第3話 カラオケ屋に行くぜ!(リア充の言葉)

羽田光。

その名の通りだがマジに光っている気がする。

サッカー部副部長、成績優秀、人付き合いが良く、運動神経抜群、リア充。

キャリア抜群のこんなリア充スクールカーストトップの野郎が何の用事だよ。

思いながらも、まあ今日は相談は無いだろう、と思いながら帰ろうとした、のだが。


「ちょっと長門!何処に行くの?!」


と慌てた大声が聞こえてきた。

馬鹿じゃないの?、と思う。

だってお前さん。

教室で俺の名前を呼んで大声を、って。

俺は恥ずかしいんだが。


「いやあの。帰るから」


「馬鹿じゃないの!?羽田君の相談に乗ってよ!忘れたの?!」


アホかコイツは。

今日、相談に乗るとは聞いてないのだが。

俺のラノベを読む時間はどうなる。

リア充の相談なんぞ乗っている暇は無いぞ。


なのに今日相談に乗れってか?

無理だろしかも羽田居ないのに。

思いながら居ると、奥から本当にソイツに相談するの?、と声がした。


「アタシは嫌なんだけど。ってかソイツマジオタじゃん」


中島雪子。

羽田のリア充グループ、羽田の友人の遠野優(とおのすぐる)の彼女だ。

コイツはスクールカーストトップのお嬢様。

クラスの全ての女子を統括していると言っても過言じゃ無いかもな。

金髪ロングにイヤリング、的な感じの野郎。

不良に近いが.....顔立ちは嫌に整った冷徹女だ。


「あの。雪子。でも長門は良い人だよ?」


「何?一回不良に救ってもらっただけで信頼するの?アタシは信じられないんだけど」


「雪子.....」


まあそういう事の様なので。

俺は忍び足で離れる。

すると背後から、まぁまぁ、と声がした。

黒縁メガネのそばかすの高身長。

つまり彼氏の遠野優である。


「ゆっちゃん。信頼出来ると思うよ。だってもっちゃんが信頼しているって言っているんだから」


「優.....でも」

 

「まあまあ。な?今回も助けてくれるよな?長門!はっはっは!」


肩を組むなよ。

ウザいんだが。

俺は逃げ道を失ったウサギの様にしていた。

全く困ったな、と思う。

それから盛大に溜息を吐いた。


「優が言うなら。分かった。ソイツの事、仮にも信頼するわ」


「有難う!雪子!」


「.....」


いやつーか。

俺の意見は完全無視かよ。

非常に困るんだが。

しかしモブがそんな事をして良いのか?、って思う部分もあるんだが。

まあ良いならいいけど帰りたい。


「そんじゃまあ。とりま長門を含めてカラオケ行こうか!光の相談とかあるしな!」


は?

馬鹿かコイツは?何を考えているんだ。

何でそんな地獄の、いかにも、の場所にわざわざ行かなくちゃいけないんだ。


俺の存在を何だと思ってやがる。

マジに帰りたいんだが.....。

ラノベを読みたい。

勉強したいんだが、と思っていると中島が、は?、と言った。


「長門を含めて?コイツを?優。楽しく無いよそれ。認めているけどそれは嫌なんだけど。だってアタシらのテリトリーなんだし」


ありがてぇ。流石女帝様。

俺は目を輝かせながら今回の中島の意見にようやっと賛同する。


だがそれに対して森本が、そんな事ないから。雪子。駄目だよ偏見は、と強く言う。

いやあの。余計な事を言うな。

遠野が乗せられただろ。


「ゆっちゃん。大丈夫大丈夫。長門という存在を含めても仮にも問題無い筈だ。彼はヒーローだからな!」


馬鹿野郎。

せっかく帰れそうだったのに。

あと何だその言い方。

俺はモノでは無い。


ついでに仮にも、とは何だよオイ。

俺は何か?冷蔵庫か何かか?

良い加減にしやがれ、と思いながら中島を見る。


中島は顎に手を添えながら、まあそう言うなら仕方ないか、と言う。

いやいや。女帝よ屈するなよ。

思いながら悲しい目をしていると。

んじゃ!早速だけどクラスの仲間達誘おうぜ!、とか手を叩いて八女が言い出した。


八女柳広(やめゆきひろ)。

ずっとニコニコしているチャラ男。

イケメンでリア充。

成績刹那。

羽田の友人2号。

ウザいとしか言いようがない。


「それにしても長門。有難うね。来てくれて!嬉しいよ」


「.....あのな。まだ俺は一言も行くとは言ってないぞ森本」


「ヨッシ!行くぞぅ!みんな!」


森本が一声。

するとクラスは以心伝心したかの様に、イェース!、とハイタッチしてみんなキュルンな感じで大声を発する。

マジハイテンションで五月蝿いんだが。

ついでもってまた俺の意見は無視かコラ森本。この野郎。


思いながらも、仕方がないか。決まったものは、と思い。

額に手を添えた。


教室の出口。丁度逃げ道が塞がれている。

森本に、だ。

無意識だよね?きっと。

そうであってほしいんだが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る