第2話 森本とお昼(改訂)

俺はそんなに良い人とかじゃ無い。

とある友人に裏切られてからのまあその。

人見知りになったのだ。

だから俺自身は良い人じゃないと思っている、のだが。


森本も羽田もそうだが。

リア充トップの2人。

何故か良い人じゃない俺にそのまま関わってくる。

森本が不良に絡まれていて警察に通報しただけなのに、だ。

そんなボヤッと考え事をして昼休みになった時の事だ。


「長門」


「今度は何ですかね」


「その。い、一緒にご飯でも食べない?」


「は?え?俺?」


売店に行こうとしたらガタンと椅子を鳴らして森本が追い掛けて来てから。

そう言ってくる。

いやちょっと待て何がどうなっているのだ?


思いながら俺は頬を赤く染めている森本を見る。

俺は、その。俺は一人が良いんだが、と言葉を発した。

すると森本はその言葉も予想通りという感じでモジモジしながら言ってくる。


「私の様な人は嫌い?」


「いや。まあ嫌いとかじゃないんですけど.....何か嫌だ」


「大丈夫。友達には長門と一緒にご飯を食べるって言ってる」


「話聞いてる?というかそういう問題ではないので。その。人がき.....」


「ああ!時間無くなるね。じゃあ一緒に行こう」


人が嫌いだと話しているのだが。

いや話を聞いているのかコイツは。

思いながら俺は森本にジト目をしてみてから嫌々オーラを出してみるが。

森本は全く気にする事もなく俺の腕を掴んで人混みを掻き分けて歩いて行く。

オイあのな。


俺は盛大に溜息を吐いた。

リア充と一緒ってその。

嫌気とかじゃ無いんだけど勘弁してほしい。

だってリア充だし。

リア充だし.....。



森本は一体何を考えているのか。

俺なんかをランチに誘って楽しいのか?

中庭に来てから何時も飯を食っている定位置の石段に腰掛けて思いながら.....森本を見てみる。


ニコニコしていた。

パンを2つ買ったが森本も同じパンを2つ買う。

いや割と何考えているの?

意味が全然分からないんだが。


「あ。ねえ」


「な、何でしょうか」


「私を何で助けてくれたの?」


「助けたとか思ってないんだが?」


「それと何で時折、敬語なの?」


「それは貴方がリア充だからな」


それだけははっきり言える。

俺は考えながらジト目で森本を見る。

森本は、?、を浮かべていた。

何も理解していない感じである。

うーん.....。


「リア充ってそんなに偉く無いよ?」


「いやお前。確かにそれはあるが」


「え?」


森本は目を丸くしながら俺を見ている。

こうして2人で男女が座っているだけでも異常事態なのだが。

そもそも注目がかなり集まっている。


森本は薄化粧とか?はしているが美少女だしな。

しかしその。

鈍感過ぎてワロタ。

俺はまた溜息を吐く。


「あのな。分かり易く言うと君と俺とではカースト位置が本気で違いすぎるって事なんだ。だから俺は.....」


「じゃあその位置を壊せば良いかな」


「いやいやお前。そんなの無理に決まっているじゃないか」


「無理じゃないよ。そもそも少なくとも私達は君を見る目が変わってきているからね。君がこんなに英雄的だとは思わなかったから」


「え?」


俺は極端に目を丸くする。

私は君を信頼出来る人間だと思ったから。

これからも声を掛けるつもりだよ?少なくとも私は、と和かに言ってくる。


馬鹿なのかコイツは。

そんな事をしてもらうと迷惑極まりない。

そもそもヤバいんですけど特に女王の中島とか、中島とか、中島とか。


「俺はそんなのは好きじゃないんだが。そもそも俺はボッチが好きなんだから勘弁してほしい」


「えぇ.....ボッチが好きっておかしくない?友人と一緒が楽しいよ」


「楽しくねぇよ!?」


「うーん?そうなのかな?よく分からない。友人と駄弁るのが良いじゃない」


いや分からず屋だな。

ボッチの方が気楽だっての。

そこだけは絶対に譲らんぞ。

少なくとも過去も考えて友人と一緒とか気を使い過ぎて禿げるしな。

この年齢で若ハゲになりたく無いわ。


俺は考えながらホワホワしている森本を睨む。

何故こんな事をしているのか俺は。

喋るのも疲れるんだが。

気を遣い過ぎて。


「じゃあ私と一緒は楽しくない?」


「は?.....いや。全く楽しくないんだが」


「うーんそうなのかぁ。それは正反対に捉えて良い?」


「馬鹿なの何で正反対なの?」


何でそうなるのだ。

俺は思いつつ森本を見る。

森本はパンをどんどん食べながら俺を見る。


そして少し経ってから。

でも私は本気で嬉しかったんだよ。助けてくれた事が、と言う。

だからそれは気まぐれだったのあるんだが.....マジに。

困る。


「例えそうであっても長門は私を助けた。それは事実だから」


「そうですか.....」


「だから私は君に話し掛けるよ。君が嫌いでも私は.....」


「?」


いや。何でもない。

と言いながら森本は苦笑する。

俺はますます、?、を浮かべながら見る。

森本はハッとした様な感じで直ぐに切り返した。

そして赤くなりながらニコニコする。


「俺はボッチが好きだから。だからお前は嫌いだ」


うーん。よく分からないなぁ、と言う森本。

取り敢えず俺は田舎でのんびり暮らしたいのだから。

なんつって。

まあとにかく良い加減にしてくれよ。

俺は思いつつ森本をまた睨む。


「あ、そうだ。放課後だけどカフェ行かない?勉強もしなきゃいけないね」


「お前さん話聞いてる?俺は嫌だって」


「そんなの楽しくないってば」


「楽しくなってば、じゃないって。あのな。俺は今日は忙しいんば」


「え?具体的には何が忙しいの?ボッチだよね?」


あのな。

ボッチだからってのは失礼じゃないのかな?

世の中のボッチがみんな暇って言ってんの?殺すよ?


思いながら俺は顔を引き攣らせて見ていると森本は伸びをした。

揺れる胸に俺はそっぽを見る。

それにしてもこの場所は良い場所だね、と話す森本。

俺は、まあ。うん、と言いながら目の前を見る。


「ねえねえ。長門」


「何?マジに」


「羽田君の相談に乗ってあげてくれない?何だか相談聞くの上手そうだしね」


「アンタバカァ?」


「?」


例のアニメを理解してない顔だ。

俺は、うむ、と思う。

しかしながら何言ってんのこの子?

頭おかしいの?

羽田の相談?アイツに悩み無いだろ。


それなのに何故、俺が羽田の相談なんぞに。

思いながら、取り敢えず、と思いながら森本を見る。

何か嫌な予感しかしないんだが。


「具体的にはどういう相談なんだ」


「羽田君ね。実は2人の女子から恋されているの。あと家庭の事情とか」


「.....」


「.....どうしたの?」


コイツ思ったけどマジ天然なんですね。

天然鰤ってか。

本当に人の気持ちを考えない。

人の気持ちを踏み躙る様な。

でももう良いや、ツッコミ疲れた。


「羽田君は長門を信頼しているから」


「だから非リアに相談に乗ってくれってお前さん頭おかしい」


「お願いします。代金は喫茶店の奢りで払いますから」


「お前よ。俺にメリット何も無いぞそれ」


どうしようも無いなコイツ。

俺は思いながらも。

マジ頼みますという顔に断れなかった。


なので仕方が無いので相談に乗る事になる。

何で俺がこんな目に遭っている?

わけわかめ。

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