惑して赤くなっている佐藤の声がしながらだったが、俺と後輩はそのまま同好会に参加する事になった。

そのままの部員である。

何が目的なのやら.....後輩の野郎は。

そんな事を思いながらだったが。

何となく楽しみが増えたな、と思えた。


で.....その。

まあその後にカオスな状況になるとは予想してなかったのだが.....。

誰か助けてくれ.....。

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