第8話 鈴木の内心と.....デート?

羽田が言う。

俺とお前は目が似ている、と。

そんな事は無い。


そもそも羽田と俺では次元が違う。

何の次元かといえばリア充階層の事もあるが。

そこでは無い。

羽田の悩みと俺の悩みは違うと言っているのだ。


羽田と俺は別人だ。

人は同じ人は居ない。

細胞が分裂する様な.....そんな感じではなく。

個性があるのだ。

だから一緒にしないで頂きたい。


思いながら.....俺は翌日になって聖羅手作りの朝ご飯を食べてそのまま複雑な感情のまま学校に登校する。

整理しよう。


まず羽田は恋をしたくは無い。

だけどその中で鈴木が田中が恋をしている。

そして八女が鈴木に恋をしている。

それからetcだが森本の動きがおかしい。

ややこしいトライアングルだな.....。


リア充ってみんなこんななのか?

額に手を添えながら.....俺は盛大に溜息を吐く。

それから.....前を見ている.....と。

いきなり横から腕を絡まされた。


ふあ!?、と思いながら横を見ると。

良い香りの女子生徒が立っている。

ニコニコしながら俺を見ていた。


よく見ると鈴木である。

な.....に.....?

何が起こっている!?!?!


「雑草先輩。デートしましょう♪」


「な.....何だお前.....!?」


「雑草先輩に用事があってしかも見掛けたので.....です!アハハ」


満面の笑顔でウインクすな。

あざといんだが.....。

困惑しながら.....俺は。

いや。非常に困惑している。


と思いつつ考えながらすると何処かへ俺を引き摺って行こうとしている。

ちょ。俺の行く方角じゃないぞそっちは。

何処へ俺を連れて行こうとしているのだ.....!?

思いながら否定の為に前に歩き出そうとするが.....ってかコイツすげぇパワァーだ!

何だってんだよ!!!!!


「こっちですよ。先輩。一緒に人の居ない場所に行きましょう♪ここは見られる可能性があります♪」


「馬鹿ですか!?学校をどうするんだ!」


「相談に乗って下さい。雑草先輩」


「あのな!俺は暇人じゃない!お前の事に巻き添えになるぐらい暇では無い!」


しかも何で俺なんだよ!

思いながらも力負けしてそのまま俺と鈴木はその場を後にした。

そしてそのまま軟禁されるかの様に公園に連れて来られる。

懐かしいブランコとか見つつもうこれ以上ないぐらいの溜息を吐いた。

そのまま鈴木に向いて聞く。


「で?相談って何」


「.....私。羽田先輩に好意抱いていますよね?」


「そうですね.....それがどうした」


「先輩なら扱いや.....じゃなくて応援してくれるかなって思いました」


てへぺろ、と言う鈴木。

扱い易い言うたな。言い掛けたな?

お前絶対に許さんぞ。

雑草も認めてないんだからな。

良い加減にしろ。


「.....羽田との恋ならお前がどうにかしろ。.....俺は手出しは出来ない」


「え?何故ですか?」


「俺は羽田とは仲良くないしな。.....それに羽田の事も考えて配慮したい」


「そうなんですかー?」


「ああ。お前の思っている.....」


そこまで言い掛けて俺は口を黙らす。

これは.....言わない方が良いよな、と思いながら、だ。

そう考えながら、とにかく、と言う俺。

そして鈴木を見る。


「.....俺は協力出来ない。今回は。どっち側に付くかっつったらどっちでも無い人間だしな」


「.....そうなんですね。先輩面白いですね。否定する割には分析が.....ちゃんとしていています」


「俺はそんな人間じゃない。分析じゃなくて当たり前の事をしているだけだ。身の保全の為に」


「そうですかね。.....私は第一印象の雑草先輩を見て.....ああこの人は信頼出来ると思いましたけど」


どういう事だよ。

思いながら俺は額に手を添える。

俺を信頼出来る?

コイツがそう思っていたのか?

それは意外だったな。


「.....雑草先輩の目は羽田先輩の目と似ています。.....だから信頼出来るかと思いました」


「.....」


ジッと見てくる鈴木。

あらヤダ!この子ったら何処まで見透かしているのかしら!?そんな娘に育てた覚えはないわよ!、と思いながら少しだけビクビクしながらいると。

こんな言葉を鈴木は発してきた。


「その。本当に代わりと言ってはなんですが雑草先輩。羽田先輩の事.....お願いします」


「は?何をお願いするんだ」


「.....何も無いとは思いますが羽田先輩にもし何かあったら.....救ってくれますか。お礼もします」


「いや。何で?俺がそんな面倒い事.....」


「.....お願いします」


その場で鈴木は頭を下げた。

深々と、だ。

俺は驚愕しながらその姿を見つめる。

鈴木は本当に.....羽田の事を大切に思っているんだな。

そんな感じで思えた。

とは言え。


「俺はボッチなんだぞお前。.....それでスクールカーストトップの奴を救う必要と救えるかも分からないぞ。俺は.....そんなに優しい人間じゃない」


「私じゃ無理なんです。救えないんです」


「.....」


「同じ人が同じ人を救えると思うんです。きっと。.....だからお願いします。心からのお願いです。何かあったら.....私.....」


「.....ハァ.....分かったよ。もう.....」


どっち側にも付くつもりはさらっさらに無いんだが。

しかしまあその。

陰ながら支える.....とか?


女子の頼みとあっちゃ断れない.....。

思いながら俺は.....顎に手を添えてから。

面倒だな、と思い頭をガリガリ掻く。


「なあ。鈴木」


「.....何でしょうか」


「羽田.....がもしだが。.....もしだぞ?.....お前を好きにならなかったらどうする」


「その時はお腹括ります」


「.....腹を括るって事か?」


「はい。.....だって羽田先輩には幸せになってほしいです」


鈴木優子。

コイツの事。

正直言って.....勘違いしていた。


ただ馬鹿な女かと思っていたが。

考えがあるんだな、と。

そう思えた気がした。

俺は考えながら、じゃあ学校に行きましょう、と言うニコッとしている鈴木を見る。

そして鞄を背負い直した。

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