第10話 パイセンと森本の再来と

帰宅すると.....バッドタイミングで電話が掛かってきた。

誰かといえば.....鈴木である。

いや。電話ってお前。

頼むから少しでも休ませろ、と思いながらも電話に出る。

これを無視するとどうなるか、と思ったもので.....。


『もしもし。雑草先輩の携帯ですか』


「お前さ.....雑草先輩って言うの本当に止めてくれない?いや。割とマジに」


因みに何故に電話が掛かってくるのか。

それは簡単である。

メルアドと電話番号を交換したから、だ。


無理矢理に、である。

こうなるから絶対に嫌だったのだが。

思いながら溜息を吐いて目の前を見る。

雑草先輩は雑草先輩ですから♡、と笑顔な感じで言ってくるあざとい女。

コイツの事だがこれから先は、あざとい後輩、と呼んでやろう。

全くコイツは。


『あ。それはそうですけどこうして電話掛けているのは今日のお礼です』


「.....書類整理の?.....ああ.....まあ気にすんな」


『いえ。そういう訳にはいかないです。なので次のデートでは私が全て負担しますから。お金』


「.....わーい有難う!.....なんて言うと思うかお前は!?俺にメリット何もないんだけど!」


『え?そうですかね?結構メリットあると思いますけど』


デートも強制でしかもデート費用負担。

何というかデート負担は当たり前であるだろ。

これでお前。メリット何処にあるんだ?

思ったが.....まあ女子とのデートは初めてなので楽しみではある.....のか?

俺は考えながら額に手を添えた。


『でも先輩。受けてくれて有難う御座います。デート』


「.....ああ.....その。よく考えたんだが.....八女をデートに今度は誘ってみないか。お前のデート」


『え?八女先輩?何故に?』


「まあその.....八女の方が詳しいかなって思ったんだが」


『駄目ですよ?八女先輩は口が軽いですし。適合者ではないんです』


うーん。

口が軽いって言われたぞ八女。

お前って何かフラグ無いんじゃないの?、と思いながら苦笑した。

すると、でも確かにそうですね。雑草先輩の言う通りかもしれないです、と真剣な感じで言ってくる。

俺は?を浮かべた。


『八女先輩にも今度頼ってみます。.....雑草先輩のお陰で何だか話す勇気が湧きましたので』


「そうか。そいつは結構なこったな。俺は何もしてない」


『それは無いですよ雑草先輩。にしても雑草先輩。八女先輩がどうして出てくるんですか?』


「.....え?.....あー。いや。アイツだけがなんか女性に触れ合う機会が少ないと.....」


真っ赤な嘘だが。

俺は苦笑しながら答えを曖昧にする。

知られたくないだろうしな。

本人に頑張って頂きたい、と思うし。


考えながらそう言うと、ふーむ?何だか曖昧な返事ですねぇ、と言ってくる。

俺は一瞬だけギクッとしたが。

だけどそれも雑草先輩らしいので、と追及はしてこなかった。

だが次に、で。先輩。いつデートしましょうか?、と話してくる。


「本気でデートするんだな.....」


『?.....言ったからにはしますよ?当たり前です』


「.....取り敢えず今週の土曜日にでもするか?」


『はい♪』


「あくまで嬉しそうだなお前.....」


当たり前ですよぉ。

だってこれで羽田先輩を誘ったら.....キャッ♡、とか言う女子高生。

もう勝手にしてくれ.....。


俺は、取り敢えずこのデート終わったら俺に関わるなよ。

お前に付き合うの疲れる、と告げる。

すると、はい?何言ってるんですか?、と言ってくる。

え?終わりだよ?当たり前じゃない。


『パイセンはアホですか?』


「パイセン言うな。アホ言うな。お前.....あのな。終わりで良いだろ。何でそんなに関わってくるのよ。それに羽田の事は問題無いって絶対に。他の奴がどうにかするって」


『終わりませんよ?私は雑草先輩に興味あるんですから。こんな事で終わりませんから大丈夫ですよ?』


「.....」


ハァ.....。

何時になったら俺の平穏は訪れるのか.....。

勘弁してくれ、と思っていると。


インターフォンが鳴った。

俺は、助かった、と思いながら、宅急便だ。切るぞ、と言う。

え?ちょ。雑草せんぱ、と話す言葉を断ち切ってから。

まだ聖羅が帰ってきてないので俺が玄関から出た.....そこには。


「.....」


「.....森本?どうしたんだ」


「その。.....えっと。お弁当箱を返してもらおうかなって。それから.....その.....」


「.....???」


宅急便ですらないという。

コイツは俺の家を何だと思ってんだ、と思いながら森本を見る。

俺の顔をジッとみてくる森本。

赤くなりながら、だ。

何だコイツは?


「.....か」


「.....か?」


「か、買い物に付き合ってくれない?」


「.....はぁ.....?」


何故.....。

俺は目をパチクリしながら答える。

ヤダよ、と言いながら、だ。


すると森本はニヤッとしながら指を差す。

お弁当食べたよね、と言いながら。

材料費貰うよ、とも。

うわー。


「.....お前。弁当を人質に取るつもりか。汚い」


「.....ウフフ。嫌だったら付いて来なさい。買い物に付き合いなさい」


「分かったよ.....」


そんな感じで頭をボリボリ掻いていると森本の横ら辺で何か動いていた。

それは小学生低学年ぐらいの少女。

俺を見ている。

そうか.....森本はもしや。

誘拐してしまったのか.....。


「失礼な事を考えているよね?」


「.....何も。悲しい」


「あああ!!!!!やっぱ失礼な事だ!」


誘拐なんて真似をするとは.....森本には失望した。

と思っていると、初めまして、その少女は言葉を発する。

そして頭を下げてくる。

俺は?を浮かべて、冗談はさておき誰だ?森本、と聞いた。

すると森本は、私の妹だよ、と紹介する。


「森本ユウです!小学2年生!」


「.....お、おうそうか。初めまして」


「お兄ちゃんはお姉ちゃんの彼氏なの?」


「.....違う。断じて違うからな。誤解を生むような発言をするな」


いきなりとんでもない事を言いやがって。

森本の彼氏?冗談じゃない。

こんな奴の彼氏なんぞ、と思う。

このスカポンタンの彼氏なんぞ、と。

すると森本がジト目になった。


「.....また失礼な事を考えているね?」


「.....別に何も」


「目を逸らさないの。殴るよ?」


「.....」


殴るっておま。

ああもう.....面倒臭いな.....。

考えながら俺は2人を見ながら、少しだけ待ってくれ、と言い聞かせ。


それから制服から着替えた。

何でこんな目に遭っているのだ俺は?

そして何故俺はこんな事をしているのだ。

それから何で俺はこんなに女子生徒に絡まれる様になってしまったのか.....。

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