おわりに

 ここに辿り着くまでのいろいろな経験が有形無形で役に立っている。社会人駆け出しのころ、コンピュータメーカでPOSを担当したこと、40代半ばでクレジットカード会社の事務センターに出向したこと、ICT支援員として現場サポートをしたこと、独学でVBAプログラミングを学んだこと・・・その時々は先が見えず、苦労したかもしれないが、その経験や寄り道は無駄ではなかったのだ。全ては縁のもの。流れに身を任すとなるようになる。「他力本願」還暦を前にしてヤスオはそう感じる。


 フリーターを経験したことの財産は、裸になれたことである。大企業の役員経験者でも、いつか肩書が無くなる時がある。そのとき平静さを保てるものであろうか?還暦前に地位や名誉をすべて捨てて、一作業者として日銭を稼いだことは何も失うことがないという強みにつながった。何もないところから、学び自己研鑽する習慣もできた。大企業の社員の立場に安住していたら、スキルは劣化するばかりだっただろう。実際、早期退職してからの数年間で精神は大きく若返った気がしている。フーテンの寅さんとは程遠く、また勤め人に戻ったわけであるが、あの時会社を辞めて外に出て本当に正解だった。感謝の気持ちで、仕事場に向かう日常。今が天国なのだ。

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シゴトなりゆき放浪記 フリーター編 猫乃なみだ @kanete2

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