第6章 帝国編

第50話 死神

 王都に鎮魂の鐘が鳴り、いつもは賑わうお昼の教室も、今は静かに黙祷の時を待っている。


 国王様崩御から7日が立ち、今日は魂が天に召される日であり、宮殿では国葬式が執り行われている。また、王国民は12時に黙祷を捧げることになっていた。


 学院生徒は黒いリボンを腕に巻いている。クラス担任の先生も黒の喪服姿で時計を気にしながら、その時を待っていた。


 第2王女のレミーナ様、いつも騒がしい第2王子のアーベルト様、遠征から帰ってきた公爵令嬢のエレナ様は国葬式に参列のため、学院を休まれている。


「カトレア様は行かれなくてよかったのですか?」

「子息女は公爵家までなんですよ。線引きをしておかないと、ここぞとばかりに大家族で参列する貴族もいますからね」

「なるほど、それは言えてますね」

「それに……ね」

「ハハ、そうですね」


 国葬式に国王様のご遺体は無い。国王様のご遺体を奪った怪盗レッドなる不届き者は未だに捕まらず、国王様のご遺体も行方が分からないままだ。


 更に不届き者の怪盗レッドは国璽グレートシールも奪っているのだが、これらの事件は宮殿及び司法局に鉗口令が引かれ、事件に関わっていない人達は知る由もなかった。


 国王様のご遺体が不在なまま国葬式が行われているのは、第1王子様が強行し、アーベルト様も反対しなかった結果だ。


 フォンチェスター先生曰く、『今頃は、あの腹黒がほくそ笑んでいるよ』と言っていたけど、あの聡明そうな王妃様がそんなにブラックであるとは思いたくない。


 更に僕の耳元で囁いたフォンチェスター先生。『子は親に似るっていうし、レミーナも実は腹黒なんじゃね』


 止めろぉぉぉ!僕を人間不信にいざなうなぁぁぁ!



♢♢♢


「ほほう!今夜は妾とルインだけとな」

「はい。そうみたいですね」


 レミーナ様とリビアンさん、フォンチェスター先生は宮殿で、カトレア様は、学院が終わったあとに、侯爵領から国葬式に来た、侯爵様に会いに行っていた。


「フフフ、楽しい夜になりそうじゃな」


 な、なんですか?その不気味な笑いは!?


「私たちもお忘れなきようお願い致します(ペロリ)」


 な、なんなんですか、フレアさん達まで!?


 うふ、うふふ、うふふふふ……


 不気味な笑みを浮かべるアビスメティス様とメイドさん達。レ、レミーナ様ぁぁぁ!恐いよ~~~。


「ルインよ、先にお風呂にでも入って来るがよい」


 あれ?アビスメティス様が優しいよ?僕の気のせいだったかな?


「では、わたくしがお背中をお流しします」

「この痴れ者がぁ!デザートは最後に食べるものじゃ!」

「はっ!?さ、流石でございますアビスメティス様!」


 デザート?いったい何のことかな?いずれにせよフレアさんが諦めてくれたのは良かった。ホント、今日のアビスメティス様は優しいな!


 うふ、うふふ、うふふふふ……


 何やら不気味な笑い声が聞こえたようだけど、気のせいかな?先ずはゆっくりと温泉に浸かりましょうかね。


 うふ、うふふ、うふふふふ……


♢♢♢


「ふぅ~~~。極楽、極楽~」


 湖の向こうに沈む、茜色の夕陽に感動しつつ眺めていると何やら妙な気配を感じた。


 僕の空間把握魔法は今まで何も感知していなかった。それは突然現れた。空間転移?アビスメティス様かな?


「貴様かァ!エルラン王の魂を返しやがれ!」


 岩風呂の淵に立つ、燃えるような赤い髪に、ゴシックロリ調の赤いドレスを着ている幼女おんなのこ


 可愛い……じゃない!


 手には刃渡り2Mはある大鎌デスサイズを持っていた……。


 死神ィィィ!!!


 ザバーンッ!


 大鎌デスサイズが僕の首を狩りにきたのを、間一髪、跳躍して躱した。


 えっ!?


 空に舞った僕の目の前に、突如現れる幼女おんなのこ!矢っ張り空間転移だ!


「テレポート!」


♢♢♢


 慌てて跳んだ場所は、先ほど夕陽を眺めていた湖の湖畔だった。


「来る!」


 僕の空間把握魔法が空間の歪みを捕らえた。


「逃げんじゃねえよ!この……へ、変態野郎ォ!パンツぐらい履きやがれぇ!」


 僕の目の前に空間転移してきたゴシックロリの美幼女。僕のフリチンを見て両手で顔を隠している……。


「き、君がお風呂で襲ってきたんじゃないか!」

「うるせえ!馬鹿ァ!変態ィ!」


 な、なんなんですかね、この幼女


「て、てめえをコ、コロスぅぅぅ」


 目をギュッと結んで 大鎌デスサイズをブンブンと滅多矢鱈に振り回し始めた。


「あ、危ないィィィ」

「うキィィィィィィ」


 ブンブン、ブンブンと振り回しているうちに脚が絡まり、すて~んと僕の方に飛び込んできた。


 YESロリータNOタッチ!じゃないだろ、前世の記憶!


 僕は倒れかけた女の子をキャッチしたが、濡れている湖畔の砂で足が滑り、女の子を抱いたまま転倒してしまった。


「「むぎゅう」」


 2人して抱き合って倒れている僕と赤髪の美幼女。


「ルイン、何事じゃあ!」


 そこに空間転移して跳んできたアビスメティス様。


「な、何をやっているのじゃルイン!パンゼロで妾以外の幼女おんなに手をだすとは」


 図柄的には否定できませんが、その物言いは止めてください。僕がまるで幼女趣味みたいじゃないですか!


「ん?

 き、貴様は!リフィテル!!!」


 えっ!?このゴスロリ赤髪美幼女が、死を司る武闘派熾天使のリフィテル様!?


 マジかぁぁぁい!!!



□□□

2月27日

お陰様で30PV達成出来ました。ありがとうございます(*^^*)

もう少しで☆が600です(^-^)

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