第13話 第二回会議

前回のあらすじ!


第二回会議、開催!灯、来訪!いったい私の作品、どうなっちゃうの~


以下、本文!


久坂部書店を通り過ぎ、いよいよ俺の家が着実に近づきつつある中、訳の分からない緊張感を覚える俺とは対照的に、女子二人はというと……


「流石はともちゃん!やっぱり『ロイ×ジク』よねー!いや~自分で言うのもなんだけど玄人だねぇ……」

「いやいや、それほどでもないよ~。だって私が『ロイ×ジク』に目覚めたのもパスタ丸さんの二次創作のお陰だもん!ほんと、まさか本人に会えるとは思わなんだ」

「なんか恥ずかしさと沼にはめれた喜びが共存してる…なんだこの感情…」


俺の作品のカップリングで盛り上がっていらっしゃる…一応ここに原作者いるんですけど。そんなことを考えながら歩いていると、ついに俺が住んでいるマンションへと到着してしまった。そしてついに俺は家のドアに手をかける。


「お邪魔しまーす。」

「はーい、ともちゃんいらっしゃーい。」


「おい、なぜおまえが家主顔をしている。灯、狭い部屋だが、適当なところに座っといてくれ。麦茶でいいよな?」


「うん、おっけー。」

床の端の方にちょこんと座ったのち、あたりをきょろきょろと見渡す。それに続き早瀬も座る。おれが全員分の麦茶を出し座り、机の引き出しから紙束を持ってくる。


「これが改訂版になる。自分で言うのもなんだが自信作だ。」

「ん。」


短い言葉で返答し、俺から改訂版を受け取る早瀬。それを読み進める態度は真剣そのもので、とても普段クラスで休み時間に騒いでいる女子と同じには見えない。10分無いくらいの時間が経った後、紙を灯に手渡す。そしてしばらくの時間の後、灯が俺に紙束を返してくる。


「で、どうだった?」

「うん、正直に言うと…」

「ゴ、ゴクリ……」

固唾をのむ俺、一瞬部屋に異様な空気が流れる。そして早瀬はゆっくりと口を開き、言葉を紡ぐ。



「めっっっちゃ、面白かった!」



「!!!そう、か……」

「うん。前回と比べたらめっちゃ良くなってた!」

「ぐ、具体的には…?」

「特に描写!女の子めっちゃ可愛かったし、デートシーンもずっと良くなってた!」

「そうか!やっぱりあの時のデート取材は無駄じゃなかったんだな!」


「あ、あれってただの取材だったんだ……」

そんな風に言っているところで、今まで黙っていたもう一人がぽつりと口を開くが、何を言っているかは詳しくは聞き取れない。



そんな灯を他所に、早瀬はまくし立てる。

「やっぱ、アンタやれば出来るわね!まあ私は分かってたけどね!」

「おいおい、そこまで褒めるな。他のお客さんの前だろ?」

「ごめんごめん、私ったらうっかりー。」


そんなことを言っていると、第三者の声が聞こえる。今度ははっきりとした声で、灯が話す。


「盛り上がってるところ悪いんだけど、これ…ちょっと不味くない…?」

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