第12話:ラブコメ研究part2
前回までのあらすじ!
月元にお礼を言ってたら子犬みたいになりながらクラスを飛び出していった。
いや、子犬フォームは確かに可愛かったんだけど、可愛かったんだけど…
キャラブレは…程々にな?
以上!以下本文!
月元との一件を解決し、灯の不届きな発言を訂正させた後はまるで何事もなかったかのように月元が帰ってきたこと、その体全体からなんというか…”触れるな”オーラが出まくっていたこともあり、誰もこの件には触れないまま授業や休み時間は進みそのまま下校の流れとなった。
「あーあ、一時はどうなる事かと思った。」
「ほんとー、ジンジン危うく飼い主さんになる所だったね?」
「誰のせいだよ誰の。」
「さー?誰だったかなー?」
しらばっくれる灯。このアマぁ…
「まあまあそう怒らないで。どうどう、どうどう。」
「何でそんな俺がキレてるみたいになってるんだよ!」
一筋縄ではいられない友人で会った。
そんな毒にも薬にもならない会話を繰り広げていたころ。
「だから、ジンジンは分かるわけよ。”ああ、あの時の灯の言葉は、この時のための伏線だったんだな、って…。”」
「それ何年後の話なんだよ。」
「うーん、5年以上年30年未満かな。」
「幅広すぎだわ、っていうか俺中年になってもこの話覚えてる気がしねえよ。」
「まったくジンジンは————」
と、灯はドアの方を向き、それとともに俺もそちらの方向を向く。
「って…早瀬?」
そこには鞄を肩にかけた早瀬が立っていた。
「珍しいな、こっちのクラスに来るなんて。誰に用事だ?」
そういってクラスを見回してみるも、もう下校時間からかなり時間が過ぎており、教室には俺たち以外誰も残っていない。
「神野、一緒に帰るわよ。」
「はいはい俺ね…って、俺!?」
早瀬は何がおかしいのかと言いたげな顔をし、何か思いついたようで俺に手招きしてくる。
「今日はあんたの部屋で新作の話するわよ。久坂部さんと帰りたかったのかもしれないけど、諦めなさい…。」
「わーかったよ。ちょうど俺もみせようと思ってたから、丁度いいな。」
「あら、もう一本書きあげたんだ。」
「おう、取材の熱が冷めないうちに書き上げた分があるからな。」
「おお、プロみたいな意識の高さだね。」
「いや、俺プロだから。」
「ちょっとー、ベータ世界線の話はここではナシンコちゃんでしょ?」
「そのレベルで移動しなきゃ俺作家になれないの!?」
今までの設定を根底から覆す衝撃の事実だった、あと相変わらずネタが古い。
「なーに二人で盛り上がっちゃってるの。」
それに対してなぜか早瀬が挑発的な態度で言う。
「ええ、正直あんまり久坂部さんには関係のない話ね。」
そうか?確かに部外者とはいえ灯には俺が作家活動をしていることを知っているし、絶妙なラインだな…。
「なにさ、二人して私の事ハブにするつもり?」
「い、いや。そういうわけじゃないんだがな…」
「あ、それで何だけど久坂部さん、今日神野借りるわね。ちょっとこいつに用があるの。」
「え?そうなの?」
答えを求めるような眼でこちらを見てくる灯。
「ああ、まあこの後はその予定だな。」
「ふーん、二人で大事な話か…」
別にいかがわしい話をするわけではないしそんな言い方をされる謂れは無いんだけど。まあ確かに大事な話ではある、新作の話だしな。そんなことを思っていると、灯はそっぽを向き、答える。
「どうぞー、別にジンジンは私の物じゃないし~」
「そう、ありがとう。」
そういって俺達はそのまま教室を出て、家への帰路に着いた。のだが……
「あのー、灯さん?」
「うん?どうかした?」
「もう久坂部書店通り過ぎましたけど…」
「あ、ホントだね。」
「いや、ホントだネじゃなくて、もうこのまま俺の家に突入しそうな勢い何ですが、それは……」
「あっははは、何言ってんの~。ジンジンったら冗談上手いんだから!」
「あー、そうだよな。わりぃわりぃ。」
そりゃそうだ、久坂部が俺の家にそのまま上がり込むなんてあるはずない。俺も思春期なのだろう、女の子が二人も上がるなんてシチュエーションに一縷の望みをかけてしまうなんてな。
「日向仁先生の新作となって私が動かないわけないでしょ!」
「おまえ正気か!?」
まさか本当に上がり込む気のようだった。
「いや、でもさすがに…。」
「いいでしょ、早瀬さん?」
「ええ、いいんじゃない。どーせ減るもんじゃないし。」
「うっそだろオマエ!?」
そんなかんなで、第二回の会議も波乱の展開となりそうであった…。
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