第44話 昇天か堕天か
「カトレア様、こんなイメージでどうですか?」
僕とカトレア様は通信機での複数人通話を可能とする為のアイディアを練っていた。
「少し大きくなりそうですが、それなら出来そうですね」
前世の記憶でいう所の、大きな形のトランシーバーをイメージしてラフ画を僕が描いてカトレア様に見せた。
試作型の通信機は、僕とカトレア様で考えた術式が、亜空間の2座標しか固定することが出来なかく、1対1の通話しか出来なかった。
しかしだ!天才錬成術士のカトレア様は、それを改良して複数の亜空間座標を繋げる術式を作りあげた。
通信機のボディサイズを大きくして、その改良した術式を組み込めば、複数人同時通話が可能になる。
「少しお時間はかかりますが……」
「大丈夫です。今回の計画は王妃様の協力を得られましたので。それよりも、その次の計画では必ず役に立ちますので、よろしくお願いします」
「その……次の計画では私も同行してもいいですか?」
「カトレア様もですか?」
「……駄目……ですか?」
うぐっ!美女の上目遣いのお願い攻撃!なんて強力なんだ!
この計画が無事に終われば、次の計画となる。長旅になるし、戦力も必要だ。カトレア様は天才錬成術士とあって4属性の魔法が使える。
「分かりました。夏休みが潰れますけど、いいですか?」
「はい!」
美女の笑顔とはかくも美しいものだ。僕の心臓はドキドキしている。
「………………」
「………………」
僕がカトレア様に見とれていると、不思議とカトレア様も僕を見つめていた。
「………………ルイン君……」
「…………はい」
「わ、私は……」
バン
「「ひゃっ!」」
急に開いた扉の音に、ドキドキの心臓が急停止して、口から飛び出るところだった!
「カトレアさん!」
「レ、レミーナ様!?」
「カトレアさん、今ルイン様と何かしようとしていませんでしたか?」
「わ、私は別に、そんな……」
真っ赤な顔になったカトレア様。
「これ、レミーナ!邪魔をするで無いわ!」
レミーナ様の後ろから現れたアビスメティス様が、ぴょんと跳ねてレミーナ様の頭をポコりと叩いた。
「で、でも……」
「主らは既にルインと接吻をしておろうが」
「せ、接吻!?ルイン君!」
あの時のことをいきなりバラしたアビスメティス様。カトレア様が僕の方を見て、怒りなのか、悲しみなのか、儚げな顔で僕を見た。ズキんと胸が痛む。
「えっ、なになに!」と、アビスメティス様の後ろからひょっこり現れたのは、フォンチェスター先生だった。
「ルイン、レミーナとキスしたのか!?
僕は馬車ですか!それに、エレナ様みたいな美少女は落ちてませんから!
「ふむ、ルインは皆と接吻しておったが、最後の一人を忘れておるな」
「なんだルイン!全員とキスしたのか!じゃあ、残る一人は……」
フォンチェスター先生がカトレア様の方を覗う。僕も先生につられてカトレア様の方をみた。
「えっと……、あの……」
「お兄ちゃん、妾とキスするのじゃ♡」
「「「そっちいいいい!!?」」」
十二翼位の熾天使様とキスをしたら昇天するのか、魔神様とキスをしたら堕天するのか、僕以外だったら是非とも見てみたい。しかし、自分がその立場なら……
「無理ですッ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます