第3章 RED同盟編

第17話 僕たちのレベル

「ヨシお前ら! そんな腐った未来は絶対に書き変えるぞ!」

「「「オオオオオオオ!!」」」


 僕達はエレナ様のお母様である公爵夫人を味方に加えて決意を新たにした。


♢♢♢


「リビアン! お前……レベル38って……」

「次は私の番ですね」


 僕たちが此処に来た本来の目的であるレベル確認を行った。リビアンさんはレベル38、経験値だけで20以上上がっている。訓練や知識で修練値を上げれば、もう10や20は上がるだろう。そしてレミーナ様がレベル確認の魔導具に触れる。


「私のレベルは42ですね! 宮廷神官長と同じレベルです!」

「な、何なんだお前さん達は……」

「では、最後は僕ですね」


 ちょっとワクワクする。先日の荒くれメタルナイトスライムで底上げもしたし、トロル無双やオーガ無双で魔法の練習がてら修練値も稼いでいる。


「あれ?こんなもん?」

「いえいえ凄いですルイン様!」

「やっぱりルインは人間止めてたか!」

「こ、腰が抜けた……」


 レベルの目安としてはこんな感じだった筈だ。

レベル5  駆け出し冒険者

レベル10 一般衛兵

レベル20 上級衛兵

レベル30 騎士

レベル40 上級騎士

レベル50 将軍


 そして僕のレベルは


「レベル68かあ。大台には遠いな~」

「おい、ルイン! そのレベルで不満とか頭おかしいぞ!」


 フォンチェスター先生はそう言うが、『ドキプリ』のレベルマックスはレベル100だ。因みに『王子様冒険者編』ではレベル80を超えていないと魔王とのバトルが厳しい。まあ、この世界は『王子様暴走編』なので魔王は出て来ないんだけどね。


「僕のレベルは兎も角として、レミーナ様が40を超えているのは良かった」

「私、ですか?」

「うん。今月末にエレナ様へ、アンデッドの群れに襲われている街の救援に向かうイベン…命令が出るんだ

。神様の啓示では、そこでエレナ様はアンデッドのボスに呪いをかけられてしまう。それがエレナ様の破滅への布石になる。だから僕たちも同行して、エレナ様を守るんだ」


「それで私の光属性の魔法ですね!」

「うん! レベル40で光属性魔法はハイエストターンアンデッドを覚えるからね。アンデッドの群れにはかなり有効だよ!」

「はい、ルイン様!」


「ルイン、娘を頼んだよ!」

「はい!」

「序でに将来も頼んだよ!」

「はぃ……いえいえ! 僕は平民だから無理です!」


♢♢♢


「何か見つかりましたか?」

「相変わらずお伽話レベルですね」


 放課後の図書室で僕と侯爵令嬢のカトレア様は『遠くの人と話しをする魔導具』を作る為の古代文書を探していた。


 前世の記憶で言えば電話やスマホなどの通信機って事になるけど、僕の前世の記憶にそれを作る知識は持ち合わせていない。0と1の組み合わせで言葉を伝えるとか全く意味不明だよね。


 しかし、この世界での通信魔導具のアイディアは思いついていた。空間魔法のテレポート、これの簡易版が作れれば音だけを飛ばすことが出来る可能性がある。


「カトレア様、空間魔法について調べてみてはどうですか」

「空間魔法? それ自体がロストマジックじゃないですか」

「はい。でもスクロールなどで僅かながら情報は残されています」

「テレポートのスクロールなんて、そうそう出回っていませんよ。あったとしても、かなりの高額ですから買えるような代物ではありません」


 確かにそうだよな~。う~ん、僕がテレポートの呪文を教えてもよいのだろうか?今後の僕らの活動においても、通信魔導具はあった方が便利だけど、カトレア様を巻き込んでいいものだろうか?


 そこでふと『ドキプリ』でのカトレア様のことが頭をもたげた。『王子様暴走編』ではほぼ出番のないカトレア様だ。それでも一部並行展開しているストーリーが有るから皆無ってことは無い筈だ。となると他のシナリオでの絡みか……。


 『冒険者編』も関係ないよな。カトレア様を攻略する『ロマンス編』か?ロマンス編で攻略出来る女の子は侯爵令嬢のカトレア様か伯爵令嬢のメリッサ様だった筈……。2人の家は対立していて、カトレア様と恋仲に発展していくと……メリッサ様が暴走してカトレア様を誘拐して行方不明になる!


 思い出した!『王子様暴走編』でも、2人の家の関係は悪くて、どこかのタイミングで『カトレアが行方不明になりました』ってメッセージが出ていたぞ!


 現状でカトレア様とメリッサ様が教室で揉めている雰囲気はない。お互い家の関係で接しないようにしているのだろう。そうなるとカトレア様を誘拐するのは伯爵家の方か?


「ルイン君」


 いつ?どこで?


「ルイン君」


 クソ! 情報が少な過ぎる!


「ねえ! ルイン君!」

「は、はい!? な、何ですか?」

「なぜ怖い顔しているのですか?」

「怖い顔? 僕が?」

「そうですよ。急に黙ったと思ったら怖い顔に成りましたよ」


 いかんいかん、考えに没頭してしまった。


「何か悩みごとですか?」


 僕の顔を覗うカトレア様。美人のカトレア様が真っ直ぐに僕を見るので顔が紅潮してしまう。


 カトレア様が誘拐される。かといって四六時中カトレア様と一緒にいる訳にもいかないし、月末にはエレナ様の討伐クエストに同行する予定だ。僕はカトレア様を守れないかもしれない……。


 ……通信魔導具か。何かあった時に連絡を貰えれば助けに行けるかもしれないし、何もやらないよりやった方がいい!


「カトレア様」

「何でしょうか?」

「2人だけでお話ししたい事が有ります」

「えっ!? ……2人だけで……ですか?」

「はい。カトレア様に伝えないといけない事があります」

「つ、つ、伝えたいこと……2人だけで…」

「校舎裏のベンチに行きませんか?今の時間はあそこは誰もいませんので」

「ほ、ほ、放課後の校舎裏……」

「いいですか?」


「は、はい!」


 ん? 何だろう? カトレア様の顔が真っ赤だ? 体調悪いのかな?

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