第82話 レベル確認。あれ? カトレア様!?
ラウラさんは12月生まれで、僕は5月生まれ。僕は16歳で、ラウラさんは15歳。
「レミーナ嬢、俺から説明するよ。ルインへの褒章を色々悩んだ結果、俺の息子にした」
「「「はい?」」」
「へ、陛下、それは余りにも無茶な事では」
「まあ聞けレミーナ嬢。ルインの活躍は多大な功績だ。帝都を守ったんだからな。
普通なら爵位の一つもくれてやるんだが、ルインは流石に帝国の貴族ってわけにはいかねえし、ルインには貴族どもの権謀術数に巻き込むわけにはいかねえからな」
「お、お父様、それでは」
「ああ、ルインの方が少し生まれが早いから、お前の兄貴になるな。俺としもルインとは強い繋がりを持っていたかった。
レミーナ嬢、そういうわけだ。お前さんがルインと結婚すれば、帝国とも深い繋がりが出来る。悪い話じゃないだろ」
「「結婚!?」」
僕とレミーナ様が結婚? いやいや、僕は田舎町の商人の息子だよ? あれ? 陛下の息子の身分を頂いたってことは……。あれ? 僕は皇子様? だから大丈夫なのかな?
見ればレミーナ様が赤い顔で僕を見ていた。僕も顔が赤くなるのが分かる。
「まあ、そういうわけだレミーナ嬢」
「は、はい」
「じゃあ、メシにすっか」
◆
大きな部屋の大きなテーブル。こういった場であれば、いつもならフレアさんやミラさんにソラさんは席に着くことはないが、今日は地獄の特訓の労いもあるので着席して貰っている。
そしてアビスメティス様が、右目に黒いアイパッチ、もげた右腕を縫い付けてある熊のぬいぐるみを抱きかかえているのに抵抗を感じるのは気の所為だろうか?
それは地獄の特訓からアビスメティス様たち幼女天使様が戻られた時のことだ。
「アビスメティスちゅわ〜〜〜ん」
アビスメティス様を見たぬいぐるみ憑依のジークハルト様。
瞬く閃光をアビスメティス様が放ち熊のぬいぐるみの頭が半分吹き飛ぶ。そして宙を舞う熊のぬいぐるみがリフィテル様のもとに落ちる。
リフィテル様は、熊のぬいぐるみの右腕を掴み放り投げるが、スィングの途中で胴体がちぎれ、右腕を残して熊のぬいぐるみが再び宙を舞った。
ぽとっと床に落ちる熊のぬいぐるみ。
「死んだか?」
心底死んで欲しいと願うように呟く陛下。しかし、ゆらゆらと立ち上がる熊のぬいぐるみ。もはや、ぬいぐるみモンスター。
「次は無いぞえ」
冷淡な瞳で熊のぬいぐるみを持ち上げるアビスメティス様。
コクコクと何度も頷く熊のぬいぐるみ。結局、成仏しなかったジークハルト様は、フレアさんにより修復された。(かなり雑だけど)
そして何故かアビスメティス様が抱きかかえているという謎展開が今の状況だ。
豪華な夕食の後に、皆さんはお城のレベル確認の魔導具を使って、レベルチェックをした。地獄の特訓の成果に皆さんワクワク顔だ。
結果、
レミーナ様 42→68
エレナ様 54→73
カトレア様 12→80
リビアンさん 40→63
ノーラさん 41→65
メーテルさん 40→64
ソラさん 33→57
ミラさん 33→57
フレアさん 45→68
ラウラさん 21→52
ついでに僕が、
ルイン 68→82
だった。
因みに
特A(討伐レベル50) デュラハン
S(討伐レベル60) 地竜
SS(討伐レベル70) 火竜、水竜
SSS(討伐レベル80)雷竜、リッチ
US(討伐レベル90から100)黄金竜、天使
SP(討伐レベル80から100)魔王
となるから、
今の皆さんとなら雷竜討伐も可能な感じだ。魔王は特別なので、装備しだいで討伐レベルが変動する仕様だ。
………………あれ?
「あ、あの〜、なんでカトレア様が一番レベルが上がっているのですか?」
このメンバーの最強戦力はエレナ様だ。実戦経験もあり、マルチウェポンリングも使いこなしている。2番手はバトルメイドのフレアさんだろう。
しかし、この二人を抜き去りカトレア様が80っておかしくない?
「カトレアには、妾たちも殺されかけたからのぉ」
「へっ?」
僕がギョッて顔でカトレア様を見ると、カトレア様は青い顔で首をふるふると横に振っている。
「な、何をしたんですかカトレア様!?」
「え、えと、その……空間爆発魔法が失敗してしまいまして………テヘッ」
おおぉぉ!まさかのカトレア様のテヘペロ!
いやいや、違う違う!
「カトレア様は対消滅魔法を使ったんですか!?」
「はい。でも失敗してしまいまして…」
「暴走した魔法がこの星ごと破壊してしまうところじゃった。リフィテルもファシミナも半分逝ってしまっておった。妾が居なければ世界が終わっておったわ」
「「……………」」
その事実を知った僕と陛下は青い顔でこう思った。
カトレア様怖し!
「あの魔法は危険じゃから、妾が封印した。よいなルイン」
「は、はい」
「ル、ルイン君、ごめんなさい、せっかく魔法教えて貰ったのに。で、でもアビスメティス様から新しい魔法を教えて貰えたんです!」
「アビスメティス様から?」
「はい!グラビティドライブという魔法です」
「ガハッ!!」
「ど、どうしたのルイン君」
「カトレア様が対消滅魔法を使った時に無限加速の術式を使いましたよね?」
「は、はい?」
「グラビティドライブを組み込む魔道具には絶対に無限加速の術式は使用しないでください」
「ふむ。ルインがそう言うならば、グラビティドライブも危険な魔法という事じゃな」
「はい。皆さんはブラックホールはご存知ですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます